その名の通り、あるデバイスから別のデバイスに向けて、電気信号の中継を行ってくれるリレー。
初出は19世紀頃、モールス信号で用いられたと言われていますが、今なお現役で私たちの生活に根付いております。
そんなリレーは普通名詞のようなもの。
構造や機能、用途によってさまざまな種類が各メーカーからラインナップされており、当然性能面や使い方も大きく異なります。
この記事では、代表的なリレーの種類について解説いたします。
目次
1. リレーとは?
リレーは日本語で継電器とも呼ばれるように、電気信号を中継するためのデバイスです。
例えばリモコンを押すとテレビが稼働しますが、本来リモコンのようなシンプルで小型な機器からは、微弱な信号しか発することができません。
しかしながらテレビにリレーを内蔵すると話は違ってきます。
リレーは電気信号を受け取るとスイッチがオンまたはオフになる仕組みですが、リモコンからの微弱な信号でこのスイッチングを行い、テレビの電源部の回路の動作を制御しているのです。
実際はそのままの電気信号がもう一方の回路へ伝送されるわけではありませんが、リモコン―電源回路間の信号中継を行うことからリレーと呼ばれるようになりました。
このリレーはただ電源のオンオフを行うだけではありません。
長距離間の信号伝送はもちろん、経路を切り替えるのにも使われます。
また、「自己保持」と呼ばれる特性を持ったリレーもあります。
これは電圧印加するとスイッチがオンまたはオフに切り替わりますが、電圧供給を止めたとしてもリレーを動作させ続けるものです。
この自己保持をラッチングまたはキープと呼び、この特性が付加されたリレーをラッチ型リレーと呼びます。
一方で電圧印加を行っている時だけリレーが動作するものをシングルステイブル型リレーと呼びます。
シングルステイブル型に比べてラッチ型の方が消費電力は一般的に低くなりますが、価格は高いことが多いです。
なお、こういった仕組みから、リレーには必ず二つの端子があります。そしてその端子は、入力側と出力側を間違えて接続すると正常に動作することができません。
2. リレーの種類~接点での分類~
リレーの種類分けは一言では片づけられませんが、接点での分類が最もポピュラーでしょう。
「有接点リレー」か「無接点リレー」かの二択となります。
① 有接点リレー
昔ながらのリレーが有接点リレーです。
スイッチングのための可動部およびスイッチング素子に機械的な接点を持つデバイスを指します。
そのためメカニカルリレーといった呼ばれ方をされることもあります。
さらに有接点リレーはスイッチング素子によって細かに分けられ、代表的なものは電磁リレーとなります。
電磁リレーとはコイルを利用することが特徴です。
前述の通り一次(入力側)端子と二次(出力側)端子が必ず備わりますが、一次側の可動部が動くことで接点をくっつけたり離したりすることができます。
しかしながら電気信号では物理的に可動部を動かすことができませんね。
そこで鉄心にコイルを巻いた電磁石を搭載させます。
この状態で電圧印加を行うと磁界エネルギーが生成され、金属でできた可動部がこの磁界に引き寄せられて動き、スイッチングを行います。
電圧供給をストップさせると磁界は消えるため、接点はまた離れます。
ちなみに有接点リレーは、接点同士がくっついた時に「カチッ」といった音がするものが多いです。
なお、使用するコイルも極性があるものとないものとに分かれます。
有極のコイルであれば、プラスとマイナスを区別しなくてはなりません。
さらに、可動部の構造によっても分類することができます。
ヒンジ型とプランジャー型があり、前者はちょうつがい型、後者はバネ式で、先端にポールやピンが搭載された型となっております。
ただ、多くの製品はヒンジ型を用いることが多くなります。
電磁リレー以外の有接点リレーとしては、リードリレーが挙げられます。
これは「リードスイッチ」と呼ばれる、ガラス管内に二本の強磁性体リードをパッケージングした接点構造のリレーです。
コイルを用いますが、機械的なパーツが少なく高速動作が可能です。
また、パッケージングされた接点であるため、機器の劣化が少なく長寿命となります。
ただし、高電圧・大電流下での使用には向きません。
ちなみにかつてはガラス管内に水銀を封入した水銀スイッチも導入されていましたが、安全衛生の観点から生産終了となりました。
もう一つ、プログラム・リレーも存在します。
これはリレーそのものではなく、リレーやタイマーなど複数機器を組み合わせ、一つのデバイスとしてパッケージングされた製品を指します。
機能変更などの各種設定を随時行うことができるため、プログラムの名前が付けられました。
② 無接点リレー
無接点リレーは、接点を持たないリレーのことです。
機械的な接点を持たないため機器の劣化がきわめて少なく長寿命ということで、近年幅広いシーンで用いられているリレーとなります。
