オペアンプは難しくない!上手に使って高性能回路をつくる

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オペアンプの回路記号

微弱な信号を増幅させたり、高精度・高性能なアナログ回路を実現してくれたりと、便利なオペアンプ。
トランジスタで構成される半導体デバイスですが、電子回路の設計においてほぼ必ず使われると言っていいでしょう。
そんな重要なオペアンプですが、多彩な応用回路に対応可能という優れた一面も持ちます。
一方でその汎用性の高さゆえ、いまいちどのようなものかがわからない、という声も耳にします。
そこでこの記事では、オペアンプとはどういったものか。特徴やできること、種類・選び方などを解説いたします。

1. オペアンプとは?

オペアンプは英語で書くとOperation Amplifier(オペレーション・アンプリファイヤー)、Opアンプなどとも表記されます。
日本語では演算増幅器となり、その名前の通り電圧の増幅や、アナログコンピュータにおけるアナログ演算(加算・減算・微分・積分)のために使われていました。

増幅・演算回路は非常に煩雑です。自分自身でトランジスタなどを使って構成することは時間もかかってしまいます。
そこで電子部品には電子回路内でよく利用される機能を集積回路(IC)としてまとめてパッケージングしたものが販売されますが、オペアンプはそのICとして開発されたものです。

とは言え、現在アナログコンピュータは使われていませんね。
では、オペアンプは今、どのような役割を果たしているのでしょうか。
それは、アナログ回路内において、微弱なアナログ信号を増幅する、というもの。併せて、アナログ回路のノイズを除去し、欲しい信号のみを伝送するという、回路の高精度・高性能化のために用いられています。
詳細を次項でご紹介いたします。

2. オペアンプの原理と基本性能

オペアンプの基本原理は、トランジスタで構成された素子に二本の入力端子と一本の出力端子を備えたものとなります。
入力端子から電圧印加するための電源が必ず必要になりますが、回路図ではしばしば省略されます。
入力端子は+と-の向きがあり、プラス側を非反転入力、マイナス側を反転入力と呼びます。

基本性能として、出力電圧は、このプラスとマイナスの電位差を増幅させて出力し、かつこの差と出力は比例関係にあります。
こういった性質のことを差動増幅と呼び、オペアンプの基本的な性質となります。
これを式にすると出力V=A(入力V2-入力V1)と表すことができます。

ここでいうAとは、それぞれのオペアンプが持つ「増幅率」というもので、利得やゲインと言った呼び方もされます。
理論上はこの増幅率は無限大と言われていますが、基本的には繋いだ電源電圧以上の増幅はできません。
「増幅」は電子回路において非常に大きな課題です。信号を増幅させるにはそれなりのパワーを要しますが、あまりにも大きいと他の繊細な回路やパーツに影響が出てしまいます。
そこで、増幅回路の役割を果たすオペアンプによって、微弱な信号もスムーズに制御・動作を回路に行わせているのです。

加えてオペアンプのもう一つの基本性能として、「バーチャルショート(イマジナリーショート)」というものもあり、とても大切です。
この性能の解説には、まず帰還回路を説明しなくてはなりません。
帰還回路はしばしば増幅回路にセットで使用されます。
帰還(フィードバック)回路とは入出力端子を持つデバイスにおいて、出力結果を入力側に戻すこと。
出力信号を安定させたり、入出力を比較し、任意の出力となるよう制御したりと、増幅回路をより高精度に、高性能にするために用いられるものです。
帰還の中でも、増幅回路には負帰還(ネガティブフィードバック)が採用されます。
負帰還とは入力信号と逆向き(逆位相)の信号を帰還させるもので、信号を減算させることとなります。
減算させるため、膨大な増幅率であったとしても、それを下回る、回路に適した電圧に変換することが可能です。
また、入力信号が突発的に変動したとしても、その影響を最小限に抑えてくれるとあって、増幅回路(オペアンプ)の安定化には欠かせません。

そして、この負帰還回路をオペアンプにかけると、プラス側で入力した信号・電圧と同一の信号・電圧が、マイナス側でも観測できるのです。
もっと簡単に言うと、+-で異なる電圧を流しているのに、オペアンプ自身がむりやり同電圧にしようとする、ということです。
これはまるで、二つの入力端子がオペアンプ内部で繋がって(短絡。ショートと言う)いるように見えます。
このことから、この特性をバーチャルショート(仮想短絡)と呼ぶようになりました。

この二つの基本性能によって、オペアンプは様々な回路で使われることとなります。

3. オペアンプでできること~回路例~

オペアンプでできることは、信号の増幅や回路の安定化だけではありません。
応用回路によって、様々な側面を見せることとなります。 実際には既に回路構成されたオペアンプモジュールを購入される方が一般的だとは思いますが、代表的なものを簡単にご紹介いたします。

