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SiC?InGaAs?次世代を行く!化合物半導体の特徴を徹底解説!

InGaAsSiCという用語を目にしたことがありませんか?

これらは化合物半導体という素子です。高速大容量かつ高電圧・高電流下にも強いといった、従来のシリコン半導体を凌ぐ性能を有しているため、次世代の半導体としばしば称されることもあります。シリコン半導体に比べて量産が難しく、また単価も高いといった課題はあります。

しかしながら2021年以降、さらに市場規模が拡大していくであろう見方が業界内ではなされており、自動車やデジタル精密機器,通信産業といった分野での注目度は高まるばかりです。

そこでこの記事では、化合物半導体の特徴や生産における課題を解説致します!

化合物半導体とは

1.化合物半導体とは?

化合物半導体は英語でCompound Semiconductorと表記します。この名前の通り、二つ以上の元素を化合(複数の元素が結びつくこと)させて構成する半導体です。

通常、ただ単に「半導体」と呼んだ時は、シリコン(Si)製を指すことがほとんどです。

ちなみに化合物半導体に対し、こういった単一元素の半導体は元素半導体と呼ばれることがあります。

シリコンは4価元素に分類され、このままでは原子同士が強力に結合しているため、外的刺激を与えても電流は流れません。

そこで5価元素や3価元素といった価電子の異なる不純物を少し加えることで、電圧印加によって電流を流したり制御したり、導体にも絶縁体にもなる性質を有することとなります。

このシリコン半導体こそが、長らく電子デバイスの根幹をなしてきたと言って過言ではありません。

一方でシリコン半導体は電流が流れている時に発熱しやすく、大電流下での使用には向いていないとも言われています。

また、電子デバイスが高性能化するにつれて、より高速かつ大容量を可能とする化合物半導体に注目が集まるようになっていきました。

とりわけ1990年代初頭から10年程続いたインターネット・バブル(IT景気)により、市場が拡大します。

一時期は後述する「課題」によって下火となったものの、近年ではさらなる市場規模の拡大が叫ばれているのは、冒頭で述べた通りです。

ではこの化合物半導体、どのような元素が化合されているのでしょうか。

その組み合わせは様々ですが、一般的にはIII族×V族(III-V族),II族×VI族(II-VI族),IV族同士が一例として挙げられます。

III-V族半導体は、III族としてアルミニウムやガリウム,インジウムを、そしてV族として窒素やリン,ヒ素を採用した化合物半導体です。

表記としてはGaAs(ヒ化ガリウム),GaN(窒化ガリウム),InP(インジウムリン)等が存在します。

II-VI族半導体は、II族としてマグネシウムや亜鉛,カドミウムを、そしてVI族として酸素や硫黄,セレンにテルルを採用した化合物半導体です。

表記としてはZnSe(セレン化亜鉛),CdTe(テルル化カドミウム)等が挙げられます。

IV族同士では、SiC(シリコン×炭素のシリコンカーバイド)が存在します。

この化合物半導体の使用例は多岐に渡ります。

まず、大電流・電圧下でのパワー半導体として。

また、後述しますが受発光機能を有し、かつ従来のシリコン半導体よりも高効率であるため、LEDや高性能光センサ

あるいは通信産業における高周波デバイスで用いられます。

2.化合物半導体の特性

次に、化合物半導体の具体的な特性について解説いたします。

化合物半導体は連結させる元素によって、多様な半導体を製造することが可能です。

しかしながら大まかに「電子デバイス用途」「光デバイス用途」に分類され、それぞれで優れた性能を発揮します。

共通する特性としては、まず高速であること。

電子の移動がシリコンに比べてスピーディーで、高速演算・信号処理が可能です。

また、シリコンと比べてバンドギャップが大きいということも大切な特徴です。

そのためワイドバンドギャップ半導体またはワイドギャップ半導体とも呼ぶことができます。

バンドギャップが大きいほど、電流が流しやすいことを意味します。

ワイドバンドギャップ半導体である化合物半導体は高電圧・高電流下での耐性に非常に優れています。

シリコンは動作時に発熱してしまう一方で耐熱性には限界があったため、大電流下ではヒートシンクを搭載しなくてはならず、小型軽量化の一つの障害となっていました。

その点に優れているため化合物半導体は電子デバイスや工業用途はもちろん、宇宙航空産業でも用いられてきました。

また、バンドギャップが大きいゆえに高周波帯での使用も可能となり、非常に幅広い用途で使えることを示唆しています。

さらに、受発光機能にも優れているためLEDやレーザーでの使用が一般的ですが、高効率であるためやはりスピーディーに、そして低消費電力での実現が可能です。

同様に磁気に反応する特性を持っているため、各種磁気センサとしても活用されています。

このように夢の半導体ではあったものの、なぜシリコン半導体ほど一般化していないのか。

その理由は、ある「課題」によります。

と言うのも、使われる元素にもよりますが、化合物半導体は結晶生成時に欠陥(割れや反り返り)が発生しやすいこと。

またシリコンと比べてウェハーの大口径化が難しく、量産に限界があること

使われる元素自体の単価が高いことから、どうしても高価格帯になりがち、といった側面があるためです。

しかしながら、高性能半導体へのニーズは年々高まっており、生産体制や出荷体制が各国で整いつつあります。

今後ますます市場規模は拡大すると予測されており、私たちにとっても身近になっていくことは間違いありません。

★バンドギャップについて知りたい方はこちら

3.まとめ

「次世代」などとも称され、今後ますますニーズが高まっていくであろう化合物半導体について解説致しました!

化合物半導体とは、二種類以上の元素を化合させることで生成した半導体であること。

従来ポピュラーであったシリコン半導体に比べて高速大容量かつ高効率。

かつ耐熱性にも優れるとあって、自動車や通信,はては宇宙航空産業でも重宝されていること。

一方で結晶生成時に欠陥が出やすかったり材料そのものの単価が高かったりと、結果として高額化しやすいことが現時点での課題になっていることをお伝えできたでしょうか。

今後、ますます産業ニュースでは化合物半導体の用語を目にしていくことでしょう。

現代人として、ぜひマスターしておきたいものですね!


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