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フリップフロップ回路とは?知っておきたいその種類と動作

デジタル回路において、基幹技術となるフリップフロップ回路

SRAMの記憶素子に代表されるこの回路は一度は耳にしたことがあるでしょう。

代表的なデジタル回路となりますので、この機会にせひ覚えておきたいところです。

この記事では、フリップフロップ回路とはどのような回路か、またどのような種類があり、それぞれがどのような動作を取るのかについて解説致します。

フリップフロップ回路とは

1.フリップフロップ回路とは?

フリップフロップ回路とは、記憶回路と同期回路を搭載したデジタル回路のことです。

そもそもデジタル回路とは オン・オフ(ハイ・ロウ)のレベルの電圧のみを扱う電子回路です。

論理回路とも呼ばれます。

この論理回路はAND回路,OR回路,NOT回路で構成されており、入力によって出力信号が決定されることとなります。

例えばAND回路では、A・Bどちらにも電流が流れると(1が入力されると)、出力信号もまた1となって電流が流れます。

しかしながら入力信号のみならず、過去に入力された信号によって出力を決定する回路が存在します。

このデジタル回路を順序回路と呼びます。

とは言え「過去に入力された信号」をもとに出力させるためには、記憶素子を持たなくてはなりません。

この記憶素子を持った回路こそがフリップフロップ回路となります。

ちなみに同期回路とは入力された信号をクロック信号の周期と同期させる(タイミングを合わせる)ための回路で、タイミングを揃えるまでは入力信号を遅延させる役割を果たします。

フリップフロップ回路もまた、他のデジタル回路同様に「NOT回路」「OR回路」「AND回路」で構成されることとなります。

しかしながら動作が特殊です。

詳細は後述しますが、最もよく用いられるRS型フリップフロップ

R・Sそれぞれの入力信号でQ・Q#の出力信号(Qは出力。Qualifyのこと)が決定します。

Sをハイ、RをロウにするとQがハイとなりQ#はロウとなりますが、この状態でSをロウにしてもQはハイのまま維持されます。

一方でSをロウ、RをハイにするとQはロウ、Q#はハイになります。

この様子がまるでシーソーのようであることから(シーソーは誰かが乗るまでは片側が下に沈むことはありませんし、下に沈んだ状態で降りたとしても、上には上がりませんよね)、英語でギッタンバッコンを意味する擬態語flip-flop(フリップフロップ)が名前の由来になったと言われています。

ちなみにこの特性から、ラッチ回路と呼ばれることもあります。

ただしフリップフロップ回路は不揮発性であるため、電源を落とせばその記憶は失われることとなります。

2.フリップフロップ回路の種類とそれぞれの構造・仕組み

フリップフロップ回路は構造によって、いくつかに種類分けすることができます。

前項で言及したRS型やD型,JK型がよく用いられますが、その他にT型も存在します。

ここでは、RS型、D型、JK型、T型のフリップフロップ回路についてご紹介いたします。

① RS型フリップフロップ回路

RS型とは、R(リセット)とS(セット)の入力、そしてそれぞれQ,Q#の出力を持ったフリップフロップ回路です。

その動作はフリップフロップ回路の中で最もシンプルで、Sにハイ(以下1)、Rにロウ(以下0)を入力する時は出力がQ=1、Q#=0となり、これをセットと呼んでいます。

なお、フリップフロップ回路は前述の通りシーソーのような特性を持つため、QとQ#の値は逆となります。

この時、S=R=0となっても、Q=1、Q#=0の状態は維持されている、つまり過去の出力が記憶されている状態です。

しかしながらSにロウ、Rにハイを入力するとようやくQ=0、Q#=1となります。これをリセットと呼んでいます。

つまり、セットした後にQをロウにしたい場合はいったんリセットを行う必要がある、ということです。

また、R・Sともに0入力することは出力を安定させないため、禁止となっています。

② D型フリップフロップ回路

D型はDelay(遅延させる)の頭文字から取ったフリップフロップ回路です。

その名の通りクロック周波に同期させるために入力信号をいったん記憶して送らせる特徴を有します。

すなわち、入力が1であれば1を出力し、0であれば0を出力しますが、1クロック分遅れて出力されることを意味します。

RS型と異なり、以前の入力信号を記憶するというわけではなく、クロック信号を発生するまで最初の入力信号を記憶する、といった動作です。

なお、クロック信号がロウからハイになることを立ち上がり,逆を立下りと称します。

③ JK型フリップフロップ回路

JK型フリップフロップ回路はRS型と同様にS・R二つの入力端子を持ち、一方を「1」もう一方を「0」とした際にそれぞれの出力が「1」「0」、その逆であれば「0」「1」といった動作となります。

しかしながらRS型とはうって変わってS・Rそれぞれ同時に「1」を入力できることがポイントです。

RS型の場合、S=R=0となっても、Q=1、Q#=0の状態は維持されていると前述しました。

そして出力が安定しない関係で、ともにハイにすることはできない、とも解説致しました。

JK型においては、S=R=1とした時、出力の動作を反転させる(別の動作を取る)こととなります。

④ T型フリップフロップ回路

T型フリップフロップ回路は一つの入力端子を持ち、「1」を入力する度に出力が反転する性質を持ちます。

Tは英語のToggle-繰り返す―ですので、わかりやすいですよね。

なお、0が入力された場合はQの出力は保持され、Q#はQを反転させた信号が出力されます。

3.まとめ

デジタル回路の中でも代表的な、フリップフロップ回路について解説致しました。

フリップフロップ回路は記憶回路と同期回路を搭載していることが大きな特徴であり、RS型に代表されるように、必ずしも入力=出力信号となるのではなく、前の結果を記憶していること。

RS型の他にはD型やJK型,T型等があり、それぞれで動作が異なることをお伝えできたでしょうか。

デジタル回路を勉強している方は、ぜひこの機会に覚えておきましょう!