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今更聞けない!集積回路(IC)ってどんな仕組みの回路?

集積回路とは文字通り、回路を集積した電子部品です。

もし存在しなかったら、パソコン、スマートフォン、デジタルカメラに家電など、ありとあらゆる便利な電子機器は使えないか、
あるいは何十倍・何百倍と大型になっていたことでしょう。

この記事では、集積回路はどのようなものか。どのような仕組みを持ち、どのような種類があるかなど、基本のキを解説いたします!

集積回路

1.集積回路(IC)とは?

回路とは電子部品の繋がりであり、一つの機能です。

その電子部品の各種繋がりを、一枚の基板(チップ)上に実装したものを集積回路と呼びます。

ここで言う電子部品は、抵抗やコンデンサ、トランジスタなど様々ですが、多数の素子が集積し、パッケージングされています。

市販品にせよ、個人の電子工作にせよ、回路構成が共通のものは少なくありません。

増幅回路や論理回路(論理演算を行う、非常に基本的な回路のこと)など、構成が決まっていて、
しかも複雑なものを工作の都度、製造するのは効率が悪く、時間もお金もかかってしまいますね。

集積回路は、そんな面倒な手順を省くために、既にチップ上に必要な回路を実装していてくれる便利な電子部品なのです。

ちなみにどの程度の素子が集積しているかと言うと、製品にもよりますが、多いものだと数十億個以上ものトランジスタが搭載されています!

しかも、ナノメートルという極微細なチップ上で、です。

後述しますが有名な「ムーアの法則」通り、この集積率は年々増えてきており、チップの小型化も進んでいます。

現在はこのムーアの法則は半導体の製造スペースと見合っていないとされていますが、ICチップのキャパシティとはすなわち集積率であり、これが高ければ高いほど高性能であることを示唆しています。

2.集積回路(ICチップ)の歴史

集積回路(ICチップ)は、半導体が発明されたことからその歴史をスタートさせます。

1940年代まで用いられていた電子部品として代表的なものは真空管です。

1879年に米国のトーマス・エジソンによって電球が発明されますが、さらにエジソンは白熱電球の中に電極に繋いだ金属板を入れると、熱せられたフィラメントが、一方の電極に生電圧を印加した際に電子を放出するというエジソン効果を発見しました。

そして1904年に、イギリスのフィラメントがこのエジソン効果を真空管内部で応用・実用化したものが真空管となります。

真空管は現在のトランジスタやダイオードの働きを担うこととなり、整流装置や増幅装置として用いられることとなりました。

しかしながら「真空管」を持つがゆえに、どうしても小型化が難しかったこと。

また消費電力が大きかったことから、真空管の時代が続いたなら、集積回路の時代は到来しなかったでしょう(もっとも、今なお真空管アンプでなくては、と語る音楽愛好家などもいらっしゃいますが)。

ちなみに世界で初めて実用化されたと言われる汎用コンピュータは1946年にリリースされましたが、これは消費電力150キロワット、重量30トンに及ぶ代物で、建物いっぱいがこの真空管コンピュータで埋まってしまうほどだったとか。

その風向きが変わるのは1940年代です。

1947年にジョン・バーディーン,ウォルター・ブラッテンによって点接触型トランジスタが、翌1948年にウィリアム・ショックレーによって接合型トランジスタが発明されたことが、この風の一つです。

ちなみにこの三名は米国のベル研究所でともにトランジスタ開発に心血を注いでおり、1956年には三名ともにノーベル物理学賞を受賞しています。

トランジスタ一つが、真空管一本分に代わると言われることもありますが、トランジスタの登場によって1950年代以降、コンピュータ市場は急速に拡大していくこととなりました。

