回路に定電圧を送るツェナーダイオードとは?原理や用途を解説!

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ツェナーダイオード_Zenerdiode

コンセントから出てきた交流電圧をそのまま電子機器に使うことはできません。

一つには電子回路が直流で駆動するため、そしてもう一つには商用電源の電圧は高すぎるためです。

さらに言うと、電子機器内には様々な電子回路が内蔵されていますが、それぞれで必要とする電圧は異なります。

任意の安定した電圧を得るために電源回路を設けなくてはいけませんが、回路が複雑になってしまい、設計や工作するのは結構大変。

そこで活躍するのがツェナーダイオードです。このツェナーダイオードを一つ組み込むだけで、常に一定した電圧を回路に送り込むことができるのです。

この記事では、ツェナーダイオードの原理や仕組み、特性、用途などを徹底解説いたします!

1. ツェナーダイオードとは?

ツェナーダイオードは、定電圧を取り出すための電子部品です。

定電圧ダイオード、ジーナ―ダイオードなどと呼ぶこともあります。

ダイオードと言うと、電流をある一定の方向にしか流さない電子部品を指しますね。

ダイオードの陽極のことをアノード、陰極のことをカソードと呼び、アノード側からカソード側にかけてはある数値以上の電圧が印加されると電流が流れるものの、逆方向、つまりカソード側からアノード側にかけては電流が流れません。

この作用を整流作用と呼び、電源回路内で、コンセントから供給された電源電圧を整流するための用途としてしばしば用いられてきました。

このダイオード、逆方向に電圧印加をすると破壊されてしまうこともあります。

なぜなら逆方向にある数値以上の高電圧を印加した場合、電流が急激に流れ出してしまうためです。

この現象を降伏(こうふく)現象と呼び、電流は増加していきますが、電圧はほぼ一定に保たれる、という特性を持ちます。

これを利用したのがツェナーダイオードとなります。

なお、定電圧が保たれる効果をツェナー効果と呼び、この際の出力電圧をダイオードの降伏電圧、あるいはツェナー電圧と言います。

1934年、物理学者のクラレンス・ツェナーによって発見されました。

前述の通り、電源回路は非常に複雑な構成をしています。

現在ではレギュレータなども幅広くラインナップされていますが、ダイオードの安価さや小型軽量化の容易さなどから、ツェナーダイオードが活躍しています。

2. ツェナーダイオードの原理·仕組み

ダイオードはp型半導体とn型半導体が接合して構成されています。

この接合面には空乏層が発生し、自由電子と正孔が打ち消し合った、電気の運び手がいない状態となっています。

ここにp型半導体から出ているアノード端子に電圧印加をすると正孔が空乏層に移動し、かつ自由電子も空乏層側に移動するため電気の運び手ができ、電流が流れます。

しかしながらn型半導体から出ているカソード端子側から逆方向に電圧を印加しても、自由電子と正孔の移動の向きが逆になるため電流は流れません。

しかしながら前述の通り、逆方向電圧がある数値まで上がった電圧が印加されると、大きな電流が流れるようになります。

そのためツェナーダイオードを回路に接続する時は、通常のダイオードとは異なり逆方向に電圧が印加されるように設計する必要があります。

この現象は、トンネル効果と呼ばれるものが要因です。

トンネル効果はある障壁(ここでは空乏層)を超え、トンネルを抜けるように反対側にある現象が現れる効果を言いますが、ダイオードは添加物を工夫することで、この効果をより顕著に得ることが可能です。

p型半導体もn型半導体も純粋なシリコン結晶ではなく、価電子の数の異なる不純物を添加させて形成されています。

不純物を大量に転嫁させることで電子の移動を補い、逆方向電圧が印加された場合でも電流が流れやすくなっている、という仕組みです。

このトンネル効果によって流れた電流量は増加しますが、印加する電圧を上げていっても出力電圧はあまり変わりません。

つまり、ツェナーダイオードによって降伏電圧は決まっている、ということです。

例えば5Vの定電圧が欲しい時、降伏電圧が5Vに設定されたツェナーダイオードを購入することとなります。

印加する電圧を上げたからと言って電圧降下値が変わることはありません。

前述の通り添加物によってトンネル効果を演出するため比較的緻密に降伏電圧を設定することができ、そのため非常に多くの種類のツェナーダイオードがラインナップされています。

