ロータリーセンサと並んで、角度センサの代表的存在であるレゾルバ。
航空産業や自動車産業、あるいはロボット産業など様々な分野で活躍しており、扱いやすいことも相まって、とてもポピュラーなデバイスとなっております。
この記事では、レゾルバがどのような用途で使われ、どのような仕組みなのか、レゾルバの魅力などをご紹介いたします。
1.レゾルバとは?
レゾルバは角度センサーの一種です。
角度センサーと言うと、エンコーダー等のロータリーセンサがまず思い浮かぶ方が多いでしょう。
角度センサーとは軸・ホイールの回転角度を検出し、その量を電気信号に変換するセンサーです。
エンコーダーであれば、回転角や移動量を測定することで、その量に見合った働きを電子デバイスに促す素子となります。
例えばエレベーターが指定の回数でピタッと停止するのは、エンコーダーが移動量に合わせてデバイスを制御しているためです。
レゾルバもまた、回転角度を検出することでその役を成します。
では具体的にどのようなものかと言うと、種類にもよりますが、基本原理はトランス(変圧器)の応用です。
トランスはご存知の通り、二つのコイルと鉄心(コア)で構成されています。
交流電圧が印加された一次コイルによってコアの磁場が変化し、コアを同じくする二次コイル側にも磁場が変化します。
電磁誘導作用(ファラデーの電磁誘導の法則)によって二次コイル側に出力電圧が発生し、電圧変換が行える、というものでした。
レゾルバでもコイルが利用されています。そして、それぞれで二つのコアを搭載します。
さらにレゾルバではローターなどの回転子を備え、この回転子がモーター等に合わせて回転すると、一次コイルと二次コイルの相対位置が変化します。
通常のトランスはこの相対位置に変化はないため変圧比は一定となります。
しかしながらレゾルバだと回転によって一次側・二次側とで電圧波形がズレることとなり、変圧比が変化することを意味します。
二次コイル側は回転した角度に応じて変調した二相の交流電流が出力されるので、この信号を検出することで「どのくらい角度が変化したか」を求めることができますね。
例えば一次コイルと二次コイルで位相が逆転していたら、回転角度は180度であった、ということです。
レゾルバで検出した信号はまだアナログであるため、CPUなどで処理できるように変換機でデジタル信号とし、これに応じた制御を行います。
そんなレゾルバの主な用途はモーター制御です。
冒頭でもご紹介したようにあらゆる産業で用いられるレゾルバですが、それはモーターが多くのデバイスで重要であるからに他なりません。
このモーターは電力を機械的なエネルギーへと変換する装置ですが、電力供給のおもむくままに動作してしまうと、消費エネルギーが激しくなってしまったり、機械の摩耗・劣化が格段に速まってしまったり、用途に合わないようなエネルギーを発散してしまうことになります。
そのためモーターと制御デバイスはいつもセットとなっているものです。
レゾルバもまたこのモーター制御のためのセンサーです。
レゾルバが測定した回転角によって、車の走行距離・スピードに応じた省エネ走行を行ったり、自動車運転の補助を行ったり、ロボット(産業用とはもちろん、介護用等でも)の緻密な動作制御を行ったりすることが可能です。
とりわけ電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)での使用が目覚ましく、その市場は今後も拡大していくことが見込まれます。
2.レゾルバの魅力はその特徴にあり!
レゾルバが様々な分野で重宝されていると前述しました。その理由は、レゾルバの持つ特徴、あるいは魅力にあります。
最たる魅力は、レゾルバの構造のシンプルさです。
レゾルバは回転子と固定子(ステータ。レゾルバで言うと二つのコイル)で構成されており、そう複雑な造りではありません。
機械的な構造が少ないということは、経年や様々な使用条件下での耐久性に優れるというメリットに繋がります。
事実レゾルバは使用温度範囲が広く、また機械部分があるとは言え高い耐久性を誇ります。
デバイスのモーター部分は発熱しやすいため、温度変化に強いのは嬉しいところですね。
近年では災害時の利用でも注目されており、耐放射線性に優れたレゾルバ開発も行われています。
また比較的ノイズに強いため長距離の伝送が可能であり、かつ光センサーなどの非機械式ほどではないにせよ、コンパクトサイズの製品が多数展開されています。
もっとも、製品によってもその特性は異なります。
ローター形状によって出力信号の倍率が異なったり、パーツ精度が高く位置検出の正確性に長けた製品などは高額になったりもします。
とりわけ巻線が均一であることは安定した精度を発揮するのに重要な一方で、サプライヤー側の工作技術や設計力が求められます。
そのためレゾルバに対する知識をつけ、ご自身の用途にあった製品を選出することが重要です。
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3.まとめ
角度センサーの一つ、レゾルバについてご紹介いたしました。
レゾルバは搭載された回転子の回転角度を二つのコイルを用いて検出し、その角度に応じて適切なモーター制御を行うセンサーです。
その構造のシンプルさから様々な環境下でも使用することができ、航空産業から自動車産業、ロボット産業等あらゆる面で用いられています。
とは言え高精度製品はその分価格も高くなるため、ご自身の用途に合ったレゾルバを選出したいですね。
EVやHVでは一台に複数個搭載されることも少なくないレゾルバ。
ぜひこの機会に覚えておきましょう!