製品開発・製造において、BOMまたは部品表を社内で上手に取り入れられていますか?
開発製造に当たっては、設計,製造・組み立て,購買から保守(メンテナンス)サービスと、多岐にわたる分野からのアプローチが望まれます。
一方で様々な人が関わっていく過程で、しばしば部署内でも部署間でも情報が食い違ってしまうことがあります。
例えば最新情報や成果物が共有されていなかった、などが考えられます。
また一から伝達し直したり一部での共有に留めたりといったことは、効率的ではありません。
それを防ぐために大切なのがBOM(部品表)の有効活用です。
この記事では、BOM・または部品表はどのようなものか。製品開発・製造におけるBOMの重要性、そしてBOMの有効活用方法をご紹介いたします。
目次
1. BOM(部品表)とは?なぜ重要なの?
BOMはBill of Materialsの略で、日本語訳したものを部品表と呼びます。
これは、言わば製品開発・製造におけるレシピ。
ある製品を作るのに必要な、部品や数量。それぞれの部品のメーカー名や型式。また、それぞれの部品同士のヒエラルキー(階層構造)や、完成品を記載します。
ただの必要部品の一覧表ではないところがミソ。部品同士の関連性・順位。そしてある部品がどこでどのような役割を果たすかの情報はもちろん、BOMに基づいたトータル部品コストを容易に確認することができます。
BOMは、「共有できる」ことが、何よりの魅力です。
部署間やチーム内での不透明な箇所や情報の齟齬をなくし、スタートからゴールまでの過程を各々が理解しやすくなります。
例えばただ必要な材料だけが羅列してあるレシピは、「なんでこんなに砂糖が必要なんだろう?」「この塩にはどんな役割があるんだろう?」と、疑問を持つ人もいます。
材料同士の関連性や役割などがきちんと記載されていれば、「この砂糖はいらない、コスト削減しよう」「塩にはこんな役割があったのか」「全ての材料を揃え料理として提供できるまでに、最低いくらかかるのか」ということが一目瞭然で便利ですよね。
近年、多くの業種・分野で産業構造が変化しています。例えばそれは技術革新であったり、社会の情勢変化であったりと理由は様々ですが、それに伴い、これまでになかった部門や多くの人手を製品開発・製造に介在させるようになりました。
こんな今だからこそ、管理しやすく誰にでもわかりやすいBOMの重要性はますますの高まりを見せています。
なお、製造業に留まらず幅広い分野の製品開発において取り入れられていますが、「部品表」という用語を使わない業種も存在します。
医薬品や化学,食品や出版などが該当しますが、これはMaterialsの訳語を部品にしたために生じたもの。確かに薬の開発などで「部品」という言い方はどこかそぐいません。
