軽い・強い・安い!優秀すぎるアルミニウムの特性や種類を解説!

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アルミニウム

アルミニウムと聞いて、何を思い浮かべるでしょうか?

アルミホイル?一円玉?

あるいは腕時計やインテリアなどの装飾、電子機器の筐体、自動車や航空機など大型輸送機の構造材・・・用途を挙げるとキリがありません。

アルミニウムの汎用性の高さは、あらゆる金属類の中でも優秀すぎる特性があるため。

軽くて安くて強いなど、よく言われるもの以外にも、アルミニウムの長所はまだまだたくさん存在します。

そこでこの記事では、アルミニウムを解説するとともに、用途によって異なる種類や規格をご紹介いたします。

1. アルミニウムってどんな金属?

アルミニウムは日用品にも電化製品にも産業用途にも広く用いられる金属です。

この名前は、ミョウバン「Alum」から由来します。

なお、アルミニウムのつづりはAluminiumですが、北米大陸ではAluminumと表記するようです。

詳しく解説いたします。

① DATA

原子番号:13

元素記号:AI

和名:軽銀(けいぎん)、礬素(ばんそなど)

比重:2.7

融点:660.32℃

沸点:2519℃

密度:2.7g/立方センチメートル

モース硬度:2.75(ビッカース硬度は167MP)

用途:硬貨、アルミホイル、アルミ缶、構造材、建材、家庭用品、装飾品など

和名の軽銀は、「軽量で見た目が銀に似ている」ことから名づけられました。

アルミニウムと言えば銀白色で鏡面加工された表面はギラギラと光を反射して、軽くて安価。

そんなイメージがありますが、いずれも間違っていません。これらの特性から、本当に様々な用途で活躍しています。

アルミニウムの優れた特性はまだまだたくさんあるので、そちらは次項をご覧ください。

② 歴史

アルミニウムの歴史を紐解くと、なぜミョウバンを語源とするのかが見えてきます。

と言うのも、アルミニウムは実はミョウバンよりもずっと後に人々に認知された金属であるため。

金、銀、銅などは古代から人類にとって欠かせない素材として用いられてきましたが、アルミニウムが工業化されたのは19世紀に入ってからです。

アルミニウムは本来、地球の地殻の約8%を占めると言われるほど豊富です。

これは、酸素とシリコンに次いで多い素材となります。つまり、地球上に存在する金属の中では最も豊富、ということですね。

しかしながら、アルミニウムは自然に単体で金属生成されづらい特性があります。

そのため鉱石や土壌に埋もれたままとなり、発見が遅れた、というわけです。

一方でアルミニウムの鉱石であるミョウバンは、古代から使用されてきました。

ちなみにギリシャの歴史家ヘロドトスが、自著でミョウバンに言及していたことから遅くとも紀元前5世紀には既に普及していたと考えられます。

ミョウバンは染料などを用途としていたようですが、どのような性質のものかはハッキリとはわかりませんでした。

16世紀になり、ミョウバンとは土壌から採れる塩由来であることが判明します。

ミョウバンを生成する土は「アルミナ」と呼ばれるようになりました。

その後さらに時代を経た1807年、イギリスの化学者ハンフリー・デービーによってアルミナの電気分解が成功されます。

完全な分離はできなかったものの、デービーは新しい金属を発見し、それをアルミアム(alumium)と名づけました。

その後アルミナム(aluminum)を提唱しましたが、他の科学者たちはアルミニウムを使用し、後者の方が定着したのは今日の通りです。

ただ、北米大陸ではaluminumが今なお使われています。

さらに紆余曲折を経て、ようやくアルミニウムが取り出せたのは1825年のことです。

デンマークの物理学・化学者ハンス・クリスティアン・エスルテッドが成功しました。

とは言え、当時はまだ十分な量のアルミニウムを生成できなかったため稀少性が高く、とても工業用途で用いられるようなものではありません。

当時、アルミニウムを取り出すのに、金以上のコストをかけなくてはならなかったとか。

しかしながら1854年、フランスの化学者アンリ・エティエンヌ・サント=クレール・ドビーユによって工業製法が発表され、1856年同学者によって工業生産がスタート。

ようやく安価にアルミニウムが手に入るようになります。

すると実はアルミニウムは豊富な金属であることがわかり、価格が下落。

加えて後述する数々の優れた特性が広まったことから、20世紀半ばには、アルミニウムは私たちの生活のあらゆるシーンで用いられる金属としての地位を確立していきました。

ちなみに日本で一円玉の造幣が始まったのが1955年です。

これは戦時下、軽量で強靭なアルミニウムへの軍事需要が高まり、結果として民生用のアルミニウムが手に入りづらい時代が続きました。

しかしながらアルミニウム供給がまた再開されたこと、加えて高度経済成長へと突き進む日本の節目にあったことから、100%アルミニウムの一円玉が新調された次第です。

2. アルミニウムの優れた特性を徹底解説!