① 反転増幅回路

反転増幅回路はオペアンプを「信号増幅器」として使ううえで最もシンプルで基本的なものとなります。

一つのオペアンプと二つの抵抗が基本構成となり、入力した電流の波形に対し、出力側からは逆向きとなった波形が出力されることが特徴です。
ただ増幅するのではなく、極性を逆にしてくれる、というわけです。

増幅率は二つの抵抗で決定し、A=1+R2/R1で計算されます。
出力信号を2倍にしたければR2をR1の2倍に、出力信号を半分にしたければR1をR2の2倍にすれば良い、という理論です。
※実際の抵抗は1kΩ~100kΩ程度を使用。

ところで入力電圧はいつも一定とは限りません。
電源変動や回路・それを構成する素子の特性によって上がったり下がったりします。
そうすると出力も上下してしまう、と思われますが、先ほどご紹介した負帰還をかければこの問題は解決します。
負帰還がかかったオペアンプはバーチャルショートの性質により、+-で入力される電圧・信号を一定にしようと働くためです。
これによって、安定した回路が実現できています。

② 非反転増幅回路

非反転増幅回路とは、入力した電流信号をそのまま同じ向きで増幅して出力する回路のことです。
つまり、入力信号と出力信号は同極となります。

増幅率は(R1+R)/R1で求めることが可能です。
つまり、増幅率は必ず1倍になる、ということ。信号を小さくすることはできません。
とは言え非反転増幅回路は現代において幅広く活躍しています。なぜなら、+側の端子に入力信号が入り、-側の端子に二本抵抗が繋がっている、という回路図のためです。
つまり入力信号は+ですので、ハイインピーダンス(信号に対する抵抗値のこと)であり、直前の回路から電流が流れてこず、安定した電圧下での動作を行え、負担をかけません。

なお、この抵抗R1の抵抗値が無限大(オープン)で、抵抗R2が0Ω(ショート)だった時は上記の増幅率の計算式は当てはまりません。
結果としては増幅度が1倍となるのです。
この性質をボルテージフォロアと呼び、インピーダンス変換や回路分離のためのバッファ回路として用いられます。

③差動増幅回路

オペアンプの演算機能を利用した回路で、減算回路とも呼ばれます。
この回路もシンプルで、入力した二つの信号の電位差を増幅して出力するためのものです。
一つのオペアンプに対し、四つの抵抗を用いますが、R1=R3、R2=R4とそれぞれが対照します。
計算式としては、出力V=R2/R1×(入力V2-入力V1)となります。

二つの信号の引き算しかできないので、複数信号で演算したい場合は同じ数だけオペアンプを用意します。

差動増幅回路はそれ単体で使われるよりも、そこに非反転増幅回路を設けたインスツルメンテーション・アンプとして使われることが多いです。これは計装アンプとも呼ばれ、高精度な計測が可能な産業機器です。また、信号の送受信などにも用いられます。

④ フィルタ回路

世の中にはありとあらゆる信号・周波数が複雑に絡み合っています。例えば音にはたくさんの周波数が存在し、私たちはそれを聞き分けて生活しています。
しかしながらこと電子回路においては、必要な信号以外はスムーズな動作を妨げる原因となってしまいます。 そこで活躍するのがフィルタ回路です。フィルタ回路によって信号がろ過にかけられ、特定の周波数の波だけを取り出すことを目的とします。

このフィルタ回路をオペアンプで実現するためには、二つの抵抗と二つのコンデンサが必要となります。最も基礎的なフィルタは抵抗とコンデンサのみで構成できるのですが、そこにオペアンプが入ることによってより高精度・高性能なフィルタとなります。 これを、VCVS型フィルタ(Voltage Controlled Voltage Source)と呼びます。

4. オペアンプの種類

オペアンプは形状、構成素子、用途などによって幅広い種類に分類することができます。
例えば形状一つとっても、丸形のキャンタイプ、スクエア型のモールドタイプなどが存在します。
ピン構成も様々なのですが、基本的には容易に使えるモジュールタイプのオペアンプを購入することが良いでしょう。
ただ、トランジスタ素子及び用途は確認しておかないと、適切なオペアンプを選ぶことができません。
オペアンプの素子および用途による代表的な種類をご紹介いたします。

■半導体素子による種類分け


オペアンプは、トランジスタと呼ばれる超小型の半導体素子が使われています。
トランジスタは大きく分けるとバイポーラトランジスタとユニポーラトランジスタに分類できます。
ユニポーラトランジスタは電界効果トランジスタでおなじみのFETですね。
それぞれを解説いたします。

