インダクタとは?コイルとの違いはある?

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インダクタについてのイメージと公式と電子用記号の画像

インダクタはコイルの特性「インダクタンス」に由来する電子部品です。

ほぼコイルを指すのですが、インダクタンスならではの性能を活かして使用する時、特にコイルではなくインダクタと呼ぶことがあります。

このインダクタの性能は、あらゆる電子回路の屋台骨のようなもの。
抵抗になって電圧を制御したり、ノイズを除去して電流を安定させたり、必要・不要な信号を選り分けたりと、重要な役割を担います。
そのため、スマートフォンなどの通信機器、自動車、精密機器などあらゆる電子機器で活躍してきました。

このページでは、そんなインダクタとはどういったものか。原理と仕組み、特性、種類などをご紹介いたします。

1. インダクタとは?

インダクタはコンデンサや抵抗器などと同じ受動電子部品(供給された電力を整流したり増幅したりせず、そのまま使ったり蓄積したりするもの)です。

回路図ではLの略号が用いられ、抵抗・コイル・コンデンサを含む回路を特別にRLC回路と呼ぶほど、電子機器の基本的な素子となります。電子機器には必ず使われていると言ってもいいでしょう。

インダクタの特徴は、大きく分けると以下の三つに分類されます。

  • インダクタに流れる電流が増加するとそれを妨げようとする
  • インダクタに流れる電流が減少するとそれを増加させようとする
  • 所定の周波数より高い周波数の電流を通さないようにする

もちろんこれだけではありませんが、こちらがインダクタの基本となります。
なぜこのような特性を持つのか、その原理・仕組み、そして詳細な特徴を次項で解説いたします。

2. インダクタの原理・仕組み、特性

インダクタはコイルです。

そのため、針金などと言ったひも状の導線を、らせん状や渦巻き状に巻いた構造をしています。

インダクタは、電流が流れている間、磁石のような働きを持ちます。
この電流と磁界の関係を利用したのがインダクタとなります。

① 原理・仕組み

なぜインダクタに電流が流れると磁石のように働く、つまり磁界が発生するのでしょうか。
これは、金属導線が関係しています。

導線に電流が流れると(導線の両端は外部端子となっているので入出力できる)、その導線を中心に、同心円状の磁界が発生します。
磁界は電流の流れる方向から見て右回りに発生するという特性があるため、そのような現象を起こします。

いわゆる右ネジの法則、アンペールの法則というものですね。

そして、この導線をバネ状に巻いたものがインダクタですが、そうすることによって磁界が結束し、同一方向になって強化されます。
この巻き数が多ければ多いほど、そして直径が小さいほど磁界の結束は強まり、磁力は高まることとなります。

さらにインダクタは、この導線の中に芯を入れています。

この芯は、磁性を帯びやすい物質(強磁性体と言う)が用いられます。
ぐるぐる巻いた導線の中に強磁性体を入れるとさらに磁力が強まることに加えて、その磁力を蓄えられる、という特性を持ちます。
なぜかと言うと強磁性体は磁界に触れると磁石の性質が現れるためです。これを磁気誘導と呼びます。

芯には鉄心やフェライト芯が採用されます。なお、フェライトとは酸化鉄を主成分としたセラミックです。
ちなみに導線自体にはエナメルなどが塗布されており、電気は通していません。

では、インダクタに発生させた磁界は、どのような特性を生んだのでしょうか。

②特性

インダクタは、前述した電流と磁界の原理・仕組みを利用した電子素子です。
磁界は、以下のような作用を生み出します。

  • 自己誘導作用とインダクタンス

    交流は直流と異なり、電圧の向きや量が一定周期で変化しています。

    そのため、交流をインダクタに流すと、交流の周期に合わせて磁界も変化していくこととなります。

    インダクタは、この磁界の変化によって起電力(回路に電気を流そうとする力)が生じる、という性質を持ちます。
    フレミングの右手の法則でお馴染みの「電磁誘導作用」の一種ですね。
    電磁誘導作用は力を外部から加えなくてはなりませんが(導線を動かすなど)、インダクタは磁界の変化でこの作用を起こすため自己誘導作用、この時の起電力を自己誘導起電力と呼びます。

