我々の身近でも、多数の半導体が使われています。
たとえば、パソコンやゲーム機、TV、スマートフォンなどの多くの電化製品を制御したり、交通や通信を管理・運営したりするのにも半導体は必要不可欠です。
そして自動車の安全性を高めたり、医療現場では最先端の治療法に活用されたり、各分野での技術革新に大きく寄与しています。
また、半導体技術の進歩には、システムの効率化、小型化、省エネ化も期待されます。
これにより、地球環境の保全、安全で快適な生活の実現に貢献しています。
こうした、半導体を用いた技術革新の例をいくつかご紹介いたします。
目次
1.そもそも半導体とは
半導体は、物質の電気の通りにくさを表す電気抵抗率が導体と絶縁体の間の物質を指します。
半導体で有名な物質にシリコンやゲルマニウム等があります。
導体では鉄や金、銀、銅、アルミニウム等が挙げられ、逆に絶縁体であれば、塩ビ、ガラス、ゴム、ダイヤモンド等が挙げられます。
導体が電気の通りが良いのは、自由に動ける電子がたくさんいるためで、絶縁体は電子が動かない、半導体は動ける時と動けない時があります。
半導体は、シリコンやゲルマニウムのような元素単体のものもあれば、元素が組み合わさった化合物半導体やある種の金属が酸化した酸化物半導体、有機材料からなる有機半導体等があります。
半導体は、物質としての状態(純度や形態)や環境(温度、圧力、加速度)などによって電気特性が大きく変化します。
2.半導体の重要性
半導体はありとあらゆる電子機器に組み込まれ、現代社会を根底から支えています。
その利用先は様々、もはや半導体を使っていない電子機器を探すのは困難と言えるほどです。
パソコン、携帯電話、コピー機、家電製品、ゲーム機、デジカメ、カーナビ、自動車、飛行機、電車等、私たちが日常に必須として使っている機器には必ずと言っていいほど半導体が使われています。
半導体がなければ私たちの生活は成り立ちません。
なお、コロナ期より騒がれている半導体不足とは、半導体チップ不足を指します。
半導体チップとは、主にシリコンから作られたシリコンウエハー上にダイオード、トランジスタ、抵抗、コンデンサなどの単機能半導体を集積したデバイスです。
半導体集積回路(IC)の総称として使われています。
3.半導体の用途
ここでは先に紹介した一般的な電子機器への利用は基より、特殊な半導体の用途をご紹介します。
① 高精細映像を可能にする半導体
かつて目に見える景色を保存するためには、フィルムに景色を焼き付けて持ち帰り、ネガを現像するという必要がありました。
現在ではデジタルデータとして記録された情報を持ち運びでき、その情報をいつでも再生できるようになりました。
そして、1枚の写真だけでなく、動く映像も撮影し記録することができます。これも半導体の用途の一つです。
そういった映像分野の新技術として、現在では4K映像技術があります。
ハイビジョン映像をはるかに超えた高精細映像を撮影、記録、再生できるようになりました。
さらに大画面でも臨場感と美しさにあふれる映像を撮影・記録し、感動をそのまま伝えられるように映像情報を処理したり再生したりしています。
近年、映像の高精細化が進み、データ量の大きなファイルを処理する必要が出ています。
効率化、小型化された半導体によって、この高精細映像の情報処理が可能になりました。
② 超高速データ通信を支える半導体
インターネットをパソコンやスマートフォンで利用し、最新のニュースを閲覧したりメールなどの連絡手段を活用したりすることができるようになりました。
情報をデータとして発信したり、それを受け取って処理したりするのも半導体の用途の一つです。
近年の急激に高速化が進んだデータ通信技術においては、メタル回線や光ファイバの先にある通信用機器がスピードを決めています。
機器性能と機能を左右するのはやはり半導体です。
今や電気や水道などに並ぶほどの社会インフラとみなされるデータ通信技術も、半導体技術の進歩に支えられています。
③ 自動車先進運転技術で安全を支える半導体
燃料を燃やして車輪を回転させていただけの蒸気機関車とは違い、現在の電車や自動車は多くの半導体が利用されています。
自動車のカーナビゲーションシステムのタッチ画面も半導体製品ですし、中のCPUももちろん半導体製品です。
そして、いまは自動車の運転そのものにも半導体が生かされて安全性能を高めています。
特に衝突防止システムや車線逸脱警告、歩行者前方車検知、リアビュー、サラウンドビューなど、カメラを利用する安心・安全につながる先進技術が次々に進化し、ドライバーや家族の安心・安全を支えています。
④ 身につけていることを忘れる半導体
腕につける形式のものやメガネ型の情報機器をはじめ、身体にフィットするコンパクトで軽量な電子機器がこれからさらに続々と登場してくることが予想されます。
もちろんその中には半導体が入っています。
エンターテインメントや工場等でのオペレーション用途のほか、パーソナルヘルスケアや介護の領域にも活用の道が広がります。
⑤ 目や指になる半導体
技術革新が進む先進医療分野において、検査用の高解像度スコープ映像機器や微細なコントロールが可能な手術用機器など、医師の目や指の能力をはるかに超えた医療用技術が利用されています。
半導体はそれらの機器の心臓部で、これまでにない新しい高度医療技術を支えます。
たとえば離島や過疎部に住む人の診察を、映像とネットワークを通じて都心の大病院の医師が行ったり、場合によっては遠隔操作の手術用ロボットを操作したりすることもできるようになります。
このように、半導体は我々の生活を便利にする機会製品の心臓部にあります。
そして最近では、家電やパソコン、携帯情報端末、エンターテインメント分野にとどまらず、医療や自動車関係など、新しい領域での半導体の必要性が高まってきています。
6.「半導体の用途」解説動画
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