6V以下の定電圧を出す目的が多くなりますが、中には200Vの定電圧を採るものも。

また、誤差の少ない高精度製品も少なくありません。

一方で値の異なるツェナーダイオードを複数回路に接続すると、所望の電圧が得られない場合もあるので、工作したい電子回路にあった製品を選びましょう。

なお、先ほど逆方向に電圧印加を行うとダイオードに電流が流れる現象をトンネル効果で解説しましたが、もう一つアバランシェ効果も関係しています。

これはダイオード内で、急激に自由電子が増加する現象です。

電子がダイオードを構成する原子と衝突して衝突電離と呼ばれる事象を引き起こし、自由電子として放出されていきます。

自由電子が増えたことで電荷の担い手が増え、結果として空乏層を超えて電流が流れるようになる、というわけです。

ツェナーダイオードはトンネル効果もアバランシェ効果も原理・仕組みに関与していますが、一般的には低電圧のツェナーダイオードにはトンネル効果が、高電圧のツェナーダイオードではアバランシェ効果がより大きく関係してきます。

3. ツェナーダイオードの特性

ツェナーダイオードの特性について解説いたします。

まず、ツェナー効果は一般的に電圧降下を起こして任意の定電圧を採る仕組みとなるため、昇圧を行うことはできません。

また、ツェナーダイオードを語るうえで、温度特性を忘れてはいけません。

温度特性とは温度変化によって特性を変える性質のことですが、ツェナーダイオードはツェナー電圧によってこの温度特性が変わる、という特徴を持ちます。

と言うのも、トンネル効果は負の温度係数を持っており、アバランシェ効果は正の温度係数を持っているのですが、これによってツェナー電圧が低いもの(一般的には5V程度より下)は周囲温度が上昇するとツェナー電圧が低下します。

一方アバランシェ効果によくみられるツェナー電圧が高いもの(一般的には5V程度より上)は周囲温度が上昇するとツェナー電圧が増加します。

なお、5V程度のツェナーダイオードになると、トンネル効果とアバランシェ効果がともに作用してツェナー現象を引き起こしているため、温度特性も同程度となり、周囲温度によってツェナー電圧が影響を受けづらいという特性を持ちます。

近年では温度特性の低いツェナーダイオードも開発されてきましたが、高電圧下においてはまだ無視できるものではありません。

ただし、正の温度係数を持ったツェナーダイオードに負の温度係数を持ったダイオードを直列接続することで、温度係数を解消することが可能です。

そしてツェナーダイオードの特性として気を付けなくてはいけないのが、ノイズの原因となる、ということ。

このノイズは、ツェナー電圧が高いほど大きくなり、電流量が大きいほど小さくなる傾向にあります。

これを防ぐためには、一つの大きなツェナーダイオードを用いるのではなく、ツェナー電圧が低い複数素子を直列接続することで解決できます。

例えば15Vの電圧が欲しい場合は、5Vのツェナーダイオードを三つ接続した方がノイズ低減に役立つ、ということです。

また、ツェナーダイオードにコンデンサを並列接続することで、ノイズ除去を行う方法も用いられます。

4. ツェナーダイオードの用途

何度か言及しているように、ツェナーダイオードは高電圧から所望の定電圧を取り出すために用いられる電子部品です。

また、電圧を安定化させるためにも重要な役割を果たします。その用途例の最も有名なものはシャントレギュレータでしょう。

加えて、保護回路としても一役買ってくれます。

ツェナーダイオードの原理は降圧です。

そのためサージや静電気の発生などで過電流が流れ込みそうになった時でも、ツェナー効果で所定の定電圧に換えることで影響を最小限にとどめることができます。

この時、保護したい電子部品とツェナーダイオードは並列に接続されることが一般的です。

このように、様々な用途を持つツェナーダイオードは、前述したツェナー電圧のみならず形状やサイズに豊富な種類を持ちます。

中には表面実装型の、小型軽量なものもラインナップされてきました。

使い方も抵抗と組み合わせるだけ、というシンプルなものであるため(大電力下で使うとなるとトランジスタなどを挟むことがしばしばですが)、ぜひこの機会にツェナーダイオードを知っておきましょう。

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