トランスデューサとは?様々な種類や役割を知ろう

最終更新日

電子機器を調べる時、しばしばトランスデューサという用語を目にすることがあるでしょう。

しかしながらそれは、マイクロフォンだったり計装機器だったりフォトダイオードなどの半導体だったりと、出てくる分野が多すぎて、いったいどのような機器あるいは素子を指しているのかわかりづらいことがあります。

また、センサとの違いもよくわからない、といった疑問もあるでしょう。

そこでこの記事では、トランスデューサとはどういったものなのか。
トランスデューサの役割や種類による用途を解説いたします。

トランスデューサを使用しているマイクロフォンつまりマイク

1.トランスデューサとは

英語では接頭辞transが単語につくと「~を超えた」「~を変えた」といった意味を持ちます。
transducerと表記するトランスデューサは、「変えるもの」。

日本語で変換器とも言うように、あるエネルギーを別の信号に変換させる電子機器・電子素子を広く指します。

例えば冒頭で具体例を挙げたマイクロフォンは、空気振動を電気信号に変換させ、拡声や録音を行うトランスデューサ。

計装機器の一つである圧力トランスデューサは圧力を電気信号に変換させる。
フォトダイオードは光を電気信号に変えるトランスデューサ、といったように、広い意味で用いられる用語です。

よくセンサと混同されることがありますが、センサはエネルギーを検知し、人工的に再現するものです。

一方のトランスデューサはこの検知・再現されたエネルギーを別の信号に変えるデバイスとなります。 別物ですが、トランスデューサはセンサとセットで一つの機器となることが多いです。

2. トランスデューサの役割

トランスデューサの役割は種類にもよりますが、一言で言うと「電子機器・電気機械を動かすため」のものです。

例えば先ほどご紹介したマイクロフォンは、トランスデューサがなくてはただ空気振動(音)をキャッチするだけで、その後のアクションは何も起こせません。
また、蛍光灯も、トランスデューサを使用することにより、ただの電力を可視光線にしています。

さらにもう一つ、トランスデューサの重要な役割があります。それは入力側・出力側の絶縁です。

トランスデューサは入力側・出力側が電気的に繋がっていないため、それぞれが独立した状態になっています。

この状態を絶縁と呼び、トランスデューサをデバイスに搭載させることは、その前後で電気的な接続を持たせないことを意味しています。

絶縁することで入力側で何かが起こった際も、出力側の回路や素子には大きな影響を与えないで済みますね。

もし絶縁されておらず、出力側に交流電流が流れてしまうなどした場合、機器の誤作動や故障を招きます。

このように、トランスデューサが無くてはどの電子機器・電気機械も目的の機能を果たさないと言っていいでしょう。

3. 様々なトランスデューサとそれぞれの用途を知ろう

トランスデューサは本当に幅広い意味で用いられます。

 

全てを網羅することは困難ですが、いくつかの系統に分けて代表的なトランスデューサをご紹介いたします。

なお、分類についてはメーカーや機関によって異なりますが、本稿では「何をどのような信号に変換するか」によって種類分けいたしました。

1 電気・機械的トランスデューサ

電力や物理量を電気信号に変換するトランスデューサをご紹介いたします。

■電力用トランスデューサ

受配電設備で欠かせないのが電力用途のトランスデューサです。

ある電流を別の電流、あるいは別の量に変える機器は広義ではトランスデューサですが、電力用途では交流を直流にするAC-DCトランスデューサを指してこう呼ぶことが多くなります。

仕組みはメーカーにもよりますが、変圧器(トランス)でコンセントから出てきた交流電流の電圧を低く変圧し、整流器で交流を直流にならし、最後にコンデンサなどの平滑回路で残った脈流を平にならし直流電流を作る、というものです。

