私たちの生活の、あらゆるモノ・コトで重宝される半導体。
重要なデバイスすぎて、水や空気のように普段は意識することがないほどですね。
近年ではニュースで取り上げられる機会も多い半導体。でも半導体ってそもそも何なの?と思っている方は多数いらっしゃるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、半導体の基本のキから現在の半導体市場に起きていることまでを徹底解説致します。
1. 半導体とは?
物質を分類する時、様々な手法が存在しますが、「電気を通しやすいかどうか」がその一つとして挙げられます。
電気を通しやすい物質は「導体」、電気を通しづらい物質は「絶縁体」または「不導体」、そして導体と絶縁体の中間の存在を持つのが半導体となります。
ちなみに物質が電気を通せるかどうかはバンドギャップの幅の違いがあります。
バンドギャップとは簡単に言うと電子が存在できない地帯のこと。
電流が流れるためには電子を移動させる必要がありますが、このバンドギャップに幅がありすぎると電子は移動ができず、すなわち電流を流すことはできません。
絶縁体はバンドギャップが大きく、導体はバンドギャップがほとんどありません。
そしてi型半導体はこのバンドギャップが「少しある」状態となっています。
すなわち半導体とは、ある条件下で電気を通したり通さなかったりする性質を持った物質となり、この性質によって回路を制御したり、電流増幅を行ったりすることができる物質でもある、ということです。
そんな半導体は、現在では私たちの生活に決して欠かすことのできないデバイスです。
半導体の歴史は、現代社会の進化の軌跡と言っても過言ではありません。
半導体が開発された1947年以降、私たちの生活は一変することとなりました。
半導体以前は、真空管がその役割を担っていました。
真空管は1884年、エジソンが白熱電球で発見したエジソン効果に端を発するデバイスです。
エジソンは白熱電球の実験中、その真空となっている内部に正電位(プラス)の電極に繋いだ金属板を入れる時のみ、金属板からフィラメントへと電流が流れることを発見しました(マイナス電位の場合、電流は流れない)。
その後20世紀に入り、フレミングがエジソン効果を応用して発明したのが真空管です。
ちなみにフレミングが発明した二極真空管がダイオードのような役割(整流作用)を果たし、すぐ後にリー・ド・フォレストが発明した三極真空管はトランジスタのような役割(増幅作用)を果たします。
真空管は文字通りガラスの真空素材を用いていたため、なかなか小型軽量化が難しいという側面がありました。
またエネルギー消費も大きい傾向にあります。
発熱しやすく、故障が多いことも特徴の一つです、1946年、世界で初めて実用化された汎用コンピューター「ENIAC」が世に輩出されますが、これは真空管式で、消費電力は150キロワット、重さ30トンにも及ぶ機械であったと言います。
こういった時代の流れの中で1930年代頃から、アメリカを中心に真空管の代替素子開発が要請されていきました。
1947年、アメリカのベル研究所に属するジョン・バーディーン氏とウォルター・ブラッテン氏が点接触型トランジスタを、その翌年に同研究所のウィリアム・ショックレー氏が接合型トランジスタを発表します(ただし初のトランジスタについては諸説あり)。
トランジスタによって機器類の小型化は大きく進歩します。
さらに1950年代以降はトランジスタを一枚の基板上に集積化するICチップ(集積回路)の開発が盛んになっていきます。
半導体は高集積であればあるほど性能も比例していくことは既にご存知の通りですが、実はこれは大量生産にも大いに役立ちます。
時代を経るに従い集積化はますます進んでいき、たくさんの普及機にも搭載されていったことから、高性能で比較的安価な電化製品は私たちの身近になっていくこととなりましたが、これはトランジスタ、すなわち半導体の存在があったからに他なりません。
なお、ひとくちに半導体と言っても様々です。
その構成や性質、機能によって名前を変えていきます。
例えば機能面で分類する時。
単一機能を有した半導体は「ディスクリート半導体」と呼ばれます。
ダイオードやトランジスタ、サイリスタ等がその代表格です。
一方で前述の通り、様々なトランジスタ(ディスクリート半導体)を集積したものはIC(集積回路)と呼ばれ、マイコンやメモリとして活躍します。
一方で半導体を用いて物体の温度や明るさ、動きを検知し、デジタル信号に変換するデバイスはセンサなどと分類されることもあります。
幅広く使われているからこそ、細かく分類されているのです。
実際の使用シーンでは「半導体」と呼ばれることは少なく、製品名となることがほとんどです。
2. 半導体の性質と仕組み
~最も半導体に使われるシリコンから見てみる~
前項でもご紹介したように、半導体の性質は「ある条件下で電気を流し、そうでない時に流さない」というものです。