スイッチング素子に半導体を用いることから、ソリッドステートリレー(SSR)や半導体リレーと呼ばれることもあります。
仕組みとしては、一次側端子、LEDなどの発光素子、フォトカプラなどの受光素子、半導体素子、二次側端子といった構造を採り、発光素子と受光素子を用いてスイッチングを行います。
LEDはご存知光を発するダイオードですが、この光を受光素子が電気信号に変換します。
そのためこの一連の発光・受光の仕組みをフォトダイオードアレイと呼ぶこともあります。
その後電気信号はMOS FETなどのスイッチングを行う半導体へと伝送され、ここでリレーのオンオフ切り替えを行います。
無接点リレーは長寿命なだけではなく、高速動作が可能です。機械的な接点がないので、高速オンオフをしても劣化しません。
接触不良などの誤作動もありません。
また、MOS FET等集積が容易な半導体が用いられるため小型軽量化しやすく、かつ感度が高いため高効率です。
また、耐熱性も低いため、大電流下で使う際はヒートシンクなどが必要となり、結果的に機器が大型化してしまうケースもあります。
耐熱性が低いということは周囲温度にも気づかう必要があり、複雑な設計を要する場合も出てきます。
③ 接点にも種類がある
有接点リレーに話は戻りますが、接点にもいくつかの種類が存在します。
知っておきたいのがa接点、b接点、c接点です。
a接点とはメーク接点ともいい、電圧印加によって接点が閉じ、オンになるタイプのリレーです。
b接点はブレーク接点とも呼び、a接点とは逆に電圧印加していない、オフの時には接点が常に閉じているタイプのリレーです。
b接点は電圧印加されると接点が開くこととなり、リレーはオフ状態となります。
c接点とはトランスファー接点ともいい、一つのリレーの中にa接点もb接点も搭載させたタイプを指します。
信号経路を分岐させるためのもので、一方の接点を接続してオンオフ制御を行います。
さらに接点の形状によってもシングル接点、ツイン接点、クロスバーツイン接点とに分かれます。
シングル接点は一つの端子に一つの接点を持つタイプで、ツインは一つの端子に二つの接点、クロスバーツインは可動部の接点と固定された接点をクロス状に接触させることで接触面積を小さくして、接触抵抗を安定にしたものとなります。
一般的にはクロスバーツイン、ツイン、シングルの順で接触信頼性は高いと言えます。
④ 端子形状
リレーは機器に搭載させるからこそ、端子形状に様々な種類があります。
例えばプラグインやプリント基板に実装できるタイプ、ネジ式などが挙げられます。
合わないインターフェースだと端子が故障したり思わぬ事故に繋がったりするため、必ず購入前にお使いになる端子形状を確認しましょう。
3. リレーの種類~用途による分類~
リレーの種類は用途によっても分類することが可能です。
例えばパワーリレーと呼ばれるデバイスがあります。
これは中電流~大電流帯の負荷のスイッチングを行うためのリレーで、大きいものだと30Aほどの電流を扱うことが可能です。
モーターや家電、OA機器など大きな消費電力が見込まれる機器に使われてきました。
また、信号リレーは鉄道など交通輸送産業に使われるリレーで、信号設備で活躍します。
電磁リレーが使われることが一般的で、電球のオンオフの他、信号経路を分岐させるのにも欠かせません。
安全リレーはその名の通り「安全を確認できたらスイッチをオンにする」リレーです。セーフティリレーと呼ばれることもあります。
接点が強制ガイド接点構造となっており、前述したc接点を採ります。
ただし接点の役割がそれぞれで異なり、一方は制御のため、もう一方は異常検知のために設計されています。
この異常検知というのがミソで、電圧印加がされていない状態(異常のない状態)ではオン状態を維持しますが、ひとたび異常を感じると電圧印加をストップさせ、オフ状態とします。
なお、異常を「検知」することが目的であり、異常事態になった際に遮断したり負荷をかけたりといった対応を採るものではありません。
このように、構造であろうとスイッチング素子であろうと用途であろうと、ひとくちにリレーと言っても種類は非常に多岐にわたっております。
製品自体も各メーカーから多彩にラインナップされているので、目的に合った一つを知れるようにしましょう。
4. まとめ
リレーの種類についてご紹介いたしました。
リレーとは継電器とも呼ばれるように、ある位置からある位置までの電気信号の中継を行うための電子デバイスであること。
接点の有無、接点の形状や数、スイッチング素子によって様々な種類に分かれること。
加えてパワーリレーや安全リレーなど、用途によっても種類が豊富に存在することなどをご理解いただけたでしょうか。
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