Core Contents

ジャンパとは?ジャンパスイッチやワイヤはどこで使う?

直訳すると「飛ぶ人」になるジャンパ。

電子基板や制御盤において、離れた回路同士を繋いだり、任意の回路間を必要に応じて制御したりと、古くからよく使われてきた手法です。

また、パソコンのマザーボードや拡張カードにおいて、各種設定をする際に使用するジャンパスイッチは、とても身近ですね。

でも、そもそもジャンパとはいったいどのようなものなのでしょうか。

ジャンパ線やジャンパスイッチなど、いくつかの電子部品がありますが、その用途はどれも同じなのでしょうか。

この記事では、ジャンパスイッチを中心に、ジャンパの役割や種類について解説いたします。

ジャンパとはジャンパスイッチやジャンパワイヤ

1.ジャンパとは?

離れた電気回路同士を繋ぐ電線や端子、ピンを総称してジャンパと呼びます。

主に電子基板や制御盤で用いられますが、ジャンプを語源とするように、既に部品が配線されている回路上において、その配線をまたいで別回路を繋ぎたい時に利用されます。

では、この別回路を繋ぎたい、すなわちジャンパが必要なシーンは、いったいどんな時なのでしょうか。

それは、回路を使い分けたり、後から動作を変更させたりする時などが挙げられます。

ジャンパを入れることによって、任意の回路同士を動作させたり制御したりすることができるので、製品の仕様変更や不具合修正、機器拡張が可能です。

つまり、ジャンパによって機器は柔軟性を獲得した、ということを表します。

通常ジャンパは専用コネクタがついているため、この設定は基本的にいつでも手作業で変えることができ、色々な動作を試せるのも良いですね。

ただ、「ジャンパ」と言う時、いくつかの使われ方があります。基本は「飛ばす」ことなのですが、使用シーンによって意味合いが変わってきます。

電子部品として使われる主なジャンパは、ジャンパ線かジャンパスイッチです。

それぞれを解説いたします。

2.ジャンパ線とは

回路のみならず、電気の配電盤などでもしばしば使われるジャンパ線。ジャンパワイヤとも呼ばれ、電線の一種となります。

構造は至ってシンプルで、導体(銅など)を線状に伸ばした電線の両端にコネクタまたはピンが付属し、これをそのまま接続したい回路に挿入します。

この電線は、ビニル線のような皮膜された状態のものが用いられます。

電線は太いほど抵抗が小さく、細いほど抵抗が大きくなります。

穴に対して線が太すぎるとそもそも配線できませんが、逆に細すぎると抵抗が低すぎ、電線部分で発熱し、線が切れてしまったり、周辺回路の温度環境を変えてしまったりすることがあります。

一般的な回路基板の穴はおおよそ1mmほどとなります。ジャンパ線を使う際は、この穴と抵抗値との両方を考慮するようにしましょう。

3.ジャンパスイッチとは?