    そして、この自己誘導作用はインダクタの大きさや導線の巻き数などによってどれくらいの自己誘導起電力が発生するかが決まります。
    この一連の性質をインダクタンスと言います。

    冒頭でも述べたように、コイルを特にインダクタと呼ぶのは、インダクタンスに依るものです。

    インダクタンスを大きくしたければインダクタの断面積を大きくする、あるいは導線の巻き数を多くする、などが求められます。
    インダクタンスの単位はH(ヘンリー)です。1秒間あたりに1Aの電流変化が生じた時、1Vの起電力が発生したらそのインダクタのインダクタンスは1H、という計算になります。

    ちなみにインダクタの中の芯で磁力を蓄えられる、と前述しましたが、この貯蓄量はインダクタンスの大きさで決まります。

  • 誘導リアクタンスの発生

    磁界の変化によって発生した自己誘導起電力は、電流の変化を妨げるような向きに発生する作用があり、抵抗のような働きを起こします。

    これを誘導リアクタンスと呼び、抵抗の一種のため単位はΩ(オーム)が用いられます。

    「変化を妨げる」ということは、交流電流が強まればそれを妨げる向きに起電力が発生し、結果として抵抗となりますが、一方で交流電流が減少すれば増加する方向に働き(起電力が発生しない)、結果として電流が流れやすくなります。

    このちょっと天邪鬼な性質はレンツの法則の一種で、そのためインダクタ(コイル)の回路図の略号にLが使われているのでは?などと取沙汰されることがありますが、正確なことはわかっていません。

    また、交流は電流の向きもしばしば変わります。

    この向きが逆転した時、電流が誘導起電力に妨げられ、その力を上回る前にまた向きが変わってしまうので、電流が流れないこととなります。
    一方で回路に流れている交流の向きに変化が無い時は起電力が発生しません。

    ちなみに回路に流れている交流電流と自己誘導起電力は、同じ周波数の正弦波であっても、位相(正弦波の時間的なズレ)が異なります。

  • 誘導リアクタンスと周波数

    誘導リアクタンスの力(Ω)は、回路に流れている交流の周波数に比例します。

    つまり、交流の周波数が高くなれば誘導リアクタンスは大きくなり、結果として回路に電流が流れづらくなります。
    逆に交流の周波数が低くなれば誘導リアクタンスは小さくなり、交流電流が流れやすくなります。

  • 直流を流した時

    直流は交流のように向きや量が変化することはありません。

    そのため磁界が変化することはなく、誘導起電力が発生することもないですね。短絡(ショート)している状態となり、抵抗はゼロです。
    つまり、インダクタとは直流は通し交流は通しづらくするための電子部品とも言えます。

3. インダクタの用途と使用例

以上でご紹介した特性を用いて、インダクタはどのような用途で使われ、どのような役割を担っているのでしょうか。
大まかに分けると、三つの用途が挙げられます。

  1. 電源回路用(パワーインダクタ、チョークコイル)

    私たちのお家に設置されているコンセントから出てくるのは交流電流です。しかしながら多くの電子回路は直流電流で駆動します。
    その直流は、ノイズが少ないほど精密機器をスムーズに動かしてくれますね。

    インダクタは、交流電流は通しづらく、直流電流は通しやすい、という性質がありました。
    また、高周波であればあるほど誘導リアクタンス(抵抗のようなもの)は高くなる、という特性もありますね。

    つまり、電源用回路(平滑回路に用いられることが多い)にインダクタを入れることによって、より直流に近い電流を次の回路に流せる。
    かつ高周波を阻止し、余計なノイズを除去することが可能となります。

    こういった電源回路用のインダクタをパワーインダクタ、あるいはチョークコイルと呼びます。
    パワーインダクタにはチップ型の小型軽量なものから、大電流下での使用ができる大型のものまでと、ラインナップは様々です。