英語のMaterialsは原材料なども含むため、そういった業界ではもっぱらBOMを使用します。
意味や活用方法は同一となります。
2. BOM(部品表)の構成要素。何が書いてあるの?
BOMは製品開発のレシピである、と述べました。
そのため、完成品に行き着くために必要な情報が書かれています。
業種や業態によっても異なりますが、PN(Parts Number)とPS(Parts Structure)の二つが記載されます。
PNは品目情報で、製品開発に必要な部品(または材料)の品名、型式、メーカー名、数量、定格や誤差などの仕様、材質などがこれに当たります。
そしてPSでは、PNに記載された部品それぞれを、製品開発に必要な情報にリンクさせます。
具体的には、どの部品がどこに使われているか、どの材料がどのような役目を負っているのか、などといった、ヒエラルキーを構築することが目的です。
詳細は「BOM(部品表)の有効活用方法」にて後述しますが、BOMは部品と製品開発に必要な情報とをきちんとリンクしなくてはただの部品一覧で終わってしまいます。
また、常に最新情報にアップデートさせ、かつ誰が見てもすぐに部品同士の関連性を理解できなくてはなりません。
例えば設計者がある部品を変更します。 変更箇所及びそれが図面のどこに当たるのか?どのような役割を持つ部品なのか?をBOM上でリンクさせることによって、「管理者」はもちろん「普段図面を見慣れない人々」にとっても素早く変更内容を理解することができるのです。
3. BOM(部品表)の種類
BOMは社内で共有する必要がありますが、必ずしも部署同士が全く同じものを使ってはいません。
なぜなら、設計者と購買者では、ニーズとする情報内容が異なるためです。
例えば設計者の手で作られたBOM。その後、生産技術部門(よりローコストで効率の良い生産体制を築くための部署のこと)などで部品のコスト、生産ラインの効率化やスケジュールといった事柄が考慮され、製造・購買部門へと流されることになります。
設計者が作ったBOMには製造方法などは記載されていないことが多く、製造には製造用の、部品購買には購買用のBOMが求められます。
BOMの代表的な種類をご紹介いたします。
- ① マスターBOM
- 様々な部署で使用されるBOMのまとめ役です。
設計、製造、購買、保守サービスなどあらゆる部署のBOMをカバーします。そのため、データ量が膨大になることも。
部署ごとに複数のBOMを作成していない企業では、BOM、部材マスターなどといった呼び方をします。 - ② 設計BOM(E-BOM)
- 設計部門で用いられるBOMのこと。Eとは、Engineeringの頭文字です。
製品の完成までに必要となる「部品の構成」や「数量」などで構成されており、設計前・設計中問わず活用されていきます。
品目のヒエラルキーが一階層のみのフラット型と、多層におよぶ階層型とに分かれます。
主として部品の機能構成となっており、技術情報や仕様がメイン。よって、製造に関する情報はあまり含まれていません。 - ③ 製造BOM(M-BOM)
- 製造や組み立てを担う部門で用いられるBOMのこと。Mとは、Manufacturingの頭文字です。
E-BOMをもとに制作されますが、E-BOMが機能中心なことに対し、M-BOMは実際の生産ベースとなります。
具体的には、「部品組み立ての際に使用するユニットや基板単位」などによって構成されます。
E-BOMとM-BOMで記載する部品は同じなのに、部品同士のヒエラルキーが全く異なる、ということは一般的です。
組み立てしやすいよう、部品に組み立て順の番号を振っているものもあります。 - ④ 購買BOM
- 部品の発注を行う購買部門で用いられるBOMを指します。
見積・発注作業が目的のため、それ以外の組立配線といった情報は使わず、数量やメーカー・仕入れ先ごとの価格リストなどが主な構成要素となります。 - ⑤ サービスBOM
- 製品のサービスや保守(メンテナンス)を行う際に用いるBOMです。
サービス充実がメインとなるため、よく消耗する部品を特に取り上げています。
4. BOM(部品表)の有効活用方法
このようにBOMは各部署間で異なることがあり、それぞれ独立させている企業も珍しくありません。
もちろん各部署の役割に特化したBOMを持つことは、スムーズな作業において欠かせないでしょう。
しかしながらBOMを有効活用するには、一元管理することがお勧めです。担当部署が複数になる場合は尚更、まとめることが求められます。
繰り返しになりますが、BOMはただの部品一覧表に留まりません。
何かを作るにあたって、スタートからゴールまでに必要な部品と、部品同士の関係性や工程などを明記したものです。マネジメントしやすく、また関わる人々が理解しやすくすることを目的とした表となります。
また、必要な情報や最新版にリンクさせなくてはBOMの真価が半減されてしまいます。
かつては紙などで管理していましたが、修正が面倒であったり誤記が発生したりといった問題点は少なくありませんでした。
今ではエクセルシート上や専用ソフトなどでデジタル管理することによって、より幅広く効率的にBOMを使用できるようになっています。
中には構造や工程を理解しやすくするために、3D CADデータを組み込んだBOMも注目されています。
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6.まとめ
より効率的な製品開発・製造を実現するBOM(部品表)について、その役割や種類、有効活用方法をご紹介いたしました。
BOMは部品一覧表であるに留まらず、部品同士の関係性やヒエラルキー、工程や完成品など、製品開発・製造のスタートからゴールまでを導いてくれるレシピであること。
部門によって種類が分かれますが、一元管理が求められていることなどをご理解いただけたでしょうか。
近年ますます普及しつつあるBOM。この機会に、ぜひ御社でも有効活用に取り入れてみてくださいね。