アルミニウムの特性を解説いたします。

なお、ここでは何も合金していない単体アルミニウムの特性を掲載しておりますが、別金属を合金することでお互いの特性を補い合い、さらに高い利便性を実現しています。

特性① 軽い

アルミニウムの密度は2.7g/㎤です。ちなみに鉄の密度は7.8g/㎤、銅は8.9g/㎤です。密度とは単位堆積あたりの重量ですが、アルミニウムが金属としては非常に軽量であることがわかりますね。

そのため機器類の軽量化によく用いられており、身の回りの電子機器はもちろん、重量を減らすことが大きな課題である航空機器でも重宝されています。

特性② 強い

アルミニウムは強度の高さも自慢です。さらに表面加工や熱処理、合金素材によってより高い剛性を獲得しています。

特性③ 加工性が高い

あらゆる形状への加工が容易です。箔のように薄くすることはもちろん、比較的複雑な形状を作り出すこともできます。

また、融点が低いため、はんだ付けやロウ付けなどといった溶接を行いやすいことも挙げられます。

鋳造もしやすく、あらゆる形状の鋳物製造に適しています。

なお、金属の多くは加工するほどに硬度を高めていく加工硬化が見られますが、アルミニウムは加工硬化係数が低く、追加工するにも適しています。

特性④ 電気をよく通す

電気伝導率の高い金属は珍しくありませんが、アルミニウムは軽量であるため同じ重さの他金属と比べると高い電気伝導が可能です。

この電気伝導率の高さは、エレクトロニクスにおいて欠かせません。

また、高電圧送電線のほとんどに使われています。ただし常温常圧以外の条件下ではこの限りではありません。

特性⑤ 熱をよく通す

熱をよく通すことは、高温だけでなく低温にもよく反応し、すぐに冷えるという特性を示します。

そのため冷暖房装置やエンジン部品、各種熱交換器、ヒートシンクなどに用いられます。

こちらも銅など金属にも当てはまることですが、アルミニウムは軽量である、という強みがあるため、自動車のファンやラジエーターなどにはアルミニウムが主に用いられます。

特性⑥ 低温に強い

温度が下がると脆弱になる金属もありますが、アルミニウムは極低温下においても脆性破壊がありません。

そのため低温下で使用される電子機器はもちろん、宇宙開発やバイオテクノロジーといった、近未来的な開発にもよく使われています。

特性⑦ 錆びづらい

アルミニウム自体は実は酸化しやすい金属です。

しかしながら空気中で金属表面に酸化被膜を生成することができ、それによって内部が保護されており、結果として耐食しづらく錆びづらい性質をもちます。

ただしこれは中性環境下に限られており、酸性・アルカリ性になると被膜が破壊され、腐食が発生する可能性があります。

特性⑧ きらびやかな銀白色

銀色で遠目からでもわかるきらびやかさを有しています。

表面に鏡面加工を施してさらにその輝きを増し、光や熱を反射させる手法も一般的です。

もっとも、多くの金属は銀白色で、有色のものは金と銅のみです。金と合金させたり、アルマイト処理によって着色したりすることも可能です。

特性⑨ 再生可能でエコ

アルミの空き缶は売れる、という話を聞いたことがあるかもしれません。

アルミニウムは融点が低く、再生が一般に広まっているエコな金属です。

再生にコストも大きくはかからず(新規で作るのと比べても低い)、しかも加工性・鋳造性の容易さから再生産品の質は新品と大きく変わりません。

これは地球にとっても経済的にとっても優しいことを意味しますね。

特性⑩ 安い

地球の地殻で豊富に生成されていること。加えて前述した再生の容易さから、アルミニウムは非常にリーズナブル。

そのためコストを大きくかけず、優れた機器を生産することが可能です。

このコスト面は大きなメリットで、ワイヤーハーネスなど既存の金属からアルミニウムに取って代わられたものは少なくありません。

特性⑪ 帯磁しづらい

磁気帯びは多くの精密機器にとって不具合の原因になります。

精密に設計されたパーツ同士が磁気を帯びることで引き寄せ合ってしまい、場所がずれたりパーツが変形してしまったりするためです。

アルミニウムは非磁性体で地場に影響されませんので、高精度さが要求される電子医療機器などで採用されてきました。

特性⑫ 人体に影響しない

アルミニウムは酸化被膜が形成されているため他元素と化合しづらく、結果として人体に影響を与えません。無味無臭であることも大きいでしょう。そのため飲料容器はもちろん、医療機器や医薬品の包装などにも用いられます。