この仕組みを、もう少し詳しく見ていきましょう。

まず、トランスについて。

トランス(変圧器、または電源トランス)はあらゆる電子機器を用いるうえで重要なデバイスとなります。

その理由は二つあります。

一つ目の理由は、日本の商用電源は100Vとなり、ほとんどの電子機器には過分な電圧であること。

ちなみに海外だと、さらに大きな電圧が流れることもあります。

必要以上の電圧を機器に流してしまうと、あっと言う間に機器の定格を超えてしまい、破損や故障を起こしたり、漏電や発火に繋がったりと大変危険です。

そのため電子・電気機器は、コンセントから電源供給を受ける際、必ずトランスを用いて降圧を行います。

二つ目の理由は機器によって、必要な電圧が異なることです。

もちろん、トランスには降圧のみならず昇圧の役割も存在します。

昇降圧どちらも行うトランスのことをアップダウントランスと称しています。

さらに言うとトランスは入力側・出力側で繋がっていないため、トランスデューサ同様に絶縁としても機能していることは、特筆すべき点です。

なお、トランスはコイルを用いて変圧を行うことが一般的です。

一つのコアに、入力側・出力側それぞれで2つ以上のコイルを巻き付け、入力側から交流電圧を印加します。

コア内に磁束が発生しますが、コイルそれぞれはコアが共通しているため、磁束は二次コイル側を貫き、出力電圧が発生します。

この時、入力側・出力側それぞれのコイルの巻き数の比で出力電圧を上げたり下げたりすることが可能になります。

このようにして供給電流を変圧した後は、整流器と平滑回路で機器を駆動させる直流へと変換されます。これこそがAC-DCトランスデューサの真価です。

前述した商用電源は交流が供給されています。

しかしながら、多くの電子機器は直流で駆動するため、整流しなくてはならないのです。

変換には整流器・平滑回路が必要となります。

そもそも交流は、電流の流れる極性(電流の向き)・電流・電圧が周期的に変化します。

よく縦軸を電圧、横軸に時間をとったグラフで表されますが、こうすることで正弦波(サインカーブ)を確認することができますね。

整流器では、電流の向きを一定にし、この正弦波をなだらかにするといったイメージです。

整流器にも様々な種類がありますが、一定方向にしか電流を流さない素子ダイオードを用いてこれを行います。

もっとも、ただ整流しただけでは電子機器に使える直流ではありません。

脈流(脈動電流)という、電流の向きは一定ながら電流の大きさは周期的に変化した状態であるためです。

そこで平滑回路の出番です。

平滑回路によってこの脈流を平滑させ、完全な直流へと変換させる必要があるのです。

平滑回路もまた様々ですが、コンデンサの「電荷を貯蓄する」性質を利用することが一般的です。

■LVDT

Linear variable differential transformerの頭文字をとった用語で、日本語では変位センサ、あるいはリニア可変差動変圧器とも呼ばれます。

リニア(直線)的な変位測定を主目的としており、ゼロ位置から線形でどの程度変化したかを電気信号に変換し、取り出すことが基本となります。

航空機の自動制御システムや計装機器の機械運動センサとして用いられてきました。

この仕組みは三つの備えられたコイルです。

中央に一次コイル、その外側に二つの二次コイルを搭載したLVDTを距離測定したい物体に取り付けます。一次コイルは可動できるので、そこを物体と連結させることになります。

この状態で交流電流を流すと自己誘導電磁作用によって起電力が発生しますが、一次コイルの位置によって二つの二次コイル間に差動交流電圧が発生します。

この差動電圧が電気信号に変換されるのです。

一次コイルが二つのコイルのちょうど中間にある時は差がゼロとなり、電流は打ち消されます(わずかな残留電圧はあり)。

■熱電対(サーモカップル)

熱電対(ねつでんつい)とは温度計の一つです。

二種類の金属線の先端同士を接触させることで回路を形成します。

この時、金属線Aと金属線Bの接合部には熱電効果が発生します。

接合部は二か所できることとなりますが、それぞれの温度を変えると温度差に応じてABの間に熱起電力が発生する、というのが熱電効果です。

ここで発生した起電力の電圧を測定することで正確な温度を計測することができます。

産業用途が主流で、水銀計やサーミスターなどと比べて応答が速い、-200℃~+1700℃と温度範囲が広いなどのメリットを持ちます。

■マイクロフォン

空気振動である音をキャッチし、電気信号に変換する機器です。

録音や拡張などに用いられます。

構造がいくつかありますが、最もシンプルなものはダイナミックマイクです。

取り付けられた振動板とともにコイルが動き、搭載された永久磁石の間で動きます。磁石の間で導線を動かすと電流が流れ(電磁誘導)、この電流が電気信号として伝わり、結果としてマイクロフォンの機能を実現します。

ちなみによく混同されるのですが、電気信号を音に変換する装置はスピーカーとなります。

■圧力センサ

圧力センサは、かかる圧力を弾性体のたわみに変換し、「どれくらいたわんだか」の量(ひずみ)を検出するものです。

圧力センサもまた、製品によっていくつかの種類・仕組みがあります。

しかしながら圧力センサを語るうえで、「ダイヤフラム」「ピエゾ抵抗素子」の存在は欠かせません。

ダイヤフラムは「弾性薄膜」「受圧部」などとも称され、圧力センサのみならず、ポンプや聴診器などにも用いられています。

シリコンやステンレスといった素材で製造されていますが、ダイヤフラムはいずれも薄い弾性体となっており、ダイヤフラムがかかった圧によって変形した量(ひずみ)ををセンシングすることで圧力センサは動作します。

ダイヤフラムは、薄ければ薄いほど感度が高まる傾向にあります。

そして、このダイヤフラムによってセンシングしたひずみを測定し、電気信号に変換させる立役者がピエゾ抵抗素子です。

ちなみに、ひずみセンサをひずみゲージなどと呼ぶこともあります。

ピエゾ(Piezoelectric ElementまたはPiezoelectric Device)と聞くと、水晶振動子等の圧電素子を思い浮かべる方も多いかもしれません。

