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スイッチとは?用途にあったものをどう選ぶ?

通電をオン・オフしたり、回路を切り替えて電流の方向を変えたりといった、シンプルな役割のスイッチですが、実はいくつかの種類に分類されています。 用途に合ったスイッチを適切に選択するためには、まずスイッチの仕組みや分類などを理解しなくてはなりません。
この記事では、スイッチとは何か、スイッチの仕組み、そして構造や接点などによるスイッチの分類を解説いたします。
併せて定格や耐環境性など、購入時に注視するべきスペックもご紹介いたします。 スイッチ製品を探す

スイッチとは?仕組みはどうなっているの?

スイッチとは、ボタンを押す・ツマミをひねるなどといった操作によって、回路の通電を開放・遮断する電子部品です。
また、回路を切り替えて電気が流れる場所を変更する役割もあります。

スイッチの仕組みは、内部に金属片(接点)を持ち、操作によってその接点が離れたりくっついたりすることによって通電のオンオフ動作を行う、というものです。
操作によってある接点が別の接点とくっつくようにした仕様は、別回路へと接続する、つまり回路を切り替えることができます。
オンオフを開閉と訳すこともありますが、仕組みを考えるとスイッチがオンの時が接点同士は「閉」、オフの時が接点同士は「開」ということになります。

なお、スイッチの操作時のみオン状態で作動するものをモーメンタリー(Momentary、瞬間)と呼びます。
例えばゲームセンターのクレーンゲームなどで、アームを操作する時などに使用されていますね。
また、一度スイッチを操作するとオンになり、再び操作を行うとオフ状態になるものをオルタネイト(Alternate、交互に)と言います。
オルタネイト式スイッチはテレビなど家電の主電源などによく使われています。

スイッチの種類

冒頭でご紹介したように、スイッチは構造や接点などで種類が分かれ、用途によって選ぶべきスイッチは異なります。
以下で、スイッチの種類を解説いたします。

① 構造で分けるスイッチの種類

スイッチの構造によって種類が分かれ、また、オンオフの操作方法も異なります。
代表的なものをご紹介いたします。

プッシュスイッチ(押しボタンスイッチ)

「スイッチ」と聞いて真っ先に思い浮かぶのがプッシュタイプではないでしょうか。
インターホンなどでおなじみですね。
丸銅形と角銅形に分けられ、取り付け面によって適切な方を選択します。
大型で堅牢なタイプが多くなります。プッシュスイッチ製品を探す

トグルスイッチ

ツマミ(レバー)を上下左右に倒してオンオフするスイッチです。
通電の開放・遮断のみならず、回路の切り替えに適しています。
サイズが幅広く、汎用性の高さから様々な電子機器に用いられてきました。

ロッカスイッチ

ロッカはロッキングチェアなどのrock(揺れる)に由来するように、操作ボタンの両端を交互に押すことでオンオフするスイッチです。
シーソースイッチとも呼ばれます。
一般家庭の照明の主電源にもよく使用されているでしょう。
小型なのに高い容量を誇ります。ロッカスイッチ製品を探す

スライドスイッチ

つまみの部分をスライド操作することによって、オンオフを切り替えるスイッチです。
小型のものがラインナップされており、マイクのスイッチなどに用いられます。 スライドスイッチ製品を探す

ロータリースイッチ

円形の本体についているツマミを回転させることによってスイッチのオンオフを行います。
多数の回路を同時に多数の接点に切り替えることが可能です。ロータリスイッチ製品を探す

マイクロスイッチ

マイクロスイッチはわずかな力で瞬時にオンオフ操作をすることができます。
この仕組みはスナップアクション機構と呼ばれる、速度やかけられる力とは関係なく一定の操作で接点の切り替えを可能にしたものによります。
マウスのクリックの感触が良いのはこのマイクロスイッチが用いられているため。
さらに、小型・高容量・高精度で、耐久性にも優れます。
なお、金属や樹脂で形成されたケースにマイクロスイッチを組み込んだものをリミットスイッチと言います。

ディップスイッチ

電子回路のプリント基板に直接実装されるスイッチで、電子機器の各種機能の設定切り替えに使用されてきました。
ちなみにディップとは集積回路を意味するDual Inline Packageに由来します。
スライドタイプ・ピアノタイプ・ロータリータイプの三種類があります。ディップスイッチ製品を探す

タクタイルスイッチ

タクタイルスイッチ(タクティル、タクトスイッチ)もまたプリント基板上に直接実装されることが一般的です。
プッシュ式で、押下すると通電のオン状態、離すとオフ状態となるモーメンタリー動作をします。
ちなみにタクタイルは英語で触感を意味するtactileに由来するように、独特のクリック感が特徴です。

② 機能で分けるスイッチの種類

スイッチは機能ごとに、「操作用」「検出用」「設定用」に分類することができます。

操作用は文字通り人が操作を行うことで作動するものです。
プッシュスイッチ、トグルスイッチ、スライドスイッチなど、わかりやすいものが多いでしょう。

検出用は何かの動きを感知して作動するスイッチで、自販機の売り切れランプや家電の開閉状態の検知に用いられます。
マイクロスイッチやリミットスイッチなどがこれに当たります。

設定用は機器の機能切り替えに用いられ、温度調節や制御機器などで使われてきました。
ディップスイッチなどが設定用に適しているとされます。

③ 接点で分けるスイッチの種類

前述の通り、スイッチの仕組みは内部に金属片が仕込まれており、オンオフすることで金属片同士がくっついたり離れたりして作動します。
この金属片同士の接触点を接点と呼び、以下の種類にさらに分類されます。