電話を始めとしたさまざまなエレクトロニクス産業において、小型で大量生産可能・ある程度の精度を出せる増幅回路へのニーズがかつてないほど高まっていたためです。

そんな中で集積回路の構想は、トランジスタ開発から僅か5年ほどとなる1952年、アメリカのワシントンD.C.で始まりました。

レーダー科学者ジェフリー・ダマー氏が、米国電子部品シンポジウムでその構想の一端を発表しています。

すぐに実用化は果たさなかったものの、すぐに各社で研究開発が行われたことは想像に難くありません。

その後1958年、某大手半導体メーカーであるT社に属するジャック・キルビー氏が実用化に成功させると、急速に世界中へ普及していくこととなります。

各社で市販製品への搭載が順次行われていきました。1957年に半導体市場は1憶ドル、1964年には10憶ドルにまで及んでいたと言われています。

なお、同時期、やはり集積回路の開発に成功していた重要人物がいます。

米国の競合他社に属していたロバート・ノイス氏です。

この両氏が集積回路の発明者として名を残していますが、ジャック・キルビー氏の方が特許取得の月日は早くなります。

この時期に、既に前述した「ムーアの法則」が提唱されていました。

ちなみにジャック・キルビー氏はこの法則を提唱したゴードン・ムーア氏とともにI社を創設しています。

ムーアの法則とは、1965年から始まった、ゴードン・ムーア氏による半導体技術に対する予測です。

当初ムーア氏は、集積回路の部品数が毎年二倍になり、かつこの傾向は少なくとも10年続いていく、と述べました。

確かに当時はまだ数個の素子がチップ上に載せられている程度でしたが、小型軽量化は時代のニーズです。

1975年に一度この予測に修正を加えるものの、「18ヵ月で二倍」集積率が増えていく、というのが業界内では常識となっています。

もっともムーアの法則は近年では限界に達しているといった見方も大きいですが、その後の集積回路の歴史を十二分に示唆していく提唱でした。

1970年代には集積度が数万トランジスタとなる、LSI(大規模集積回路)の時代に入っていきます。

1979年には、半導体市場が100億ドルを突破しました。

1956年、『経済白書』で「もはや戦後ではない」と宣言された日本国内でも、半導体技術の開発・研究は盛んに行われ、60年代に花開いていくこととなりました。

パイオニアは日本を代表する電機メーカーであるS社であり、集積回路搭載モデルの処女作は電卓でした。

当時早川電機工業だった同社は、国産初のトランジスタ製造を行った神戸工業から佐々木正氏に協力を仰ぎ、1966年に世界発となるIC電卓を開発します。

その3年後にはさらに大規模なLSI電卓を売り出しました。

電卓を中心に電子機器の小型化・高機能化が大きく飛躍し、日本のものづくりを発展させます。

なお、佐々木正氏は2018年にご逝去されましたが、佐々木正氏のDNAは今なお産業の根幹に根付いています。

1980年代に入るといっそう微細化が進み、VLSI(Very Large Scale Integration)へ。

90年代にはULSI(Ultra-Large Scale Integration)と進んでいき、2000年代には100万ゲート超の素子を搭載したチップや、システムLSIと呼ばれる、集積回路をLSIとして集積した電子デバイスも普及していきました。

現在ではLSIやVLSIなど集積度合でICチップの呼称を変えていませんが、これはもはや高集積が当たり前となったことに起因しているのではないでしょうか。

3.集積回路(IC)の製造過程とは?

集積回路は、いったいどのように製造されているのでしょうか。

前述の通り、現代の集積回路の集積率はきわめて高いため、手作業でチップに配線する・・・というわけにはいきません。

そこでイメージとしては、チップを作り、そのチップ上に回路パターンを転写していきます。

そのため集積回路を作るためには、まずコンピュータを用いて回路パターンを設計・作成しておきます。

作成した回路パターンは透明なガラス板の表面に描きます(もちろんコンピュータを用いて)。

これがフォトマスクとなり、ウェハーに回路を転写する際に用います。

回路パターンができたら、いよいよチップを作っていきましょう。

ところで集積回路って何でしょう?

