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マイクロコントローラ(マイコン)って何のために使われているの?

「マイコン」「マイクロコントローラ」「マイクロコンピュータ」といった用語は、IT産業に身を置かずともそこかしこで耳にする昨今。

なぜなら、私たちの身の回りの電子機器の、ほぼ全てに組み込まれていると言ってもいい素子であるためです。

しかしながら、いったいこのマイクロコントローラが、何のためにあり何をしている素子なのか、よくわかっていないという方もいらっしゃるでしょう。

そこでこの記事では、マイクロコントローラについて解説いたします。

マイクロコントローラとは

1. マイクロコントローラとは?

「マイコン」と言った時、マイクロコントローラを指しています。

マイクロコンピュータやMCU(マイクロコントローラ・ユニット)もまた、同義です。

これらの指すところは、「コンピュータを動作・制御させるために必要な、多くの機能を搭載した集積回路」となります。

つまり、micro「極小の」+controller「制御装置」ということですね。

そのためワンチップマイコンと言った呼ばれ方がなされることもあります。

ちなみにマイコンは和製英語です。

現在、電子機器は様々な機能が求められています。

例えば炊飯器一つとっても、「炊く」「保温する」といった役割が期待されていますね。

これらの制御装置は、かつてトランジスタで実現されてきました。

とは言えトランジスタは専有面積の大きい半導体であるゆえに、トランジスタだけでこれら回路を組もうと思うと、きわめてボリューミーな機器となってしまいます。

しかしながら1960年代後半に入ると集積回路(IC)により、トランジスタを集積化し、オンチップ搭載したデバイスが開発されます。

これを契機に半導体の集積化技術が進み、1970年代に入ると、マイクロコントローラが出回るようになりました。

ちなみに世界で初めてマイクロコントローラが製品化されたのは1971年、Intel 4004によるものと言われています。

こういった背景からもおわかり頂けるように、マイクロコントローラの何よりの魅力は「小型化」です。

集積化技術の発達によって機器に求める機能を全て一つのマイクロコントローラに搭載することもでき、多機能化・高性能化容易ということも挙げられます。

また、コンピュータ制御に必要な機能全てを既にオンチップしているため、回路をイチから設計する必要がなく、マイクロコントローラの利用によって製品開発時間を大幅に短縮することが可能です。

さらに言うと、現在の多くのマイクロコントローラはC言語等を用いてプログラムすることで、開発途中の動作変更にも対応することができるようになりました。

これら魅力から、冒頭でもご紹介したように今では身の回りの電子機器のほぼ全てに搭載されるようになったマイクロコントローラ。

次項では、実際にどのような機能を備えているのかを解説いたします。

2. マイクロコントローラの基本構成と機能

マイクロコントローラには、基本的に「CPU」「メモリ」「タイマー」「周辺回路とのインターフェース」を有します。

それぞれを解説いたします。

① CPU

CPUはCentral Proccessing Unitの頭文字を取った用語で、マイクロコントローラの脳にあたる部分です。

コンピュータを動作・制御するための実際の計算・命令を行います。

CPUのスペックはしばしばビット数で表されます。

このビット数は、どれくらいの情報量を扱えるか、というものです。

ビット数が多ければ多いほど、できることが多くなります。

② メモリ

CPUから発せられた命令を一時的に記憶しておくための装置です。

このメモリはRAM(Random Access Memory)またはROM(Read Only Memory)の二種があります。

前者は揮発性メモリと呼ばれ、電源を切ると保持されていたデータが消えるもの。

後者は電源を切ったとしてもデータが保持されるものを指します。

RAMは一過性の記憶となりますがデータの書き換えや消去がいつでも可能です。

ROMは記憶が消えない代わりに、基本的にはデータの書き換えが行えません。

ただし、最近ではROMでありながらデータ書き換えが可能なデバイスも登場しています。

フラッシュメモリがその典型例でしょう。

ちなみに先ほどビット数は「どれくらいの情報量を扱えるか」と申しましたが、もう一つマイクロコントローラのスペックを決めるうえで重要なのがメモリの容量です。

メモリが大きければ大きいほど保持できるデータが増え、高速処理が可能となります。

もし速度を求めるなら、メモリ容量の大きいコンピュータデバイスを購入するか、メモリを増設することが求められます。

③ タイマー

その名の通り、プログラムの実行時間等を管理するための時刻機能です。

時間を得るのみならず、「割り込み」と呼ばれる機能も果たします。

これは、あるプログラムをマイクロコントローラが実行している時、全く異なる動作を割り込んで実行させる仕組みです。

タイマーでタイミングを計り、任意の時間にそれぞれの動作を実行します。

なお、タイマーを制御・管理しているのは当然CPUとなります。

④ 周辺回路とのインターフェース

マイクロコントローラがいくら多機能とは言え、エナジーを供給してもらう電源回路,ハードに信号を伝送するための発振回路,回路全体を安定化させるリセット回路等、周辺回路と繋げて用いることが求められます。

そのためマイクロコントローラには、これら周辺回路と接するためのインターフェースを有します。

3. マイクロコントローラとマイクロプロセッサの違い

最後に、よく頂くお問い合わせ「マイクロコントローラとマイクロプロセッサの違い」について解説いたします。

マイクロプロセッサとは、前項でご紹介したCPUをオンチップしたものとなります。

マイクロプロセッサもまた昔から使われてきたチップで、マイクロコントローラと同時期の1970年代初期に登場しました。

汎用マイクロプロセッサはプログラムの変更がマイクロコントローラよりも容易です。

また、CPU機能のみであるため小型軽量なことも特徴です。

一方でマイクロプロセッサ単体では、前述したメモリ等の周辺素子が別途必要になってきます。また、それらを繋ぐ配線もなくてはなりません。

そのため市場としてはマイクロコントローラの方が大きくなります。

しかしながらマイクロプロセッサのその汎用性の高さから、携帯電話を始めとした家電で今なお重宝されています。

もっとも、だんだんとマイクロコトンローラとマイクロプロセッサの境界はあいまいになってきており、この二つに優劣はありません。

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4. まとめ

マイクロコントローラについて解説いたしました。

マイクロコントローラとはコンピュータを制御するための機能がオンチップされた集積回路であることCPUやメモリといった素子を集積化してあるため、きわめて小さな専有面積で多機能を持たせられること。

開発途中のプログラミングが可能であったり、制御のための回路をイチから作り上げたりする必要がないため、製品開発のための時間やコストを極力抑えられること。

マイクロコントローラとマイクロプロセッサは異なる素子ですが、近年ではその境界があいまいになってきていることなどをお伝えできたでしょうか。

今、私たちが使っているスマートフォンやパソコンにもマイクロコントローラは必ずと言っていいほど搭載されています。

マイクロコントローラの多くの優れたメリットを鑑みれば、その市場は今後もますます広がっていくことでしょう。


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