これによってスイッチング制御や電流の整流・増幅を可能にしています。
ではこの性質は、どのような仕組みで実現しているのでしょうか。
仕組みを、半導体ではお馴染みの「シリコン」で見てみましょう。
シリコン(ケイ素)は4価元素です。
4価電子とは「価電子(最外殻の電子の数。原子同士の結びつきに関与している)を4つ有している素子」を指しており、半導体そのものです。
4価元素以外の不純物を添加していない、純粋な半導体のことを真性半導体と呼びます。
英語でintrinsic semiconductorと表記することから、i型半導体と称されることもあります。
もっとも4価元素はシリコン以外にも、ゲルマニウムや炭素なども挙げることができます。
ではなぜシリコンが使われているかと言うと、まず地球上にあまた存在しているためです。
ちなみにどれくらい多いかと言うと、地球地殻上では2番目に多い物質で酸素の次に多いと言われています。
また加工性にも富んでいるため、製造コストが低価格で済むということもありますね。
ゲルマニウムと比べて、温度特性に優れているというメリットもあります。
なお、ダイヤモンドに代表される炭素も近年では半導体材料として高い注目を浴びていますが、やはりシリコンのシェアにはなかなか及ばないと言って良いでしょう。
そんなシリコンは、鉱物名としてはケイ素です。
土壌や岩石、砂地はもちろん樹木や植物や天然の水などにも含まれています。
こういったありふれた物質からシリコンを抽出し、インゴットを精製しているのです。
なお、一般的なシリコンは結晶の向きがバラバラとなった多結晶構造となります。
半導体においては安定した高純度であることが求められるため、結晶が規則正しく整列した単結晶でなくてはなりません。
そこで半導体用のシリコンインゴットを製造する際は1,000度を大きく上回る「るつぼ」の中で融解させ、これを冷却しつつ回転して引き上げるという工程が採られています。
とは言え、純粋なシリコン、すなわちi型半導体は、実は電流をほとんど流しません。
シリコンの結晶が電子を共有し合っており、固く共有結合しているためです。
前項でも述べた通り、電子の移動がなければ電流が流れることはありません。
そこでシリコンに不純物を混ぜることで、物質内部を移動できる電子を投入し、バンドギャップを超えて電流を流れさせやすくしたのが、一般的な半導体です。
不純物はシリコンを単結晶化する際に、一緒に融解しています。
そして混ぜる不純物によって、半導体の仕組みが異なります。
まず不純物として、3価元素があります。
3価元素にはホウ素やガリウムが存在します。
3価元素を混合した半導体をp型半導体と称します。
p型半導体はシリコンと共有結合するのに、価電子が一つ足りない状態です。
そのため足りない分の穴が空いており、これを正孔(ホール)と呼びます。
すると正孔の近くの自由電子がこの空席を埋めようと移動します。
しかしながらその移動した自由電子のいた場所には空席ができ、さらに別の自由電子が移動・・・こういった現象が次々起こることで電流は流れますが、すなわちp型半導体は正孔こそが自由電子の運び手となり、自由電子とは反対向きに移動しているため電圧が印加されている方向へと電流が流れます。
このことからpositiveのイニシャルを採ってp型半導体と呼ばれます。
4価元素に5価元素を混合させた半導体はn型半導体です。
こちらはnegativeのイニシャルです。
5価元素にはヒ素やリン等が挙げられますが、投入した価電子の数が多いため、やはり共有結合できずに自由電子が動き回ることとなります。
ただしn型半導体の方は、自由電子こそが電流の担い手です。
ここに電圧印加することで半導体の中を自由電子が移動していき、電流が流れることとなります。
なお、現代ではp型半導体とn型半導体は接続して使われることがほとんどで、この構造をpn接合と呼んでいます。
3. 近年の半導体市場
近年、ますます世界的な需要を高める半導体。
コロナ禍においては、テレワーク等が推奨されたことにより、需要も変化しました。
パソコンや液晶ディスプレイといったオフィス機器や、自宅で楽しめるゲーム機器等の需要が急上昇。
またレジャーや飲食にお金を使わなくなった分、消費者の購入意欲が高級品に向いた結果、高級車の売れ行きも上昇しました。
数年来から言われてきた、暗号通過のマイニングも大量の半導体を消費します。
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4.まとめ
半導体についてご紹介致しました。
半導体とは、ある条件下で電気を通したり通さなかったりする性質を持った物質であること。
この性質によって回路を制御したり、電流増幅を行ったりすることができること。
1940年代のベル研究所での開発をきっかけに、現代では私たちの生活にとって欠かせない存在となっていること。
知っているようで知らない半導体。
この機会にマスターしましょう!