しかしながら、ピエゾ素子とピエゾ抵抗素子は別物です。

ピエゾ素子は圧電素子の名の通り、圧力を加えると電圧を発生させ、逆に電圧印加によって変形することが大きな特徴です。

前者を圧電効果(ピエゾ電気効果)、後者を逆電圧降下と呼びます。

ただしピエゾ抵抗素子と言うと、圧力を加えることで電気抵抗が変化する、という素子になります。

この時、変化するのは抵抗値で、電位には影響していません。

つまり、圧力センサではダイヤフラムがたわむとピエゾ抵抗素子によって抵抗値が変動するので、この抵抗値の変動量を処理・増幅し、電気信号に変換します。

抵抗値の変化量はひずみの量(変形量)に比例するため、電気信号によってどれくらいの圧力がデバイスにかかったか測定できる、というわけです。

圧力センサは、非常に様々な分野で重宝されています。

自動車や家電機器はもちろん、近年ではロボット産業での用途が注目されていることを、ご存知の方も多いかもしれません。

圧力センサは、センサデバイスの中では比較的プリミティブなものですが、近年では小型軽量化に加えて、より感度・精度を高めたものが出回るようになりました。それは、様々な分野でニーズを高めているからに他なりません。

とりわけ小型化は目覚ましく、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)という微小電気機械システム技術によってセンサをチップ上に搭載させるようなレベルの製品も開発されており、今後の市場動向から目が離せないセンサ分野と言えます。

なお、圧力センサと圧力トランスデューサを別々に扱う場合もありますが、決まった定義はなく、ひずみを抵抗値の変化に変えるといった意味でトランスデューサに分類されると言えるでしょう。

2 センサ的トランスデューサ

センサとして検出した刺激を電気信号に変換するトランスデューサをご紹介いたします。

■フォトダイオード、フォトトランジスタ

最も基本的な変換素子はフォトダイオードやフォトトランジスタでしょう。

フォトダイオードは光をキャッチすることによって電流を流すトランスデューサです。

半導体には光を当てると起電力が発生する効果があり、これを光起電力効果と呼びます。ソーラー電池などに応用される分野です。

フォトトランジスタもまた同じように光をキャッチすると電流を生じますが、それを増幅することができます。

また、通常のフォトダイオードだと感度が決して良くはなく、光が弱いと検出できない場合がありますが、フォトトランジスタではこの感度も高められています。

フォトトランジスタの方が微弱な光でも検出し、しかも出力も大きくなりますが、一方でフォトダイオードの方が高速光通信に適しています。

■非接触式温度センサ

先ほど金属線を接触させる熱電対をご紹介いたしましたが、熱容量がそこまで大きくないものに接触式温度センサを使用すると、正確な測定の前に被測定体の温度が変化してしまい、測定誤差が出る場合があります。

そこで、被測定体から直接熱放射をキャッチし、それを電気信号に変換する非接触式温度センサを用います。

例えば体温計では、サーモパイルと言う、複数の熱電対を直列(または並列)にセッティングして接続したトランスデューサが用いられます。

体温計を直接体に密着させると、サーモパイルの感熱部分に体からの熱放射が吸収され、その部分が周辺温度より高温となります。

周囲と感熱部分の温度差を利用し、電流を発生させ、電圧測定する、というものです。

熱電対を並べているため微小な温度変化にも対応でき、誤差も少ないというメリットがあります。

3 アクチュエータ

これまで電気信号に変換するトランスデューサをご紹介してきましたが、アクチュエータはその逆。

入力されたエネルギーを物理的運動に変換するものとなります。

エネルギー源は機械や油圧など様々な場合がありますが、一般的には電気エネルギーを運動に変換するものを指します。

例えば、ソレノイドアクチュエータは、コイルを用いて磁場を発生させ、その電磁力を使って運動させるトランスデューサです。

また、油圧サーボモータも、油圧ポンプによって得たエネルギーで回転運動を行います。

ロボット開発などにも応用されており、市場を広げているトランスデューサの一つです。

4 双方向トランスデューサ

双方向トランスデューサとは、物理量を電気信号に、さらに電気信号を物理量に変換するという、相互的作用を持ったトランスデューサのことです。

ひとくちに双方向トランスデューサといっても様々な形態がありますが、私たちの身近なところでは電波(電磁波)を電気信号に変換し、送信機から電気信号を電波に変換するアンテナ。

また、スピーカーで電気オーディオ信号を音に変換し、ダイナミックマイクで音波をオーディオ信号に変換するボイスコイルも双方向トランスデューサに当たります。

4. まとめ

トランスデューサについて解説いたしました。

トランスデューサとは 「あるエネルギーを別の信号に変換させる」ものであること。

エネルギーは電気・物理量であったり、センサで検知した刺激であったり、電気信号であったりすること。

また、信号は電気信号以外にも運動などに変換されるトランスデューサもあることなどをご理解いただけたでしょうか。

文中でも述べたように、トランスデューサは非常に幅広い用語として使われています。ご用途によってお探しのトランスデューサがある場合は、ぜひお気軽にお問合せくださいませ!


シェアする