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電子機器の高度化を実現するバックプレーンとは?

パソコンは自作後や購入後であったとしても、足りない機能やスペックを自分自身で拡張することが可能ですね。

また、パソコンの機構上、様々な機能がモジュール的に構成されているため、各種機能・機器を後付けできるのも嬉しいところ。

こういった作業には、バックプレーンがしばしば用いられます。

マザーボードと似ていますがCPUは持たず、シンプルな基盤とはなりますが、その信頼性・汎用性の高さから、パソコン黎明期から用いられてきました。

現在ではパソコン内部のみならず、液晶のフレキシブルディスプレイや通信サーバーシステムの内部機構としても注目を浴びています。

この記事では、バックプレーンとはどのようなものか。また、バックプレーンを用いるメリットや購入するうえで知っておきたい規格、バックプレーンの用途などを解説いたします。

バックプレーンとは

1. バックプレーンとは?

バックプレーンはBackplaneと表記する英語で、日本語ではそのまま「背面基板」となります。

回路基板の一種ですね。

簡単に解説するとコンピュータ本体や周辺機器を接続させるバス(共通経路)となりますが、基板上には電子部品やチップはなく、複数のコネクタ(ソケットやスロット)が比較的高密度に並んでいます。

このバックプレーン上に設置された各コネクタは並列されたコネクタと同一規格・同一ピンとなっており、相互接続してコンピュータバスを形成しています。

どういうことかと言うと、拡張カードやケーブルなどを接続できるコネクタがそれぞれ決まった位置に実装されているのですが、加えてそれぞれのコネクタが相互に接続されている。

つまりただのケーブル差込口などではなく、コンピュータ本体の基幹回路の役割を果たせる基板なのです。

必要な複数の回路基板を、コネクタを通して接続することでコンピュータシステムを構築できる、という性質から、バックボーンシステムと呼ばれることもあります。

拡張カードによってはシステムサイズ自体を変更することも可能です。

2. バックプレーンを使用するメリット

バックプレーンは、マイクロコンピュータシステムの黎明期から活躍していました。

例えば1960年代のDEC(デジタル・イクイップメント社)が開発したミニコンピュータ。

1974年12月にアメリカのMITS(Micro Instrumentation and Telemetry Systems社)が製品化させたAltair 8800。

Apple IIなどが拡張カード用のバックプレーンを搭載していました。

なぜバックプレーンを用いるのかと言うと、ケーブル接続よりも信頼性が高く長寿命であるためです。

と言うのも、ケーブル接続で拡張を行う場合を見てみてください。

カードを挿入または取り除く時には必ずケーブルを物理的に動かさなくてはなりませんね。

ご自身でケーブルを抜き差ししているとおわかりいただけるでしょうが、繰り返し機械的に動かされたケーブルは、いずれ故障したり劣化したりしてしまいます。

バックプレーンは機械的故障がきわめて少なく、コネクタの寿命さえ続けば末永く使い続けていくことができます。

製品によっては、数十~数百回のカード挿入・抜去を想定したものもラインナップされるようになりました。

3. バックプレーンの規格

バックプレーンはマザーボードと混同されることがありますが、バックプレーンにはCPUソケットやメモリスロットがないことから、区別されることがほとんどです。

ただし、マザーボードはバックプレーンの性質を有していると言えます。

バックプレーンにCPU機能を追加したい場合は、CPUボード(シングルボード)を直接接続する必要があります。

この時、シングルボードコンピュータとバックプレーンが同じ規格に対応していないと接続は不可能となります。

これはCPUに限った話ではなく、拡張カードなどにも言えることです。

覚えておきたい規格は三つです。

まず、PICMG。PCI Industrial Computer Manufacturers Group。

450社以上で構成される共同事業体で、コンピュータ関連の標準化を行っています。

また、ISA(Industry Standard Architecture。アイサ)やPCI(Peripheral Component Interconnect)などもあります。

ただし規格同士で互換性を持つ場合もあります。

例えばPICMGタイプのバックプレーンの中には、ISA用拡張スロットを持つ製品があります。ISAの中にも、PCIのCPUカードが入るものがあります。

同規格準拠品でも製品によって異なりますので、仕様書をよくご確認してください。

ただし、こういった規格に対応していない場合でも、方法はあります。プラグインカード群へ電源供給を行ったり、ケーブルを使ってコンピュータ本体と接続したりといった対策が取られます。

4. アクティブとパッシブ

あらゆる産業でコンピュータ技術が浸透していく中で、バックプレーンはより多くのケースに対応できる複雑さが求められるようになりました。

これまでは同一規格のもと、共通バスで接続を行えば事足りていましたが、現在ではそうはいきません。

そこでバックプレーンは、「アクティブ」な製品、「パッシブ」な製品が開発されています。

パッシブ・バックプレーンとは、回路を駆動させるような機能のバスを持ちません。

「受動的な」バックプレーンというわけですね。

必要な調停回路はプラグインカード群によって構成されます。

一方アクティブなバックプレーンは、各種信号に対してバッファリングするチップを搭載しています。

バッファリングとはコンピュータにおけるメモリのような役割を指します。

この二種は厳密に区別されているわけではありませんが、アクティブ・バックプレーンの方が複雑な構成をしているため、システムに障害を及ぼす障害点となる可能性が高くなります。

とは言えバックプレーンそのものが原因の故障は少ないと言われてもいます。

5. バックプレーンの様々な使われ方

バックプレーンは様々な用途があり、コンピュータのシステム構築において大きな役割を担っています。

近年注目度が高い分野と言えば、液晶ディスプレイでしょう。

例えば有機ELなどディスプレイのバックプレーン。

有機ELとは有機エレクトロルミネッセンスの略で、液晶テレビを非常に薄型にすることに成功しました。

このディスプレイに高いバックプレーン技術が必要とされており、微細な半導体素子が実装されることで高精細化を実現しています。

また、スマートフォンなどのタッチパネルでも、あらゆるセンサなどと言った電子部品をきわめて薄く実装させるために、バックプレーンが用いられています。

この他にはコンピュータ上で複数HDDをケーブルなしで単一ストレージに接続するためにもしばしば用いられています。

また、サーバを多数接続する通信用の回路基板の役割も大きいですね。

バックプレーンは複数のコネクタが効率よく並列されているため、高密度なシステム構築に一役買っています。

普段あまり気に留められていないバックプレーンですが、あらゆる産業でバックプレーン技術の高まりが期待されています。

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6. まとめ

バックプレーンとはどのような回路基板であるか。

また、バックプレーンを用いるメリットや知っておきたい規格、バックプレーンの用途などを解説いたしました。

バックプレーンはあらゆる産業で用いられており、もちろん私たち一般消費者がパソコンなどを拡張しようと思った時など重宝します。

とは言えバックプレーンには、各カードと相対する規格があります。この規格が間違えているとそもそもピンを繋げません。

ご購入の際はしっかり確認し、わからないところはお店の人にとことん相談しましょう!