集積回路の正体は半導体です。

この半導体の基本となるものが、シリコン結晶です。

もちろんコンデンサやトランジスタなどの半導体を実装するためのチップもシリコン製です。
これをウェハーと呼びます。

製造工程としては、純度の高いシリコン結晶を溶かします。

なお、シリコンは4価元素(価電子が4つある元素のこと)に当たります。

不純物のない、純正の半導体なのですが、実は純半導体は電流がほぼ流れません。

そこで、価電子の異なる別の物質を少量混ぜることで、電子部品として成り立たせることが必要です。

これをドーピングと呼びます。

混ぜ合わせられるものは、まず3価元素にあたるホウ素やガリウム。
3価元素が混ぜられたシリコンをp型半導体と呼びます。

もう一つ、5価元素を混ぜるものもあります。
リンやヒ素などですね。

5価元素が混ぜられたシリコンをn型半導体と呼びます。

このシリコンを溶かし、ゆっくり回転させながら引き上げます。

すると、一つの大きな円柱形の塊(インゴット)となります。
ちなみにインゴットの直径は、8インチ,12インチなど年々大きくなっていっています。

直径を大きく生成・しかも均一にすることは難易度が高いのですが、大きければ大きいほどたくさんの集積回路を一度に形成できます。
そのため、製造技術は開発・研究され、進化し続けています。

その後、インゴットを0.5mm~2mm程度の薄さにスライスします。
このスライスしたものがウェハーとなり、集積回路の基板となるのです。

ちなみにウェハーの語源は、焼き菓子のウェハースからちなんでいます。

ウェハーが出来上がったら、いよいよ回路を転写しましょう。

ウェハーに集積回路を形成するにはステッパースキャナーなどと呼ばれる光学装置が用いられます。

ステッパーは半導体製造のために開発されたデバイスで、数百~数千の集積回路を焼き付けることができます。

ウェハーにフォトレジストを均一に塗布し、事前に作っておいたフォトマスクを、ウェハーへ光によって照射します。

縮小レンズを通すため、ごく微細なウェハーにもフォトマスクのパターンを転写することができます。

フォトレジストは化学薬剤で、塗布された部分は光に反応します。

回路パターンによって露光する部分としていない部分が存在するため、照射後に溶液に入れてフォトレジストを除去すると、パターンが浮かび上がっているというわけです。このパターンに沿ってエッチングすると、回路がウェハー状に出来上がります。

なお、前述した不純物を含有させるドーピングは、エッチング後に行われます。

これによって集積回路としての半導体特性を獲得したこととなります。

上記の工程を繰り返し、必要な回路がウェハー状に転写されていきます。

そうして全ての回路パターンが転写できたら電極を作成します。

晴れて集積回路となったウェハーはカッターで個々に切り離されます。

その一つ一つをダイ(die)と呼び、ダイは配線用の端子の台の上に置かれ、ワイヤーで接続されます。
そうしてダイの保護のためプラスティックなどでパッケージングすれば集積回路のできあがりです。

ちなみに現在ではシリコンに代わって、同じ4価元素である炭素(C)で生成されたダイヤモンドが集積回路の材料として注目を浴びています。

ダイヤモンドと言うとマリッジリングなど「高価」なものを思い浮かべるかもしれませんが、実は産業用途によく用いられる素材です。
ダイヤモンドはシリコンに比べて熱伝導率が高いことが注目の理由です。伝導率が高いほど敏感に反応できるため、高性能センサなどで重宝されます。

4.集積回路の仕組みとは?

集積回路は、前述したウェハー上に多数のトランジスタやFETといった素子が複雑にセッティングされています。

さらにそれらを接続する配線層で構成されます。
集積回路の仕組みを読み解くには、実装される半導体がどのように構成されているのかを知らなくてはなりません。

半導体には様々な形状がありますが、どうやってあんなに小さなチップの上に集められているのか、疑問に思ったことはありませんか?

特に集積回路に必須となるトランジスタを使ったことがある方は、小指の先くらいの大きさであるといった認識ではないでしょうか。

集積回路は、当然ながら多数の回路が集積されているほど性能が良い、ということになります。

その性能向上のために開発研究が進んだのがトランジスタの製法でした。

トランジスタ製法にはいくつかの手法がありますが、集積回路に用いられるのはプレーナー型と呼ばれるものです。

planar【フレーナー】とは「平らな」「平面の」といった意味の英単語で、ウェハーを酸化膜で覆った後、さらにその酸化膜の特定の部分を除去します。

酸化膜はn型半導体となりますが、除去した部分は空洞ができるので、p型半導体の構成要素となる不純物をイオン化し、注入していきます。

すると、平らなn型半導体の中に薄いp型半導体を入れることができ、薄型トランジスタとして機能できるのです。

このプレーナー型製法はイオン注入式と呼び、現在の主流となっています。
これで、おなじみのNPNトランジスタが形成されましたね。実装されたトランジスタがスイッチングを行うことでスムーズな動作のための電流が流れ、回路としての機能が発揮されているのです。