  2. 高周波回路用(トロイダル・コアなど)

    これは、電源回路用同様、精密機器を正確に動作させるために、高周波を通さない特性を活かすインダクタの使用例です。

    携帯電話や無線LANといった通信回路は超高周波数帯域で、通常のインダクタだと回路内の周囲の環境に影響されて本来の性能を発揮できません。
    電波障害の原因になってしまいます。

    そこで使用されるのが、円環状の強磁性体に巻き線を巻いたトロイダル・コアと呼ばれるインダクタです。
    トロイダル・コイルとも呼ばれます。

    トロイダル(Toroidal)は「ドーナツ状の」という意味を持つように、ドーナツのように真ん中が空洞となった形状が特徴的です。
    芯に強磁性体が入っていると、一方の先端から磁力線が飛び出してもう一方の端に繋がってしまい、漏れ磁束(磁場が外側に漏れてしまうこと)が出ます。
    これは、周囲の電子部品に影響を与えたり、影響を受けたりする、ということ。

    ドーナツ状のトロイダル・コアを使うことによって磁場の多くが芯の中に閉じ込められ、漏れ磁束を抑えることができ、インダクタンスが高効率かつ安定して発生できます。
    ちなみにこれもアンペールの法則によるものです。

    トロイダル・コアのインダクタンスは芯の材質や金属線の巻き数、芯となる強磁性体の断面積などによって変わります。仕様書を確認しましょう。

  3. 電源変圧用(トランス)

    海外旅行には必須の変圧器。英語でTransformerのため、トランスとも呼ばれていますね。

    この仕組みはインダクタの利用にあります。
    変圧器は、一つの強磁性体に導線を二つ以上巻き付けた構造となっています。
    この時、入力側のインダクタを一次、出力側を二次と表します。

    一次インダクタに交流電流が流れると電磁誘導作用によって磁場が発生しますが、レンツの法則によって磁束の中にある二次インダクタに電流が流れます。

    つまり、二次側で出力電圧が発生する、ということ。
    この電圧を調整するには、一次と二次で導線の巻き数の比で決定します。
    一次側のインダクタの巻き数に対し、二次側の巻き数が小さいほど出力電圧は小さくなります。

    なお、インダクタに磁場は交流でないと発生しないため、直流電圧を変換することはできません。

    三分類でご紹介しましたが、もちろんインダクタの役割はまだまだたくさん。
    後述しますが近年では製品開発が進み、より高い効率でより使いやすいインダクタが市場を賑わせています。

4. インダクタの種類

「インダクタ」「コイル」と聞くと、棒状の強磁性体に導線がぐるぐると巻き付けてある形状が思い浮かぶかもしれません。
しかしながらトロイダル・コアを始め様々な種類がラインナップされています。

製品によってその機能や仕様も様々。代表的なインダクタをご紹介いたします。

  1. チップ型インダクタ

    チップ型の小型軽量なインダクタです。

    用途は様々ですが、本来インダクタは小型化すると性能が低下しやすい傾向にありました。
    とは言え近年の精密機器はダウンサイジングが欠かせません。

    多くのメーカーがチップ型インダクタの開発を勧め、表面実装が可能かつ高周波回路にも使える製品が増えてきています。

  2. 同調回路用インダクタ

    「同調コイル」とも呼ばれますが、インダクタとコンデンサを組み合わせることによって、任意の周波数のみを回路へ通すためのインダクタです。
    パワーインダクタと性能が似ていますが、こちらは雑音を除去するのではなく、特定の信号を選り分ける役割を果たします。

    ラジオなどで、特定の周波数だけ取得したい場合に用いられてきました。

  3. バーアンテナ

    同調コイルの強磁性体を長くすることで、アンテナとして電波を受信できるインダクタです。

    芯には鉄心ではなく、フェライトが用いられることが多くなります。
    ラジオや無線回路などで用いられてきました。

    小型軽量化が容易なことも大きな特徴です。

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