日常で目にする多くの電子機器に導入されているコンバーターは、無くてはならない電子部品です。
ここではコンバーターについてより詳しく解説をします。
目次
1. コンバーターとは
コンバーター(converter「変換するもの」)とは、エネルギーや信号を変換する装置のことです。
一般的には、交流電源、または直流電源から直流電源を作り出したり、電圧や周波数の変換、さらにはセンサーから入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換したり、その逆にも使われたりしている電子部品です。
因みに交流から直流を作り出すことを整流、または順変換といい、このことからコンバーターを日本語では整流器や順変換装置と呼びます。
一方、インバーターは、直流電力を交流電力に変換する電子部品です。
コンバーターの一種ではありますが、逆の働きをすることから、日本語では逆変換装置と呼びます。
2. コンバーターの役割
コンバーターは、今日ではさまざまな用途で使用されています。
異なる電圧や周波数、信号形式を使用する機器を接続するためやエネルギー変換効率の向上のため、機器の機能を拡張するため、機器の開発や製造コストを削減するため、機器の安全性を向上させるため等、その活躍は多岐にわたります。
一般家庭でコンセントを挿してつかう電気機器の多くにAC/DCコンバーターが搭載されています。
それは一般家庭の電源はすべて交流ですが、多くの機器は直流でないと動作しないためです。
AC/DCコンバーター,DC/DCコンバーターとそれぞれのシチュエーションで利用されています。
AC/DCコンバーターは主に一般家庭で使われるものが多く、スマートフォン、パソコン、テレビ、エアコン等が挙げられます。
一方DC/DCコンバーターは、AC/DCコンバーターの内部で利用もされますが、電気自動車、産業用ロボット等の大きな機械にも所定の電圧に変換するために使われています。
● 電源
- 家庭用電源を電子機器で使用できる直流に変換する
- バッテリーの電圧を昇圧降圧し、機器に適した電圧に変換する
● 通信
- 光信号を電気信号に変換し、光ファイバー通信を実現する
- デジタル信号をアナログ信号に変換し、音声や映像を送受信する
- 異なる周波数の電波を変換し、無線通信を実現する
● 制御
- センサーからの信号を、機器が理解できる形式に変換する
- モーターの回転速度やトルクを制御する
- 温度や湿度などの環境情報を、制御システムに送信する
様々なシーンで利用されています。
コンバーター無しでは現代の電子機器の多くは成り立たたないといっても過言ではないでしょう。
3. コンバーターの種類
コンバーターには、さまざまな種類があります。
主な種類は以下の通りです。
● 電力変換
主に交流を直流に変換したり、直流を所定の電圧(直流)に変換したりするのに用いられます。
前者は一般家庭用の機器に用いられており、後者はバッテリー駆動のロボットや電動車両などの場合、電池の電圧が変動するため、電源電圧を安定化させるために使用されることがあります。
- AC/DCコンバーター:交流を直流に変換する
- DC/DCコンバーター:直流を所定の電圧の直流に変換する
● 信号変換
主にアナログ信号をデジタル信号に変換することに使われています。
例えば温度、湿度、圧力などのセンサーから収集されるデータは、通常アナログ信号です。
しかし、これらのデータをデジタルシステムで処理する場合、アナログ-デジタルコンバーター(ADC)が使用されます。
光ファイバーやワイヤレス通信などのデジタル信号をアナログ信号に変換するためには、デジタル-アナログコンバーター(DAC)が使用されます。
また、異なる国や地域では、電力の周波数が異なることがあります。
例えば、北アメリカでは60Hzが一般的ですが、欧州やアジアの一部では50Hzが一般的というようにです。
このような時に電力の周波数を調整するために周波数変換器が使われています。
- A/Dコンバーター(ADC):アナログ信号をデジタル信号に変換する
- D/Aコンバーター(DAC):デジタル信号をアナログ信号に変換する
- 周波数変換器:信号の周波数を変換する
● 光信号
光エネルギーを電気エネルギーに変換するためにも使われています。
例えば、太陽電池は、太陽光からの光エネルギーを直接電気エネルギーに変換するための光電変換器です。
また、データセンターや通信ネットワークでは、電気信号を光ファイバーに変換して、高速で大容量のデータを伝送します。
