D-subをご存知でしょうか。この名称を知らなくても、ピンをD型シールドで覆ったコネクタは見たことがあるでしょう。
D-subの用途はパソコンとその周辺機器を繋ぐことで、映像信号を入出力したり、ゲーム用のコントローラーを接続したりといったことに長年用いられてきました。
近年では画質が良くノイズの影響を受けないと言われるデジタル接続のDVIやHDMIコネクタが主流になりつつありますが、D-subだってまだまだ現役。
むしろ今なお汎用性が高く、多くのパソコンやディスプレイに対応することができます。
この記事では、そんなD-subとはどういったコネクタなのか、どのような種類がありどのような使われ方がされるのかを解説いたします。
1.D-subとは?
D-subはD型のsubminatureを略した用語です。
subminatureは「超小型の」という意味で、コネクタ形状の規格をひっくるめてこう呼びます。
コネクタ規格の中では歴史が深く、1952年、アメリカのITT Cannon社によって開発されました。
以来、世界各国で用いられ、現在ではIEC(国際電気標準規格)によって標準化されています。
名称はシールド形状に由来します。
D-subコネクタの金属シールド(信号線をノイズなどの外部刺激から守る盾のこと)を正面から見ると、アルファベットDの形状をしていることから名づけられました。
パソコンと周辺機器を接続するものですが、現在は主にディスプレイに映像信号を入出力するために用いられています。
シリアルポートまたはパラレルポートといったデータ伝送やSCSI(スカジー)の通信などにも使われてきましたが、USBで代替されたため、現在はディスプレイ用に特化してきました。
また、冒頭でも述べたようにディスプレイ接続においても、D-subはアナログ接続であることに対し、デジタル接続のDVIやHDMIの方が「画質の解像度が良い」「ノイズの影響を受けない」「HDMIであれば音声も送れる」ということで主流になりつつあります。とは言えD-subはデジタル接続コネクタに比べてリーズナブルなこと。そしてパソコンにしろ、ディスプレイにしろ、多くのメーカーの製品がD-sub規格に対応しており汎用性が高いことから、決して廃れた規格などではありません。
2.D-subの種類
D-subにはいくつかの系譜や製品による違いはありますが、基本的には信号線(ピン・端子)の数で種類分けすることが可能です。
また、そのピンの並べ方が2列なのか、3列なのかでも異なります。この信号線だけで20種類近く存在します。
種類の名称はDの後にシェルサイズ(挿入するピンのサイズ)+ピンの数、という表記が用いられます。
例えばDE-9コネクタと言えば、D-subのシェルサイズEタイプの9ピン搭載モデルということです。
よく使われるD-subをいくつかご紹介いたします。
① DE-15コネクタ
現在、最も生活で見かけるD-subはこの15個のピンを搭載したタイプでしょう。
ピンは3列で並んでいることが特徴です。
DA-15という、15個のピンが2列に並んだタイプも存在し、混同されることがあります。
ただしDA-15は、今ではあまり使われていません。
主にパソコンにゲームコントローラーを接続するコネクタでしたが、2000年代以降USB接続が定着していくにつれ姿を消しました。
一方のDE-15は「VGA端子」という名称で使われ続けているコネクタです。
VGAとはvideo graphics arrayという規格の略で、これに準じたD-subコネクタ、という意味合いになりますIBM社製のグラフィックボードにD-subコネクタが使われていたことが名前の由来となります。
ちなみに先ほどDVIとHDMIについて触れましたが、ディスプレイのアナログ接続に用いられてきたD-subコネクタこそがこのVGA端子にあたるDE-15で、ミニD-sub15ピン、アナログRGB端子とも呼ばれます。
D-sub自体は映像信号伝送だけの用途ではありませんので厳密にはVGA端子・アナログRGB端子と同一ではありませんが、
現在ではその機能が主流のためイコールで用いられることもあります。
前述のように歴史の長さゆえ汎用性が本当に高く、
現行製品のパソコンであってもDE-15のD-subコネクタに対応したタイプは多いです。
とは言えインテルやAMDなどはVGA端子(D-subコネクタ)の対応を終了し、
HDMIなどデジタル接続へ順次移行している流れもあります。
しかしながら変換アダプタなどを用いれば互換性を持ち、アダプタも比較的安価なため新旧のパソコン・ディスプレイを併用している方はご安心ください。
② DE-9コネクタ
RS-232などのシリアルポートで用いられた、9個のピンが2列に並べられたD-subです。
RS-232とはインターフェース規格のうちの一つですが、コンピューターとモデムなどのデータ送受信装置を繋ぐ時に用いられているもので、コネクタ形状がD-subでした。
過去形なのはUSBが主流となりつつあるためですが、組込機器や業務用サーバー、測定機器といった産業用途などでは今なお活躍しています。
③ DB-25コネクタ
こちらは同じくRS-232におけるシリアルポートや、かつてセントロニクス社が開発しプリンター用パラレルポートとして幅広く用いられてきた「IEEE 1284」などのコネクタを担ったD-subです。
ピンは25個、2列に並んでいるため横に広い形状となっています。
これらの他に日本ではあまり普及しませんでしたがアミーガ社のコンピューター・ディスプレイ専用と言っていいDB-23Fコネクタや、
今はなき大阪のアイシーエム社がSCSI機器の接続に用いていたDC-37コネクタなどが存在しました。
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