製品開発は、ただ当初の予定通りに設計を行い、簡単なテストをしてデバッガを行い、微修正をしてすぐ製品化!というわけにはいきません。
実際の開発過程はトライ&エラーの連続です。
とりわけ大切なのが、試作品の製造・試験・評価です。
顧客に卸したり、全国的に販売スタートしたりする一歩手前のプロセスで、ここでしっかりと製品の課題を見抜き、適切に対処したうえで本番の製品化が図られます。
また、試作品は顧客に対するデモンストレーションでも用いられ、擬似的な環境を作り、実際の使用を想定したうえでの反応を見極めることができます。
この試作に欠かせないのが評価ボードです。
でも、この用語を聞くだけでは、どのように評価するのか・あるいはされるのか、どのようなチップが搭載されたボードなのか、イメージがしにくく、わかりづらいですね。
そこで、評価ボードについて解説していきます。
1.評価ボードとは?
評価ボードは具体的な製品名ではなく、開発する製品の試作時に使われる基板のことです。
evaluation boardとか、reference boardと英語では表記されます。
まず最初に、製品開発のプロセスをおさらいしておきましょう。おおまかな流れは以下の通りです。
製品企画⇒製品コンセプトの立案⇒マーケティング戦略の立案⇒製品開発⇒テスト⇒販売
下流にいけばいくほど、具体的な製品が出来上がっていき、方向転換も難しくなってきます。
かつて専用ICの中には一度設定したら変更が効かなかったり、そもそもユーザーが設定できない仕様になっていたりすることがしばしばありました。
そのため各半導体メーカーは汎用ICに力を入れ、ユーザーが設定を任意に変更できたり、プログラミングを行ったりできる仕様に力を入れてきました。
代表的な素子にPLDやFPGA等がありますね。
★FPGAとは?→こちらから
評価ボードもまた、そんな「フレキシブルな製品開発」への訴求の結果と言えるでしょう。
しかしながらFPGA等と異なり、かなり下流で用いられます。
そう、販売の一歩手前である、「テスト」段階で用いられるのです。つまり試作品というわけですね。
そのため評価ボードには、上記の「製品開発」の段階で製造された回路やパーツ、端子が搭載されています。また、周辺チップも付随していることが多いです。
この評価ボードを使って実際の使用環境を再現し、開発会社が評価や最終調整を行います。
また、冒頭でもご紹介したように、顧客からの反応を見るためのデモンストレーションでも用いられます。
こういったテストは、厳密に行われる必要があります。
なぜなら万が一使用時に発生する不具合に気づかないまま製品化してしまうと、回収によって大きなコストがかかってしまったり、企業の信頼を失墜させてしまったりするリスクをはらんでいるためです。
そのため、メーカー各社はより優れた評価ボードを選定する必要があります。
2.評価ボード市場の規模について
現在の製品開発のスピードは、かつてとは比べ物にならないほどです。
今日A社から新製品が出たら、明日ライバルのB社から競合製品が出た・・・そんなことは日常茶飯事ですね。
こういった背景に加えて、前項でご紹介したテストも、迅速に行う必要があります。
なぜならデモンストレーションを行うということは、他社にも新製品を公開するということ。
自社が強かった市場に競合が参入するきっかけを与えてしまったり、下手をすれば先手を封じられたりするなんてケースもあります。
これらを鑑みれば、テストの重要性はますます高まっており、評価ボード市場はきわめて重大な役割を担っていることがおわかり頂けるでしょう。
さらに、より忠実な擬似環境を作らなくてはなりません。
そのため前述の通り、優れた評価ボードのニーズは高まるばかりです。
では、どのような評価ボードが重宝されるのでしょうか。
これは業界によっても変わるため一概には言えませんが、機器の種類や特性,用途に応じた専用の開発評価ボードがまず挙げられます。
この専用開発評価ボードは専用業種や機器に向けて、基本的な各種半導体やスイッチといった最低限の素子を搭載させています。
そのためユーザー側は独自のプログラミングやチップを組み込めればすぐに使うことができ、製品開発のスピードを各段に向上させることができます。
これはIoT端末の浸透およびその促進によって、さらに存在感を高めるようになってきました。
IoTとは、Internet of Things、モノのインターネット化ですね。
簡単に言うと、従来独立していた電子機器を別の機器同士で結びつけ、相互制御を行うための仕組みです。
IoT化した製品開発はもはや戦国時代と言ってもいいかもしれません。
このIoTには搭載チップがある程度決まっています。
とりわけセンサや通信モジュール、セキュリティチップは必須素子。
これらを初めから搭載させた評価ボードを使うことで、容易に試作品に実装することが可能となりました。
もっとも、逆に「余分な機器はいらない」といったニーズのために、シンプルな評価ボードを製造しているメーカーもあります。
汎用評価ボードを作ることでユーザーが自由な拡張性を提案しており、ユーザー自身が改良できるよう設計し、組み合わせ、任意のシステムを構築することができるのです。
今後もますます評価ボード市場は拡大が見込まれており、それはすなわち続々と魅力的な商品が私たちに提供されることを示唆するでしょう。
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3.まとめ
評価ボードについて解説いたしました。
評価ボードとは製品開発において「テスト」に用いられる基板であること。
製品化の一歩手前の試作品において、必要な回路やパーツ,端子が搭載され、擬似的な使用環境を提供できること。
製品開発スピードが飛躍的に高まる昨今、評価ボードは市場で大きな役割を担っていること。
とりわけIoT化の促進には欠かせないものであることをお伝えできたでしょうか。
せっかく携わる製品開発。成功のために、評価ボードを上手に使いこなしてくださいね。
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