なお、トランジスタ以外の抵抗やコンデンサといった半導体素子も、このプレーナー製法によって製造されています。

半導体は、かつてはこの薄型かつ安定した個体を作ることに非常に高い技術力が必要でした。
そのためプレーナー型製法が開発されるやいなや、集積回路の性能も飛躍的にアップすることとなります。

ちなみにバイポーラ・トランジスタだとn型、p型、n型と複数回の工程が必要となりますが、FETはシンプルな構造のため比較的容易な製造過程で済むことから、現在の集積回路の多くはFETが採用されています。

5.集積回路を指す用語はたくさん?

集積回路の構造自体は複雑ですが、概念は至ってシンプルです。

しかしながらその概念をわかりづらくしている一つの要因として、頻繁にICとか、LSIとか、そんな集積回路を指すだろうアルファベットが出てくることが挙げられないでしょうか。

そこで、よく出てくる略語をまとめてご紹介いたします。

■ICとは
Integrated Circuitの略です。Integratedとは「統合された」、circuitとは「回路」と言う意味で、そのまま集積回路を指します。
■LSIとは
Large Scale Integratedの略です。大規模集積回路と訳されます。
一つの基板に1000~10万ほどの素子が実装されている集積回路を特にこう呼びます。
そして、複数のLSIで構成していたシステム機能を一つの集積回路に全て収めたものをシステムLSIと言います。
■VLSIとは
Very Large Scale Integratedで、LSIより集積度が高い個体を指し、その素子数は1000万程度と言われます。
こちらは今ではあまり使われていません。
かつてはメーカーや回路によって集積度に大きな違いがあったため、呼び分けが必要であったため、普及したという背景があります。
■ULSIとは
Ultra Large Scale Integratedで、1000万以上の素子が実装された集積回路のことです。こちらも今はあまり使われていません。
■SSIおよびMSI
Small Scale IntegrationおよびMiddle Scale Integratedの略です。
LSIが出る以前の小規模な集積回路の呼称として使われていました。
■SoC
System on a Chipの略です。
現在では、集積回路の上に一つの統合されたシステム自体を組み込んだ製品が開発されており、特にそういった製品を指しSoCの呼称が使われています。
よくCPUと混同されることがありますが、CPUはメモリやマザーボード、ビデオチップなどを別に用意しなくてはシステムを動かすことはできません。
一方SoCはシステムそのもののため、用途によって必要なパーツを集積しています。そのため、単体でのシステム動作を実現しています。

6.集積回路の種類

ひとくちに集積回路といっても、様々な種類があります。
それらは構造・機能によって分類することができます。以下でご説明いたします。

  1. モノリシックとハイブリッド

    集積回路の構造によってモノリシック型とハイブリット型に分類されます。

    モノリシック型とはmonolithicと表記し、「一つの石」という意味です。
    文字通り一枚の基板上に素子を実装した集積回路を指します。現在ラインナップされている集積回路の主流で、論理回路、メモリ回路、増幅回路など幅広く用いられます。
    集積度が高く、しかも工程が少ないので安価なことが特徴です。

    一方のハイブリッド型は、基板に絶縁体を用いたものです。
    実装されるトランジスタなどは個々で製造されたものとなり、一つ一つが個別に直接貼り付けられたスタイルとなります。
    素子は複数が実装されます。モノリシックよりも密度が高く比較的小型化が容易です。大電力・高周波での使用下に向いているという特徴があります。

  2. デジタルとアナログ

    扱う信号によっても種類分けすることができます。

    デジタル集積回路とは、デジタル信号(離散値)を処理する集積回路です。

    デジタルは0・1だけを扱うシンプルな信号のため、オンオフといったスイッチング機能を有するトランジスタやダイオードがメインに素子として用いられます。
    大量生産が可能で過度に精密な正確性はあまり求められません。そのため先ほどご紹介したモノリシック集積回路はデジタル処理であることがほとんどです。