これにより、高速かつ長距離の通信が可能になります。
- 光電変換器:光エネルギーを電気エネルギーに変換する
- 電気光変換器:電気エネルギーを光エネルギーに変換する
このほかにフォーマットを変換したり、圧縮/解凍、暗号化/復号化を行ったりするときにもコンバーターという言葉は用いられていますが、電子部品としての用途ではないので詳細説明を端折ります。
4. コンバーターの動作原理
コンバーターは電力変換、電圧変換、周波数変換、信号変換といったいろいろな変換に用いられています。
それぞれの変換機能により動作が原理が違います。
● DC/AC変換
直流電源から交流電源への変換は、インバーターと呼ばれる装置を使用して行われます。
インバーターは、直流電源を交流に変換する装置であり、一般にはパルス幅変調(PWM)や可変周波数制御などの技術が使用されます。
PWMインバーターは、直流電圧を高速でオン・オフすることで、目標の交流電圧を生成します。
これにより、直流から交流への電力変換が実現されます。
より詳しくはインバーターとは?コンバーターとはどう違うの?もご確認ください。
● AC/DC変換
交流電源から直流電源への変換は、整流器と呼ばれる装置を使用して行われます。
整流器は、交流電圧を直流に変換する装置であり、一般的にはダイオードブリッジ整流器が使用されます。
ダイオードブリッジ整流器は、交流電源の正と負のサイクルを切り取り、一方向の電流に変換します。
これにより、交流から直流への電力変換が実現されます。
● 電圧変換
電圧変換器は、入力された電圧を目標の電圧に変換する装置です。
基本的な原理は、ファラデーの電磁誘導の法則に基づきます。
トランスフォーマーを使用する場合、入力コイル(プライマリ側)に電流が流れると、コイル周りに磁束が生じます。
これにより、相対的に固定されたセカンダリコイルに誘導された電圧が生じます。
コイルの巻数比によって、入力電圧と出力電圧の変換比率が決まります。
コイルにさわに詳しく知りたい方は「ゼロからわかるコイル」をご確認ください!
● 周波数変換
周波数変換器は、入力された電源の周波数を目標の周波数に変換する装置です。
周波数変換器は、パワーエレクトロニクスの原理に基づいて動作します。
一般的な原理は、入力の交流電源を直流に整流し、その後、パルス幅変調(PWM)や周波数変調(FM)などの制御手法を使用して、目標の周波数に変換します。
● アナログ-デジタルコンバーター (ADC)信号変換
アナログ-デジタルコンバーターは、アナログ信号をデジタル信号に変換する装置です。
基本的な原理は、アナログ入力信号を一定の時間間隔でサンプリングし、各サンプルをデジタル値に変換することです。
これには、量子化と呼ばれるプロセスが用いられます。
量子化は、連続的なアナログ信号を離散的なデジタル値に変換するプロセスであり、その際にはアナログ-デジタル変換器が使用されます。またこの時にクォンティゼーションノイズが生まれます。
● デジタル-アナログコンバーター (DAC)信号変換
デジタル-アナログコンバーターは、デジタル信号をアナログ信号に変換する装置です。
基本的な原理は、デジタル信号を一定の時間間隔でサンプリングし、各サンプルをデジタル値からアナログ値に補間することです。
これにより、連続的なアナログ波形が再構築されます。
なお、デジタルからアナログ信号に変換する際に量子化誤差が発生します。
これは、デジタル信号をアナログ信号に変換する際に生じる精度の損失や誤差を指します。
量子化誤差は、DACのビット数や分解能によって決まります。
ビット数が増えるほど、分解能が高くなり、量子化誤差が減少します。
5. まとめ
いかがでしたでしょうか。
これまで解説した通り現代社会においてコンバーターは、デジタル化の基盤として機能しています。
アナログ信号をデジタル信号に変換するADCや、デジタル信号をアナログ信号に変換するDACは、デジタルシステムの中核的な要素であり、デジタル信号処理やデジタル通信などのさまざまなアプリケーションで使用されています。
そして、デジタル化や産業・情報技術の発展、エネルギー効率の向上など、様々な分野で不可欠な技術として位置づけられています。
そのため、コンバーターの技術や応用は今後もますます重要性を増すことが予想されています。
コンバーターは、CoreStaff ONLINE<コアスタッフオンライン>で購入できます。
個人でも法人でも
半導体がひとつから買える
半導体の通販サイト
CoreStaff ONLINE
【コアスタッフオンライン】