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令和の社会に欠かせないNFCリーダーとは?

スマートフォンをリーダーにかざすだけで決済が完了したり、アプリを起動できたり、データの送受信を行えたり・・・。

新型コロナウイルスによって人同士の接触が極力避けられるようになったことも相まって、これらの機能を持つNFCは、今や私たちの生活に欠かせない存在です。

とは言えNFCとは、いったいどういう意味なのでしょうか。

また「RFID」や「リーダー・ライター」などといった用語がNFCには散見しており、何が何だかわからないといった方も少なくないでしょう。

そこでこの記事では、NFCリーダーに焦点を当てて解説していきます。

1. NFCリーダーを知るにはNFCを知ろう

最初に、NFCについて解説いたします。

NFCはNear Field Communicationの頭文字をとった用語となり、13.56MHzの周波数を利用して近距離無線通信を行える技術を指しています。

簡単に言うと想定する範囲内の近距離で、機器をかざすだけで通信を行うことのできる技術です。

ちなみに近距離無線通信で利用する周波数帯はいくつか存在しますが、この13.56MHzはISO/IECで規格化されている中でもNFCがスマートフォンに搭載されるなどして、メジャーとなりつつあるものです。

13.56MHzの通信距離としては〜70cm程度と言われていますが、NFCでは10cm程度の近接利用が一般的です。

こういった近距離での無線通信はRFIDとくくられることがあります。

RFIDはRadio Frequency Identifierの略称で、専用タグのデータを非接触で通信する技術のことです。

古くは第二次世界大戦時代から開発が進められたと言われていますが、普及が促進されたのは半導体テクノロジーの向上によって小型軽量化が進んだ2000年代〜でしょう。

企業によっていくつかの技術が開発されていましたが、それらが現在では「13.56MHzの周波数を利用して近距離無線通信」とまとめて規格され、NFCとなっております。

なお、NFCは双方向での通信が可能となっています。

ちなみに日本で最もポピュラーと言って良いNFCの一つFeliCaは、1988年に日本のS社によって研究がスタートされました。

実用化は1997年の香港のオクトパスカードで、これはSuicaやICOCAのような交通カードです。

ところでFeliCaはポピュラーと前述しましたが、NFCにはいくつかの種類があります。

NFCは通信の周波数について規格されており、手掛ける企業によってその名称は変わってきます。

FeliCaは、前述の通り日本のS社が開発したNFCです。

香港の事例が先鞭をつけましたが、現在ではSuica等、日本の交通ICカードではとてもメジャーな存在です。

高速データ送受信が可能で、しかも何度でもメモリを書き換えることができるため、一枚のカードやデバイスで通勤定期券や電子マネーとしての用途に最適です。

セキュリティ面にも定評があるのは、さすがS社ですね。

なお、FeliCaは至福を意味するFelicityに由来しているようです。

その他ではTypeAおよびTypeBがあります。

こちらは海外でよく流通してきましたが、国内でも普及しています。

TypeAはオランダのN社が開発した技術で、Taspoやクレジットカードのタッチ決済等で用いられます。

NFCの中では比較的安価となっており、導入コストに優れます。

TypeBはアメリカのM社が開発した技術で、TypeA同様にクレジットカードのタッチ決済の他、マイナンバーカードやパスポートなどといった公的書類に近年では内蔵されています。

こちらも高速データ通信に長けており、またセキュリティ面にも優れていると言われています。

2. NFCリーダーとは?

NFCの用途は、大まかに分けると三つ存在します。

カード・エミュレーション、機器間通信(P2P)、そしてリーダー/ライター・エミュレーションです。

NFCリーダーは、このリーダー/ライター・エミュレーション機能のことを指しています。

なお、カード・エミュレーションはその名の通りICカードやタグなどとしてふるまうことです。

スマートフォンにICカードやポイントカード、会員カードなどの役割を担わせることができます。

何度か言及している、おサイフケータイが良い例ですね。

カード・エミュレーション機能を持ったNFCデバイスを読み取ることで、決済を行ったり、ポイントを付与したりすることができます。

ちなみにポイントカードなどの場合は会員番号などで紐づけを行うことで、物理的なカードと一緒に並行して使うことが可能です。

HEC(Host Card Emulation)によってクラウド上でセキュアエレメントを管理するため、アプリの立ち上げやロック画面解除などの操作がいらないことがほとんどです。

機器間通信(P2P)は、その名の通り機器同士でデータを無線通信する機能です。

メールアドレスを交換したり、写真データを送ったりしたい時、従来はメールに添付しなくてはならないなどやや煩雑な操作が必要でした。

しかしながらNFCのP2Pでは、デバイス同士をかざすだけでこういったデータを相互に交換し合うことが可能になっています。

なお、スマートフォン同士でなくとも、テレビやパソコン、デジタルカメラなどでもデータ通信が可能です。

似た機能で赤外線通信が存在しますが、フィーチャーフォンでの搭載がメインであり、スマートフォンではあまり搭載されてきませんでした。

そして三つ目のリーダー/ライター・エミュレーションは、文字通り「読み書き」機能です。

これこそ、NFCの中で最も私たちに身近な機能と言えるのではないでしょうか。

この機能は簡単に言うと、NFCを搭載したデバイスを専用リーダー/ライターにかざすことで、ICチップやタグのデータ読み取りや書き換えが行える、というもの。

例えば交通カード

現金やクレジットカードなどを使ってチャージした金額を改札にピッとかざすと、利用区間分の運賃が勝手に引かれていますが、これがリーダー/ライター機能となります。

QRコードと似ていますが、読み取りのためのカメラを立ち上げる必要があったり、通信速度はNFCに比べて遅かったり、セキュリティ性が低いなどといったQRコードのデメリットをNFCリーダー/ライターは補います。

NFCは、このリーダー/ライター専用機がなくては用をなしません。

NFCタグだけ搭載されていても通信はできないためです。

そのため様々なNFCリーダー/ライターが製品化されており、小型のものや卓上型のもの、低価格帯から高級品とラインナップが豊富になっております。

3. まとめ

NFCおよびこの機能に欠かせないNFCリーダーについて解説いたしました。

NFCはNear Field Communicationのイニシャルをとった用語であり、近距離無線通信の中でも13.56MHzの周波数帯を利用した規格であること。

国内ではFeliCaがよく普及しているものの、マイナンバーカードなどに代表されるTypeBや、TaspoでおなじみのTypeAなどもNFCであること。

NFCリーダー/ライターによってデータの読み書きを行っており、より便利にスピーディーに決済やカード読み取り、ポイント付与などを行ってくれる優れたテクノロジーであることをお伝えできたでしょうか。

普段何気なく使っているNFCですが、今後もますます私たちの生活に欠かせないものとなっていくことでしょう。