ダイオード(Diode)は、電気の流れを一方通行にする部品です。トランジスタ(Transistor)やIC(Integrated Circuit:集積回路)などと同じ仲間で、能動部品と呼ばれます。半導体を用いた基本的な部品です。
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ダイオードの用途について
ダイオードには、以下のような用途があります。
① 電気の流れを整える。
交流を直流に交換したり、逆流を防いだりします。ダイオードにはアノード(Anode:陽極)とカソード(Cathode:陰極)の二つの端子があり、電流をアノードからカソードへしか流さない作用があります。このような作用を「整流作用」と言います。PN接合型ダイオードでは、P型側がアノード、N型側がカソードとなります。
② 電圧を一定にする。
電源電圧の基準となったり、過電圧から回路を保護したりします。通常のダイオードは逆方向に電圧をかけても電流は流れませんが、ある一定の電圧を上回ると急激に電流が流れます。ここから電圧を上げても電流はほぼ一定の値になります。
③ 検波する。
ラジオなどの無線信号から、音声信号を取り出したりします。ゲルマニウムダイオードを用いたゲルマニウムラジオなどがあります。空気中の無数の電波から、アンテナが共振した電波だけを取り出すことができます。
ダイオードの仕組みや原理
シリコンやゲルマニウムなどの半導体に、ある決まった物質を少し混ぜると、混ぜる物質によって、P型半導体やN型半導体ができます。この2つをつなぎ合わせた構造のダイオードに電気を流すと以下のような反応が起こります。
- ダイオードは、P型とN型の2つの半導体をつなぎ合わせた構造です。
- P型半導体はプラスの性質を、N型半導体はマイナスの性質をもっています。
- P型半導体側の電極をアノード、N型半導体側の電極をカソードと言います。
- アノード側に電池のマイナスを、カソード側に電池のプラスをつなぐと、半導体の中の電気は、それぞれの電極側に引き寄せられます。
- この時、P型とN型の間の電気の無い部分が広がってしまうだけで、電気の流れはできません。
- このように電気が流れない場合を、逆方向と言います。
- アノード側に電池のプラスを、カソード側に電池のマイナスをつなぐと、プラスとマイナスの電気がP型とN型の間の部分でくっつく、互いに打ち消しあうことで、電極側から新たに電気が入ってることができ、電気の流れができます。
- このように電気が流れる場合を、順方向と言います。
その他、LEDはダイオードの中でプラスとマイナスの電気がくっつく時に、電気エネルギーが光となって放出される現象を利用しています。白熱電球と違って電気エネルギーを直接光に変えているので、効率がよく、エコを実現する照明部品として活躍しています。
ダイオードの種類について
半導体の材料や構造によって、さまざまな機能や特性のダイオードがつくられています。例えば以下のようなものがあります。
- 一般整流用ダイオード(シリコンダイオード)
- 電気を一方向にだけ流します。電源回路や保護回路などに使われます。ダイオードの基本性質である整流作用を利用しています。
- ダイオードブリッジ
- 整流用ダイオードを4つ組み合わせたタイプです。電源回路などに使われます。
- 検波用ダイオード(ゲルマニウムダイオード)
- 無線信号から音声信号を取り出します。ラジオなどに使われます。
- 定電圧ダイオード(ツェナーダイオード)
- 逆方向に電圧をかけると、一定の電圧で電気が流れる「ツェナー現象」を利用しています。電源回路などに使われます。
- フォトダイオード
- 光を感知すると電流の量が変化します。センサや光通信に使われます。自動ドアの開閉やトイレの照明などに活用されていることもあります。
- 定電流ダイオード
- 電圧が変化しても、電流を一定に保ちます。LED回路などに使われます。パソコンの電源ランプやテレビ画面のバックライト、照明などに使われているLEDもダイオードの仲間です。