ノイズ対策で知っておきたいコモンモードとは?

最終更新日

コモンモード

スピーカーに雑音が混じる。LEDディスプレイの映像が乱れる。通話中に唐突に声が遠くなったと思ったら電話が切れてしまった。

私たちが電子機器の使用中に感じるこういったストレスは、ノイズの影響が少なくありません。

中にはノイズが起こした誤作動や不具合が、深刻な損失を発生させてしまったケースもあります。

そこで全ての電子機器に欠かせないのがノイズ対策です。しかしながらノイズにもその対策にも種々あります。

そんな中でも「非常に扱いにくい」とされているコモンモード・ノイズをご存知でしょうか。電子機器の生産者にとって、コモンモード・ノイズを正しく理解し、きちんと対策を練ることは必要不可欠となります。

この記事では、コモンモード・ノイズとはどのようなものか、そしてその対策で主に使用されるコモンモード・フィルタについて解説いたします。

1. ノイズの種類

電子回路の基本原理は、電気信号を伝え合って動作することにあります。

そして、電気信号には必ずノイズが付きまといます。ノイズとはそもそも「必要としている信号以外」の信号を指しますが、電源のみならず、外来から侵入してくることもあり、電気を使う機器類にその対策は絶対不可欠です。

このノイズは、冒頭でも述べたようにいくつかの種類に分類されます。

まず、落雷や静電気などといった、自然ノイズ。そして機器類から発生する人工ノイズ

後者の人工ノイズもまた様々ですが、その中に電波や高周波の電磁波がノイズとなるEMI(Electro Magnetic Interface:電磁妨害)と呼ばれるものがあります。

このEMIは電波・電磁波であることから、機器そのものの誤作動を招くのみならず、機器から放射されて他の機器類へと影響を及ぼすことがあります。

さらにこのEMIは、機器から放出される放射ノイズと、ケーブルや回路内に張り巡らされた配線(ライン)を通して影響を与える伝導ノイズとに分類されます。

今回ご紹介するコモンモード・ノイズは、伝導ノイズに分類されます。

「信号の伝わり方」によってノーマル(ディファレンシャル)モード・ノイズコモンモード・ノイズにさらに分かれており、それぞれで異なる対策が必要となります。

まず、それぞれを次項で解説いたします。

2. コモンモードとノーマルモード

ここで言うモードとは、信号の伝わり方を指します。

① ノーマルモードとは?

通常、導線が一本あったら、入力された信号もノイズもそのまま一本線で伝わります。

そしてこの信号は、負荷や別回路に伝送されながら通っていき、最後はもとの位置に帰ってきます。

当然ながらリターン時の電流(帰路)は入力時とは波形が逆位相になります。

車がある道路を走っていて、Uターンしたら逆向きになる、ということです。

この信号の伝わり方をノーマルモード、あるいは帰路に位相が異なることから、ディファレンシャルモードと呼びます。

ディファレンシャルモードは入力信号とリターン信号の関係がとても明確なため、比較的ノイズ対策がしやすくなります。

② コモンモードとは?

どの電子回路もノーマルモードを採るわけではありません。

信号が帰路において、一部大地や筐体などを通ってから戻ってきてしまい、結果として入力時の波形と同位相となることがあります。

これがコモンモードと呼ばれる信号伝送です。

common「同一の」という意味から名づけられました。

当然ながらノイズは逆位相で帰ってくる、ということを意味します。

なぜこのような経路を通るのか、その要因は多岐に渡りますが、一つにはグランド(基準電位)と大地・筐体間に浮遊容量差があり、インピーダンスの違いが生じるためです。

このインピーダンスを始めとしたアンバランスがコモンモードの発生源であり、その影響を色濃く与えることとなります。

なぜなら、入力時のように高いインピーダンスであれば交流やノイズの通過にブレーキをかけてくれますが、ここでは逆に低下してしまうためです。

※浮遊容量(寄生容量またはストレージキャパシティとも呼ぶ)•••
 意図せずに現れた電荷容量のことで、本来は必要のないところで電荷を蓄積してしまう現象。
 ほとんどのケースで微小なものですが、高周波数下においては影響が顕著となります。

