エンコーダとは?オプトエレクトロニクスが生んだ高性能センサ

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エレベーターが私たちの目の前でピタリと止まる。
自律走行ロボットがお部屋やオフィスを勝手に掃除してくれる。
お祭りやイベントを臨場感たっぷりにストリーミング配信する・・・
これらの機能を実現する一つの電子部品に、エンコーダというものがあります。
エンコーダで「機器がどの程度動いたか?」を検知し、その移動量に見合った制御を行うセンサ的な役割を果たすもので、年々幅広い産業で用いられるようになってまいりました。
この記事では、そんなエンコーダとはどのようなものか。
また、オプトエレクトロニクス(光電子工学)の点から見る原理・仕組みなどをご紹介いたします。

1. エンコーダとは

エンコーダは位置センサのうちの一つです。


回転したり移動したりする機器・装置の、どれくらい移動したか(位置・変位)、どの方向に移動したか(動作方向)、また、どれくらい回転したか(角度)やどれくらいの速さで移動したか、
などを検出する役割を果たします。検出し測定した位置値は、デジタル電気信号として出力されます。
ちなみに似た機能のものでポテンショメータがありますが、これはアナログ信号出力となります。

エンコーダはモーターとセットで使用されることがほとんどで、
エレベーターや工業用ロボット、無人搬送機、自動車など精密なモーターコントロールが必要なシーンにおいて活躍してきました。

形状によって二分することができ、ロータリーエンコーダリニアエンコーダに分けられます。
前者は円板を基準に、回転の機械的変位量(移動量)を検出するもの。
後者は直線(リニア)の機械的変位量を検出するものです。
仕組みはほぼ同じですが、現在ではロータリーエンコーダが広く用いられています。

2. エンコーダの原理・仕組み

エンコーダが位置検出を行う原理・仕組みはいくつかの種類があります。

磁気スケール(目盛り)を用いた磁気式、コイルによる電磁誘導式などがありますが、
機会的な制約が少なく、幅広い産業に適応できるのは光学式となります。
光学式検出によるエンコーダを解説いたします。

光学式によるエンコーダは、LED発光素子、レンズ、コードホイール(回転スリット円板)、受光IC(集積回路)で構成されます。
コードホイールには長方形のスリットが等間隔に入っていて、それに同じピッチのスケールを重ねます。
スリットを通し、光源から発せられた光が受光素子に届くと、受光素子から電気信号が発せられます。
なお、LEDからの光は錯乱光のため、レンズで集光することによって平行にならしています。
この状態でコードホイールのみを回転させると、1スリットごとに光が透過・遮断を繰り返すことになります。
スリットは等間隔でセットされているので、1つのパルスあたりどれくらい回転しているか、を検出することができます。

例えば円周上にスリットが360個設けられていたら、1つのパルスは1℃の移動を示します。 ちなみにこのパルスを検出することがエンコーダの名前の由来です。エンコードは英語で「符号化する」という意味で、「パルスという形で符号化する」というわけですね。

また、受光素子が発する電気信号も、信号変換のみならず検出に欠かせない要素です。
この受光素子はフォトダイオードなどが用いられます。

フォトダイオードは発光ではなく光を検出するためのダイオードで、入力した信号・電流を、光を通して出力側に伝える素子です。光を照明だけでなく、演算や通信など回路内で用途に合わせて利用することをオプトエレクトロニクスと言い、近年研究開発がさかんな分野ですね。

この受光素子から発せられた信号は最終的に二つの方形波として出力されます。
それぞれチャネルA(A相)、チャネルB(B相)と分類されます。
AとBの位相関係(周期中の位置関係)はどのメーカーのどのエンコーダでも変わらず、B相はA相から1/4周期遅れて出力される、という特性があります。
これを利用して、A相B相どちらが先に立ち上がるかで回転方向を検出することができます。
例えば、コードホイールが時計回りだったらAよりBが遅れて立ち上がり、反対だったら反転します。

さらに、エンコーダから出力される1周期のパルス時間と1周期あたりの出力パルス数を測定することで回転速度をも検出できます。

光学式エンコーダの光を受光素子に届ける構造は、コードホイールをはさんでLEDと受光素子をセッティングする透過型。
およびロータリーエンコーダにLED光を照射し、受光素子に反射させる反射型が存在します。
後者の反射型の方が新しいスタイルで、表面実装が可能とあって小型機器によく用いられています。

3. 光学式エンコーダのインクリメンタル型とアブソリュート型とは

光学式エンコーダは、さらに細かく分類することができます。
それは、どのような出力信号形態か?というものによる分類です。
インクリメンタル型とアブソリュート型があります。それぞれを解説いたします。

①インクリメンタル型エンコーダ

incrementalとは「徐々に増加する」という意味です。
従来からポピュラーなエンコーダの出力信号形態がこちらのインクリメンタル型です。

コードホイールの移動量に応じた数だけパルス出力するタイプとなります。
このパルスをカウントするためのカウンタの存在が必要で、そのカウント数によって回転量を検出することができるのです。

