電子部品の中でも最も基本の素子となる抵抗器。
実際に電子工作をご自身でやる方にとっては、絶対に使うパーツと言っていいでしょう。
抵抗器にも様々な種類が存在しますが、一般的なリード線抵抗器には色帯がマークされていますね。
この色帯はカラーコードと呼ばれており、お使いの抵抗器がどのような性質を持っているかを一目で認識できる優れものです。
この記事では、電子工作に携わる方なら必ず覚えておきたい抵抗器のカラーコードについてご紹介致します。
1.抵抗器のカラーコードの役割
抵抗は電気を通しにくくするための電子部品です。
回路に定格をはるかに超えた電流が流れて劣化やショートを起こさないため、ある程度の負荷をかけて制御するうえで、抵抗器は絶対に欠かせません。
一方で抵抗器であればなんでもいい、というわけではありません。
負荷が弱いと抵抗の意味がなかったり、反対に負荷が強すぎて電流の供給が不十分だったりすれば、電子工作としては失敗となります。
そこで回路に適切な抵抗値を有した抵抗器を選択する必要があります。
この抵抗値を視認させる目的で、リード線抵抗器にはカラーコードがマークされることとなりました。
抵抗値とは「どれだけ抵抗が強いか」を示す数値です。
オームの法則により、電圧÷電流から導き出すことが可能です。
カラーコードによって、ある抵抗器がどのくらいの抵抗値を持っているかがわかります。
つまり、このカラーコードを覚えてしまえば製品のスペック表を見返さなくても、抵抗値が判断できる、ということ。
複数抵抗器を使用する時には、特に役立ちますね。
次項では、このカラーコードの読み解き方について解説致します。
2.抵抗器のカラーコードを読み解こう!
抵抗器のカラーコードは、通常3本~6本マークされている個体が存在します。
色帯の数が多いほど高精度な抵抗器であることを示唆しますが、一般的には4本または5本が多いです。
それぞれを解説致します。
①抵抗値
カラーコードが何本であろうと共通して必ず記載されるのが「抵抗値」です。
抵抗値は全部で「3本」で表され、2本が抵抗値、そしてもう一本が乗数(10の何乗であるか)を表します。
抵抗値に対応するカラーは、下記の通りです。
黒 0
茶 1
赤 2
橙 3
黄 4
緑 5
青 6
紫 7
灰 8
白 9
抵抗値のカラーコードは「抵抗値の十の位」「抵抗値の一の位」を表します。
乗数に対応するカラーコードもまた上記となり、それぞれの数がべき乗を表します。
例えば茶・黒・青とカラーコードが並んでいた時は、抵抗値の銃の位が1、一の位が0、べき乗が6となり、すなわち10×1,000,000=1000万Ω(10MΩ)の抵抗値、ということになります。
なお、乗数には金・銀のカラーコードも存在し、金が10のマイナス1乗すなわち0.1、銀が10のマイナス2乗すなわち0.01を示します。
ちなみにこの色の覚え方として「黒いレース(0)」「小林一茶(1)」「赤いニンジン(2)」「第(橙)三者(3)」「四季(黄)の色(4)」「緑はGO(信号の緑は進むの意味)(5)」「青むし(6)」「紫式(七)部(7)」「ハイヤー(8)」「ホワイトクリスマス(9)」なんて語呂合わせもありますので、ぜひこの機会に楽しく覚えてみて下さいね。
②誤差と温度係数
抵抗器が3本を超えたカラーコードを持つ時、それは誤差の温度係数を示します。
抵抗器のカラーコードが4本の場合、4本目は「誤差」となります。
誤差は許容差ともいい、メーカーによって公称される抵抗値のズレのことです。
近年では加工技術が向上してパーツ精度は高くなっていますが、それでもある程度の誤差を前提として電子部品を扱うことがほとんどです。
誤差を表すカラーコードは下記の通りです。なお、誤差はしばしばアルファベットにも置き換えられるため、対応する文字も併記致しました。
茶 ±1% F
赤 ±2% G
金 ±5% K
銀 ±10% J
無 ±20% M
つまり、抵抗値を示すカラーコードが青・黒・赤で誤差が金色だった場合、抵抗値は60×10の1乗で600Ω、誤差は±5%。
つまり570Ω~630Ωが実際の抵抗器のスペックということになります。
さらに高性能な5本のカラーコードを有する抵抗器の場合は、最初の三本のカラーコードが抵抗値の百の位・十の位・一の位を、四番目が10のべき乗を、そして五番目が誤差を表すこととなります。
もっとも高性能ゆえに、5本カラーコード持ちの抵抗器の誤差は茶色の個体も少なくなく、すなわち±1%となります。
6本表記の抵抗器があれば、それは最後のカラーコードで温度係数を示します。
抵抗器の温度係数とは温度変化によってどの程度抵抗値が干渉されるか、というもの。
単位はppm/℃となり、100ppmは1℃の変化によって0.01%抵抗値が変化することを意味します。
こちらもカラーによって黒が±250、茶が±100、赤が±50・・・といったように表示されます。
ちなみに、このカラーコードを読む向きを間違えると、スペックもまた読み誤ってしまうこととなります。
この誤認を避けるためにメーカーでは抵抗値と誤差のカラーコードのスペースを空けて配置したり、誤差の色帯だけ太めにマークしたりといった配慮を行います。
また、金・銀は誤差にしかなく、またこの数値が採られることが多いことから「端っこの金・銀は誤差」といった覚え方をしているケースもあるようです。
なお、ゼロオーム抵抗も存在します。
これはその名の通り抵抗を持たず、ジャンパ線として扱われます。
ゼロオーム抵抗は黒色バンドのみがマークされているため、一目で視認することが可能となっております。
まとめ
抵抗器のカラーコードについて解説致しました。
抵抗器にはこのカラーコードが3本~6本マークされており、抵抗値,誤差,時には温度係数が表示されていること。
カラーごとに数値があり、十の位・一の位・乗数にあてがわれたカラーによってその抵抗器の抵抗値がいくつなのかを識別できること。
高性能になればなるほど色帯は多くなることなどをお伝えできたでしょうか。
「覚え方」もありますので、ぜひ電子工作に携わる方はマスターしておきましょう。