③ なぜコモンモードは問題となるのか

コモンモードは、ノイズ対策において非常に難しいものとされています。

まず、コモンモードにおいては、ノイズの伝わり方が複雑になります。

ノーマルモードであればシンプルなラインを通って伝わるため、そのライン上でノイズ対策を行うだけで十分です。

しかしながらコモンモードは大地や筐体を通ることで発生するため、どこで対策するべきかハッキリとはわかりません。

そもそもノイズが大地のどこをどう通ってるかがわからないのです。

さらに、大地などを大きなループを描きながら戻ってくるため、距離的に離れた機器類にも影響を与えてしまう可能性があります。

しかも、同位相で戻ってきた信号は重なり合って大きくなっており、その分ノイズも多くなってしまうケースも少なくないためです。

このように、ノイズの管理が難しく、かつ影響力の多さからコモンモードとそのノイズ対策が電子機器の大きな問題となっています。

3. コモンモード対策

コモンモードの影響を最小限に抑えるノイズ対策を二つご紹介いたします。

対策① 差動データ伝送の活用

前述の通り、インピーダンスがアンバランスな状態によってコモンモードは発生します。

つまりこの影響を抑えるためには、インピーダンスを整合することが求められます。

そこで有効なのがデータの差動伝送です。現在、高速なデジタル通信において、この差動伝送を採ることが主流となっています。

従来、データ伝送には一本の信号線を使うシングルエンド伝送が用いられてきました。

シングルエンド伝送はグランドを基準とし、それより電圧が高いか低いかによって「1」「0」または「H」「L」を決定します。

シングルエンドはシンプルなため低コストで実現できるのですが、高速になるにつれて信号表現が追いつかなかったり、距離によって信号が減衰してしまうことで電線の長さが限定されてしまったり、かつノイズに弱かったりと言ったデメリットがありました。

一方の差動伝送は、二本の信号線を使い、それぞれ位相が180℃逆となる信号を流す手法です。

つまりノーマルモードを作り出す、ということですね。

ディファレンシャル入力や平衡接続(へいこうせつぞく)とも呼ばれます。

差動伝送を作り出すことができれば、信号は等振幅で伝送されるため、ノイズやグランドの影響は受けづらくなります。

また、位相が異なるだけで、インピーダンスなどの他条件は同一となり、理論的にはコモンモードノイズは発生しません。

しかしながらこれは「理論的」に、です。

実際の差動伝送において、二本の信号線の特性が全く同一になることはありえず、アンバランスが生じます。

結果として、ノーマルモードだけを想定したノイズ対策では不十分と言うことがわかります。

そこで有効なもう一つの手段として、コモンモードフィルタが挙げられます。

対策② コモンモードフィルタ

コモンモードフィルタとは、完全な平衡状態を作り出すことができない回路において、発生するコモンモードへの対策素子を指します。

一般的には、インダクタ(コイル)の性質を利用します。

コンデンサなど通常のノイズ対策フィルタは、信号の要不要を周波数で切り分けますね。

しかしながらコモンモードフィルタでは、「コモン」か「ノーマル」かと言う、モードの違いで必要な信号を取り出し、ノイズを除去します。

なぜこのような切り分けができるのかと言うと、コモンモードフィルタは二本の導線をまとめて一本の線とし、それをコアに巻いたコイルの形状をしているためです。

この二本の導線は同じ向きに巻かれます。つまり二つのチョークコイルが一つになったような構造をしています。

コイルは電流が流れるとコアに磁界が発生し、電流や磁界の変化を妨げる働きをします(自己誘導作用)

また、インピーダンスが高くなり、直流電流や低周波信号は通すのに交流や高周波信号は通さない、という特性がありましたね。

差動伝送では往路・帰路で流れる信号はそれぞれ逆位相のため、コアに発生する磁束もまたそれぞれで逆向きとなり、結果として磁束は打ち消されます。

つまり通常の導線として機能し、問題なく信号伝送を果たします。

一方のコモンモードでは往路・帰路ともに同位相の信号が流れるため、コアで発生する磁束も同じ向きとなり、ノイズなどと同じく重なり合い、強く大きくなります。

つまり、自己誘導作用が発生し、コモンモードの信号通過にブレーキをかけるようコイルが働くのです。

このように、コモンモードの信号からノイズまでを除去してくれるコモンモードフィルタは、現在様々な高速デジタル機器で活躍してきました。

現在では小型化も進んでいるため、ノートパソコンや携帯電話など小型電子機器にも用いられています。

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