ジャンパスイッチは、電子部品そのものと機能を指すことがあります。

プリント基板や機器の筐体側面などに専用ピンが付いており、そこに直接ジャンパスイッチを実装し、スイッチングすることでオンオフの切り替えを行います。

詳しく解説いたします。

① ジャンパスイッチの概要

ジャンパスイッチは、ジャンパプラグをジャンパピン(ジャンパポスト)に挿して機能します。

ジャンパプラグはプラスティック外装でプラグを覆った形状をしており、内部にはピン同士をショートするための配線がなされています。

この形状から、ジャンパキャップと呼ばれることもあります。

そしてジャンパピンが、基板上にいくつか配列された箇所があります。

この隣り合ったピン同士をジャンパプラグを使って接続させ、電気的にオンオフ制御をする、という構造です。

プラグをつけて配線している間は通電しますが、そのプラグを外すだけで遮断されるため、前述の通りとてもシンプルに動作や仕様を変更することが可能です。

なお、ジャンパピンは長さ数mm程度のピンが数mm幅の感覚で並んでいるので、ピンの数によっては複数のスイッチを用いてより複雑な設定や動作を行うこともあります。

ちなみにこのジャンパピンが集積している箇所をジャンパブロックと呼ぶことがあります。

ジャンパプラグのことをジャンパブロックとすることもあるようですが、異なる概念です。

ジャンパブロックでは複数のスイッチングを行うこととなりますが、誤設定をなくすため、通常は関連するスイッチ同士は一か所にまとめて配置されています。

ジャンパブロックには番号がそれぞれ振られているので、制御したいピン群の中で任意のピン同士にジャンパプラグを挿入していくこととなります。

なお、ジャンパスイッチにはサイズがあり、規格が合わないジャンパプラグは使えません。

仕様書をしっかり確認しておきましょう。

② ディップスイッチとは?

ジャンパスイッチと並んで電子回路の各種設定に頻繁に使われるスイッチがディップスイッチです。

ディップとはDual In-line Packageの略称です。デュアルインライン・パッケージとは、集積回路などで最も多く採用されるパッケージの方法で、セラミックやプラスティックなどでできた外装の両端から、複数のピンが配列されていることが特徴です。

ディップスイッチもまたプリント基板や筐体などに配列された専用ソケットに直接実装しますが、ジャンパスイッチとは異なり、プラグ自体に既にスイッチが配されています。

そのため精密ドライバーなどの工具を使ってスイッチングするだけで接続・切断を実行でき、いちいちプラグを外す必要がありません。

このディップスイッチはロッカー型やスライディング型など、スイッチング方法に種類がありますが基本的な機能は変わりません。

★ディップスイッチについて詳しく知りたい方はこちら

③ ジャンパフリー回路とは?

ここまでご説明してきたように、ジャンパスイッチは昔からよく使われてきた機能ですが、難点もあります。

それは、ジャンパスイッチはきわめて小さく、紛失しやすいということ。ジャンパピン自体も数mm程度であり、それをつなぐジャンパプラグも、おおむね幅4mm程度×高さ6mm程度の小さな電子部品で、床なんかに落としてしまうとすぐに見つからなくなってしまいます。

加えて、前述のとおりジャンパスイッチは物理的に取り付けたり外したりしなくてはならず、そのためには機器のケースを直接開ける必要性が出てきます。

しかも小さいので、プラグをピンから脱着させるためには、小型のピンセットやラジオペンチなどを使わなくてはなりません。

ジャンパスイッチは非常に利便性が高いのですが、こういった手間がかかることを難点と捉える向きもあります。

なお、ジャンパスイッチをオフにする時、プラグをピンから完全に取り外して別途保管するのではなく、プラグを一方のピンに挿したままにしておくことが多くなります。

こうしておけばピン同士は配線されず、かつプラグを紛失する心配が軽減されますね。

さらに近年では、ジャンパフリー回路が用いられるようになってきました。

ジャンパフリー回路とはジャンパスイッチが不要な回路です。

これまでジャンパスイッチやディップスイッチが行ってきた各種設定や仕様変更を、フラッシュメモリなど不揮発性メモリを利用して代替するのがジャンパフリー回路の目的です。

設定したい内容や仕様をフラッシュメモリに記録することでコンピュータがそれを読み取り、任意の動作を行うことができるうえに、不揮発性ですので電源を落とせば簡単に元の状態に戻すことができます。

また、本体を開けて、ピンセットでプラグを設置して、などというような作業がいらないので、高度な知識は必要ありません。

昔より不揮発性メモリが量産され、低価格化したことから、新しいパソコンなどではジャンパフリー回路が主流となりつつあります。

とは言え工作側としてはシンプルで比較的リーズナブルに使えるジャンパスイッチは変わらず重宝されています。

▶ジャンパの購入はこちらから

▶シャント・ジャンパの購入はこちらから

▶コネクタ・インターフェースのカテゴリ一覧の確認はこちらから