電気二重層コンデンサを用いたバッテリー「スーパーキャパシタ」

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スーパーキャパシタ

スーパーキャパシタをご存知でしょうか。

リチウムイオン電池やアルカリ電池などといった二次電池の一種ですが、それらと比べてはるかに大容量の電気エネルギーを蓄電することを可能にしたデバイスです。

また、鉛などの環境負荷素材を使用していないことや長寿命なことなど優れたメリットを多数有しており、メモリのバックアップ用途や供給電源用途など、様々なシーンで活躍してきました。

このスーパーキャパシタはコンデンサの一種なのですが、仕組みはよくある電解コンデンサなどと異なります。

この記事では、スーパーキャパシタ(電気二重層コンデンサ)の原理・仕組みや特徴などを解説いたします。

★コンデンサについて詳しく知りたい方はこちら

1. スーパーキャパシタとは?

「スーパーキャパシタ」あるいは「ウルトラキャパシタ」などと呼ばれることもある当電子デバイスは、冒頭でもご紹介したように二次電池の一種です。

乾電池に代表される一次電池が使い切り電池であることに対し、二次電池は「蓄電池」「バッテリー」とも呼ばれるように繰り返し充放電を行うことができる電池を指します。

二次電池は電極に用いられる素材や構造によって多彩な種類に分けることが可能ですが、今回ご紹介するスーパーキャパシタはコンデンサを利用します。

英語圏でコンデンサをCapacitorと称するため、このような名称が広まっているのですね。

擬似キャパシタやハイブリッドキャパシタなどと呼ばれる構造もありますが、現在最も主流なのは電気二重層コンデンサです。

Electric double-layer capacitorと英語圏では表記し、EDLCと呼ぶこともあります。

スーパーキャパシタの特徴は後述しますが、従来の二次電池と比べてきわめて大容量の電気エネルギーを充電できることが最大の魅力です。

しかも高速な充放電が可能で、かつ長寿命です。

そのため1970年代後半にわが国の電子部品メーカーが、電気二重層コンデンサの市販化に成功して以来、様々なシーンでも重宝されることとなりました。

むしろ現在でも進化の一途をたどっており、課題であった集積化やさらなるスペックアップが推し進められています。

2. スーパーキャパシタの原理・仕組み

スーパーキャパシタは「電気二重層コンデンサ」と呼ばれる原理を利用しています。

この電気二重層コンデンサは、通常のコンデンサセラミックスなどの誘電体で構成されていることに対し、誘電体を持ちません。

代わりに電解液で作られます。

ただし、外観は電解コンデンサなどとそう大きくは変わりません。

電解液はイオン性物質を極性溶媒(水など誘電率の高い液体のこと)に溶かした物質です。

陽イオン(プラス)と陰イオン(マイナス)に分かれるため、導電性を有します。

電解液に電極を入れるとプラスはマイナスに、マイナスはプラスに移動する性質を持つため、プラスは陰イオンと、マイナスは陽イオンと吸脱着を行うこととなります。

メッキ作りなどで用いられるメジャーな製法ですね。

メッキはある金属にゴールドなどのメッキ素材をくっつけたい時、マイナス側に「被メッキ金属」を、プラス側にメッキ金属を備えてメッキ金属の陽イオンが被メッキ金属に吸着させる仕組みとなっています。

スーパーキャパシタは、このイオンの吸脱着によって充放電が行えます。

外部から電圧印加を行うと電解液の中の陽イオン・陰イオンがそれぞれの電極に吸着し、電圧をストップした後も蓄電したまま維持します。

ちなみにこの吸着の時間はわずか数秒ほど。

その後蓄えられた電気エネルギーを使用したい場合は吸着したイオンを放出させるだけで済むため、特別なメンテナンスや負荷が必要ありません。

ちなみになぜ「電気二重層」と呼ぶかというと、電極表面にイオンが吸着すると電極界面と電解液界面にきわめて薄い層が形成されるためです。

この層そのもの及び物理現象を電気二重層と称します。

なお、スーパーキャパシタ(電気二重層コンデンサ)の静電容量はどれだけ電圧が印加されたかと、電極の表面積に左右されます。

イオンを吸着できるスペースが大きいほど、静電容量も大きくなります。

もっとも、電極が大きくなればなるほどデバイスとしても大型化してしまいます。

スーパーキャパシタは積層型形状を採るため、小型軽量化が比較的難しいとも言われてきました。

しかしながら前述の通り開発が進んでいる分野でもあり、2016年には東北大学が「平面型マイクロスーパーキャパシタ」の開発に成功しました。

これは従来の製品より二倍以上の静電容量を持ちながらも薄型かつフレキシブルであることが特徴で、当時エレクトロニクス業界で大きな話題を呼びました。

こういった原理・仕組みを持つことからスーパーキャパシタを電解液の種類によって分類することもありますが、一般的には「円筒型」「箱型」などの形状別でシリーズ化されています。

なお、極性は必ず守る必要があります。

逆電圧をかけるとスーパーキャパシタが破損するばかりか、液漏れなどによって機器全体を劣化させたり、思わぬ故障の原因になったりしてしまいます。

3. スーパーキャパシタの特徴

スーパーキャパシタはコンデンサの中でも非常に大容量で、かつ充放電を高速に繰り返すことができます。

通常の二次電池などは充放電の際に化学反応を起こしているためどうしても低効率になってしまいがちですが、スーパーキャパシタは電気二重層という現象を利用しているため内部抵抗が低く、発熱はもちろん部品劣化なども少なく、高効率で長寿命な製品でもあります(もっとも、通常のコンデンサの方が性能面では優れていることがしばしばですが)。

加えて使用できる温度範囲が広くなります。

さらにニッケルやカドミウム、鉛などの有害物質を使用していないため環境に優しく、廃棄する際に煩雑な手順は必要ありません。

一方で耐電圧は低く、高電圧を充電したい場合には複数のスーパーキャパシタを用意して、直列に接続しなくてはなりません。

この時、定格を超えた過電圧を印加してしまうと、スーパーキャパシタ自体が破損してしまったり液漏れしてしまったりして、回路全体をダメにしてしまうことがあるので、気を付けましょう。

また、コンデンサの性質上、時間が経過していくと自然と放電されてしまうため(リーク電流)、ずっと放置しておくと何もしていないのに充電できなくなった、といった不便なシーンに直面することもあります。

その他には従来の二次電池と比べると高額であったり、交流回路への利用ができなかったりといった、デメリット的な特徴も有します。

4. スーパーキャパシタの用途

基本的な使用は二次電池として、です。

例えばコンピュータが主電源を落としている間のバックアップ用電源に。

SSDメモリのバックアップやRTC(リアルタイムクロック)動作など、商用電源が供給されていない場合にも稼働させる仕組みのために用いられます。

または供給用電源そのものとして。

あるいは高速性を利用してカメラのフラッシュやモーター起動の電力アシストなどを行うためにも重要な役割を果たしています。

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