また、インクリメンタル型の場合、出力はA相B相の他、1回転ごとにZ相が出力されます。
このZ相信号を計測の原点として回転量を計測するため、その原点位置を所望するところで選ぶことができ、しかもカウントさえ行っていれば回転量の計数は無限に行うことが可能です。

さらに回路を追加して、信号の1周期の2倍、4倍のパルス数を発生させることによって、分解能(センサの能力のこと)をアップさせることもできます。
なお、インクリメンタル型エンコーダは駆動する電源がないと全く出力されません。
コードホイールが動き、位置変位が生じて初めてセンサとしての役割を果たすためです。
こういった継続性が必要ということは、動作途中で誤作動があれば、その誤差はそのまま残ってしまう、ということを意味します。

②アブソリュート型エンコーダ

absolute「絶対の」という意味を持つこちらのエンコーダは検出箇所の「絶対位置」をデータ出力します。

どういうことかと言うと、コードホイールには専用スリットが割り当てられており、それぞれ決まったコード信号をセンサが検知し、出力する仕様となっています。
コードホイールが回転して変位が始まっても、それぞれの信号は変わらないため、絶対的な位置値を出力することができます。
コードを直接読み取るのでカウンタは必要ありません。

また、絶対値が出る、ということはパルスごとの角度は経過に関係なく出力されるので、ノイズによって出力データが狂うことがありません。
これは、電源が入ったり切れたりしても位置値の確認が可能、ということにも繋がります。
と言うのも、インクリメンタル型だと、一度電源が切れたら変位量が測定できなくなってしまうため、原点復帰動作(ゼロリセット)をする必要があります。
でも、アブソリュート型であればその場の絶対値が出るので、電源を戻せば確認することができます。
これは停電時にも最小限の影響で済む、ということを意味します。

なお、アブソリュート型エンコーダがひとたび回路に組み込まれると、入力回転軸のゼロ位置が決定し、そこを原点基準とすることになります。
つまり、起動時にいちいちゼロ地点に戻す必要がありません。

2.エンコーダの選び方

エンコーダの何よりの強みは、高性能・高速・高精度ということ。
とは言え製品によってスペックの差はあります。
エンコーダを選ぶ時はどこを見ればいいのでしょうか。購入時、基本となる仕様を解説いたします。

①インクリメンタル型かアブソリュート型か?

前述の信号出力形態の違いでまず選ぶこととなります。
ただし、どちらがいい、というのはコスト面や用途、求める性能によって異なります。
例えばアブソリュート型は電源が切れても位置情報の絶対値が出るため原点復帰が不要ですが、インクリメンタル型は必要で、復帰には各種センサが必要になり、コストがかかる場合があります。
一方でインクリメンタル型は構造がシンプルなため比較的安価となる、という側面もあります。
また、絶対値を知るのではなく、速度や動作方向などの測定に使用するのであればインクリメンタル型が適しています。
どういった回路を作りたいかによってインクリメンタル型とアブソリュート型どちらがいいかは変わってきます。

②精度や分解能はどれくらいか?

センサに精度と分解能の話は欠かせません。
簡単に言うと、精度は「どれくらい誤差が少ないか」、分解能は「どれくらい測定能力を持っているか」です。
「高ければ高いほどいい」と思いがちですが、実はちょっと違います。
機器によってどの程度か、という適切なスペックがあり、それ以上に精度・分解能を上げてもコストがかかってしまううえに接続されると思われる制御回路などにも同様のスペックが求められ、結果として負荷がかかりすぎる、ということがあります。
適切な制度・分解能を見極めることが重要です。

③大きさ・形状・端子の数

近年、電子部品の小型化が進み、エンコーダもご多分に漏れず小さくなってきました。
とは言え小型軽量であればあるほど高額になります。また、形状などによってもスペースにおさまるかどうかは変わってきます。
端子の数も、どう接続するかにおいて重要ですね。

④軸許容荷量・許容最大回転数

どのように実装するか?によって軸にかかる負荷がかわってきます。
また、オプトエレクトロニクスは機械的な接点が少ないため長寿命なものが多いですが、回転軸などは機械的なものとなります。
そのため、「どれくらいの期間使うか」によって最大回転数を決定します。

⑤最高応答周波数

最高応答周波数とは、エンコーダが応答できる周波数のことですが、実際には信号周期にはばらつきがあります。
実際の使用下より余裕のあるスペックを選択します。

⑥保護構造・耐振動および耐衝撃性

ほこりや水、油などが周囲にある環境下で使用する際は保護構造が必要です。
また、衝撃や振動にどれくらい耐えられるかも、使用環境によって求められていきます。

⑦イレギュラーな仕様

上記の他、出力波形がイレギュラーなものや、駆動電源が非力な場合に回転トルクを重視する、といった、回路・製品によって重要視するべき項目があります。

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