    アナログ集積回路とは、アナログ信号(連続値)を処理する集積回路です。デジタル信号のように0か1ではなく、量の大小で表記します。
    また、アナログ信号をデジタル信号にも変換します。電圧電源や動力源の制御などに用いられます。

  3. デジタル集積回路をさらに種類分け

    デジタル信号の中でもさらに種類分けができます。
    それは、ロジック集積回路とメモリ集積回路です。

    ロジック集積回路は、データ加工や計算などといった、論理的な演算のために用いられる製品です。

    マイコン(マイクロコンピュータ)であるPIC(ピック)やH8マイコン(エイチハチ)が一例です。
    ちなみにPICとはPeripheral Interface Controllerの略で、インターフェースコントローラーの周辺という意味です。マイクロチップ・テクノロジー社の製品となります。

    H8は日立製作所が開発し、現在はルネサスエレクトロニクス社が引継ぎ、ラインナップしているマイクロプロセッサです。どちらも使いやすく、使用者が応用できるという自由度の高さが特徴です。

    なお、PICやH8にかかわらず、ロジック集積回路は必要に応じてプログラムを書き換え、用途変更することが前提です。

    また、ASIC(エーシック)もロジック集積回路としてよく用いられます。
    Application Specific ICの略で、特定用途向け集積回路を意味します。
    ASICは主に産業用途で、あらかじめ目的別に複数機能が搭載されていることが特徴です。マイコンなどのように後々の書き換えはほとんどしません。

    メモリ集積回路はデジタルデータを保存するために用いられる集積回路です。
    よくメモリ、メモリと言いますが、半導体素子によって構成された記憶媒体がその正体です。
    メモリの種類は記憶の保持機能によって、揮発性メモリと不揮発性メモリが存在します。

    揮発性メモリは電源を切ると記憶した情報が失われるメモリとなります。RAM(Ramdom Access Memory)が代表的ですね。
    不揮発性メモリは電源を切ってもメモリが保たれるものを指します。
    DRAM(Dynamic Random Access Memory)などが挙げられます。

  4. アナログ集積回路をさらに種類分け

    アナログ集積回路は幅広く用いられるため厳密な種類分けは難しいのですが、汎用回路と専用回路におおまかに分類できます。

    代表的なものとしてはオペアンプ回路。汎用回路にあたります。
    オペアンプとは演算と増幅の双方を併せ持つ電子部品です。ちなみに冒頭でも触れましたが、演算回路と増幅回路は本当に複雑で、これを集積回路とした功績は計り知れないものがあります。二本の入力端子を持ち、この入力電圧の差に比例するようにして電圧を出力するという機能を持つことから、差動増幅といった呼び方もなされます。

    専用回路にはAC-DCコンバータ(交流電圧を直流電圧に変換するもの)やDC-ACコンバータといった電源回路用、パワーアンプ用や通信機器用などが挙げられます。

7.集積回路(ICチップ)の市況

ますます市場を拡大していく半導体。

世界半導体市場統計(World Semiconductor Trade Statistics:WSTS)のレポートによると、2022年の半導体市場は前年比9%増となり、6014憶米ドル(約67兆円)を突破することが予測されました。これは、過去最高値となります。

ちなみに2021年は市場成長率が前年比25%増ときわめて高く、引き続き拡大していくことが見込まれています。

半導体の中でも特定用途向け集積回路市場に目を向けてみると、2015年から2020年にかけて約7%のCAGR(年平均成長率)で推移しており、さらに2021年から2026年にかけても緩やかに成長していくことが予測されています(IMARC Services Private Limitedによる)。

背景としては、新型コロナウイルス禍によってテレワークを始めとした「おうち時間」が増え、ネットや周辺デバイスの整備への需要が高まったこと。これは企業のデジタルトランスフォーメーションや各家庭のIoT化にも言えることですね。

また5Gの普及,電気自動車の普及などといった時代の要請も追い風となっています。

ますます集積回路の重要性は高まっていくことは言わずもがなですが、市況や社会情勢と合わせて、注意深く見守っていきたいと思います。

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