① バイポーラトランジスタ

バイポーラトランジスタとは、半導体内の正孔と自由電子がともに動作に関与するものです。

 二つの「バイ」極性「ポーラ」という意味が込められています。
バイポーラトランジスタは高周波下での動作が可能で、ノイズ特性に優れます。
 オーディオ機器などにはもってこいの特性ですね。
 また、高速で増幅率が高い、耐圧性が高い、という面もあります。
一方で入力バイアス電流(入力端子に流れ込む予期せぬ微小な電流のこと)が大きく、オフセット電圧(入力信号がないのに電圧が現れること。
 誤作動の要因になる)が発生するリスクもあります。

② CMOSオペアンプ

ユニ(uni)ポーラトランジスタの一つであるCMOS(シーモス)はバイポーラと異なり正孔と自由電子のどちらか一方が動作に関与するものです。
CMOSオペアンプは低速です。しかしながら何よりの魅力は小型化が容易なこと。小型電子機器や集積回路などにうってつけです。
また、入力回路のインピーダンスは小さいという利点もあります。
一方で耐圧は低く低電圧・低消費電力下での動作が望ましいため、大電流回路には用いません。

■両電源オペアンプと単電源オペアンプ

オペアンプは用途によって両電源オペアンプと単電源オペアンプに分類することができます。
両電源はプラスとマイナスの電圧によって駆動する電源のことで、二つの入力端子にはそれぞれ+Vと-Vが入力されます。
単電源はプラスと0V(GND)ので夏によって駆動する電源です。
とは言えオペアンプの種類がこのどちらであっても、それぞれ両電源でも単電源でも使用は可能です。
 実は、この名称は電源電圧の違いと言うよりも、入力する電圧範囲の違いによって区分けされているのです。
両電源用オペアンプに0V付近の電源をかけた場合、正確に動作しない場合があります。
なお、CMOSオペアンプは単電源のみとなります。

 

5. オペアンプの選び方

最後に、所望の回路にあったオペアンプの選び方を解説いたします。
とは言え、オペアンプについて調べると、「理想のオペアンプ」なるものをしばしば見かけませんか?
オペアンプはかつて、アナログコンピュータの演算で用いられていた経緯から、各種制約を受けないような、厳しい特性が要求されていました。
例えば「増幅度が無限大であること」「入力インピーダンスが無限大であること」「リニアアンプであること(直線的な特性を有する、ということ)」「温度特性に優れていること」などです。
もちろん性能の良いオペアンプを使用することは上質な回路を構成することに繋がりますが、コスト制約や他パーツへの特性などを鑑みると、必ずしも「理想のオペアンプ」なるものを選ぶ必要はありません。
ただ、購入の際は、以下は一度ご確認ください。

① 対応回路とピン配置

オペアンプは対応回路数によってピンの数・配置が異なります。
 例えば1回路(シングル)は8ピン、2回路(デュアル)も8ピン、4回路(クワッド)は14ピン、などです。
間違えやすいのがシングルかデュアルか。また、表面実装タイプだと、またピン数が異なります。仕様書で、回路数をご確認ください。

② 動作電圧

オペアンプが動作できる電源電圧の範囲を指します。なお、絶対最大定格は絶対に超えないようにしなくてはなりません。

③ 差動入力電圧および同相入力電圧

差動入力電圧とは、オペアンプの端子のプラス側とマイナス側間に印加することができる最大入力電圧です。
 仕様書のこの数値の記載は±ですが、どちらの端子でも基準にすることができます。
 ただし、各入力端子の電位は出力端子の電位以上であることが必要です。
同相入力電圧とは、端子のプラス側とマイナス側に同時に印加できる許容限界電圧のことです。

④消費電流


消費電流が低いほど回路内での消費電力を低くすることができます。
 ただし、消費電流が小さいオペアンプは増幅できる最大周波数も低くなります。

⑤増幅度

差動利得や電圧利得ともいわれます。
   増幅回路の入力に電圧を加えると、入力電圧が増幅率分倍にされた出力電圧となる、というものです。

⑥オフセット電圧

オフセット電圧とは、入力電圧がないときにオペアンプに現れる電圧のことです。
ゼロが理想とされており、オフセットがないほど増幅精度は高くなります。
このオフセット電圧が限りなくゼロに近いゼロドリフトアンプと呼ばれる製品も販売されています。

⑦バイアス電流

文中でご紹介しましたが、バイアス電流が発生しやすいオペアンプはオフセット電圧が起こりやすくなります。
これらの他、ノイズ耐性や温度特性、大きさや価格などを見て決定することとなります。

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