メーク接点

スイッチを入れていない状態でオフ(接点が離れている)、スイッチを入れた状態でオン(接点がくっついている)になるタイプの接点を指します。
英語でスイッチをオンにすることをmakeという動詞で表すことからこの呼び名となりました。 M接点、a接点とも言います。

ブレーク接点

スイッチを入れていない状態でオン、スイッチを入れた状態でオフにするタイプの接点です。
スイッチを操作することで接点が分離し、回路が遮断されることとなります。
ちなみに英語でスイッチをオフにすることをbreakeという動詞で表すためこう呼ばれました。 B接点、b接点とも言います。

c接点

一つのスイッチにa接点およびb接点の両方を持った構造を指します。
共通端子、常閉端子、常開端子から構成され、オンでもオフでも常にどちらかの接点が接触しているため、一つの操作で両接点タイプを使い分けることが可能です。
二つの回路を切り替える時に用います。

④ 制御できる回路数でのスイッチの種類~極と投~

一度の操作で同時にスイッチをオンオフできる回路の数を極(pole)で表します。
また、接点の数を投(throw)で表し、前述したa接点およびb接点は単投(single throw)、c接点は双投(double throw)と言います。

この極と投はセットで表記され、例えば単純なオンオフ機能、つまり1回路1接点の場合。
これは単極単投、Single Pole Single Throwの頭文字をとってSPSTと呼ぶこともあります。
c接点で1回路を扱うスイッチは単極双投。a接点(またはb接点)で2回路を扱うスイッチは双極単投など、表記はこんな要領です。

一つのスイッチで3つや4つの回路を同時に制御するものもあります。その場合は3極、4極と呼ぶことが一般的です。
一方で接点(投)はロータリスイッチなどを除くと一般的には単投か双投ですが、三つの接点を持ち3回路を切り替えることのできる三投式スイッチも存在します。
トグルスイッチやスライドスイッチなどで展開されています。
なお、ロータリスイッチは極と投を使いません。3回路3接点というような表記となります。

同時に複数の回路を制御したい時は多極スイッチを使いましょう。

確認したいスイッチのスペック

用途に合ったスイッチの種類を選んでいただいた時、まだ気をつけなくてはならないことがあります。
それは、実際の使用の時にどれくらいの電圧に耐えられるか、どれくらいの温度に対応できるか、といったスペックです。
スイッチを購入するうえで、種類以外に知っておきたいスペックの、代表的なものをいくつか紹介いたします。

① 定格と負荷

スイッチのみならず、電子部品を購入する際に気をつけなくてはならないのが定格と負荷です。
その電子部品が、どれくらいの電流・電圧、つまり負荷に耐えられるか、という指標です。

スイッチも定格数値を確認しますが、スイッチは抵抗負荷を想定した値のみが記載されたものが少なくありません。
実は抵抗負荷というのは最も負荷の少ない時にあたり、実際の使用においては純粋な抵抗負荷よりはるかに多くの電流(突入電流)が流れる可能性があることをご存知でしょうか。
定格が抵抗負荷の際の数値のみであった場合は、その数値の80%を超える負荷をかけないようにしてください。

なお、「電動機負荷」「ランプ負荷」といったように負荷ごとの定格数値が記載されている場合も、注意が必要です。
例えば電動機負荷とはモータやトランス、コイルなどといった部品が使用されている回路を指しますが、通電オフ時に逆誘導起電圧が発生し、その時の熱で接点が消耗してしまう可能性があります。
また、ランプ負荷の場合も過度な電流が流れ接点が溶けてしまうといったケースも存在します。

これらを回避するには、スイッチの購入時に、使用条件や印加される電圧などをしっかり把握し、実際の使用時よりも余裕をもった定格数値の個体を選ぶようにしましょう。

しかしながら、定格を超えないようにとはるかに大きい数値のスイッチを購入することは正解ではありません。
と言うのも、定格が大きいということはスイッチ自体も大きくなることがしばしばあり、回路が不格好になってしまいます。
また、接点にはそれぞれの定格に適した素材が使われているので、大幅に大きすぎたり小さすぎたりといったことは適切とは言えないでしょう。

迷った時は、専門店や販売店などに問い合わせてみる、という選択も大切ですね。

② 寿命

電子部品の寿命には電気的寿命と機械的寿命と呼ばれるものがあります。

前者はスイッチに定格数値の付加を接続し、規定の条件下で使用した場合の寿命を指します。
後者はスイッチには通電せず、規定の条件下で使用した場合の寿命を指します。

③ 耐環境性

スイッチがどの程度の防水性や防塵性を有するか、という指標です。

IEC規格(International Electrotechnical Commission、国際電気標準会議)に基づき、IP-64、IP-65などと表記します。
IPの後の二つの数字の一つ目は通常6が入り、これは粉塵が内部に侵入しない仕様を表します。

次には0、4、5、7などが入り、
0:防水性なし
4:水の飛沫からは保護
5:噴流水から保護
7:水圧に耐える
といった意味を持ちます。

ただし、この防塵・防水性はスイッチが操作されていないことが前提です。

④ その他

その他に耐電圧(定められた測定箇所に高電圧を1分かけた時に絶縁破壊を起こさない最大数値)、端子強度、耐寒性、耐熱性、耐湿性などがスペックとしてあり、価格も変わってきます。

繰り返しになりますが、実際の使用条件をしっかりと想定・把握したうえで適切なものを選びたいですね。