なお、アルミニウムの抗菌作用に関する報告もいくつか出ているようです。

3. アルミニウム合金の種類とその規格

前述のように、アルミニウムはしばしば合金にして用いられます。

合金にもいくつかの種類があり、それぞれ規格で標準化されています。

代表的なものをご紹介いたします。

※JIS規格に準じます。
※A○○○○ アルファベット-記号といった表記になりますが、A=アルミニウム、○○○○=合金の種類、アルファベット-記号=形状および加工・処理などの調質を示します。ここではA○○○○までを表記します。
※○○○○の一の位は合金の種類、二の位は基本的には0ですが1以降であればアルミニウム合金の改良または派生を示します。第三・四の位は合金の中の組成成分の識別です。

① JIS規格 A1000系

純アルミニウム

■主な用途
電線、照明器具、箔、装飾品、化学工業タンク類など
■特性

純度99.0%以上のアルミニウムは純アルミニウムと呼ばれます。
種類は1070、1080などがあり、それぞれ純度99.7%以上、99.8%以上を示します。
強度が低いため構造材や建築材などには用いられませんが、高い加工性・耐食性・溶接性などによって強度がそこまで必要ではない用途で活躍してきました。
また、電気や熱の伝導性に優れているので送電線などでも採用されています。
非熱処理合金に分類されます。
※非熱処理合金・・・アルミニウムの強度を高めるための手法。添加元素や加工硬化によって強度を高められる合金のこと。

② JIS規格 A2000系

Al-Cu系 アルミと銅

■主な用途
航空宇宙機器、油圧部品、ネジ類、リベット類など
■特性
銅を含むため純アルミニウムに比べると耐食性は劣り、腐食が想定される環境下での使用には適しません。しかしながら陽極酸化処理や塗装などと言った、防食処理がきちんと行われていれば、その限りではありません。 強度や切削性が他の合金よりも優れているため、航空機や輸送機器などの構造材にも適しています。 種類は2014、2017などがあります。 熱処理合金に分類されます。 ※熱処理合金・・・アルミニウムの強度を高めるもう一つの手法で、焼き入れや焼き戻しなどの熱処理を指す。ただし熱処理の後、非熱処理合金と同等の加工などを行うこともある。

③ JIS規格 A3000系

Al-Mn系 アルミとマンガン

■主な用途
アルミ缶、一般器物、建材、フィン材、電球口金など
■特性
マンガンを合金に用いることで、純アルミニウムの魅力である「加工性」「耐食性」と「強度向上」を両立させた合金です。
加工性はやや劣る、ともされていますが、純アルミニウムとそれとわかるほどの大差はありません。
種類は3003、3203などです。その優れた特性から、日用品から建築材料までと、幅広いシーンで用いられます。
非熱処理合金に分類されます。

④ JIS規格 A4000系

Al-Si系 アルミとシリコン

■主な用途
溶接線、建築パネル、ピストンシリンダーヘッドなど
■特性
シリコンを添加することで、熱膨張を抑え、かつ摩耗にも強い素材になりました。
ここに銅やニッケル、マグネシウムなどをさらに微量に添加することで耐熱性を上げることも可能です。
種類は4032、4043などが挙げられます。 融点が低いので溶接ワイヤやろう付けのろう材などにも用いられます。
非熱処理合金に分類されます。

⑤ JIS規格 A5000系

Al-Mg系 アルミとマグネシウム

■主な用途
船舶用材、車両用材、橋、圧力容器、燃料タンク、家庭用器具、調理器具、一般容器など
■特性
マグネシウムを添加することで強度と耐食性が向上していますが、マグネシウム量が比較的少ないものは装飾や器物へ、多いものは構造材として用いられます。
特に低マグネシウム材は研磨すると非常に美しく輝くため、高級品の装飾にも用いられます。
高マグネシウム材は耐食性の観点から海水や汚染に強いため、船舶材としても重宝されます。
種類は5052や5083などが挙げられます。
非熱処理合金に分類されます。

⑥ JIS規格 A6000系

Al-Mg-Si系 アルミとマグネシウムとシリコン

■主な用途
船舶用材、車両用材、橋、自動車部品、光学機器など
■特性
耐食性はもちろん、強度が非常に優れており、各種構造材に広く用いられています。
表面に熱処理を施すことでさらに強度を高めます。
また、押出性が高いことから橋や輸送機器などの押出型材としても用いられます。
種類は6061、6063などが挙げられます。
熱処理合金に分類されます。

⑦ JIS規格 A7000系

Al-Zn-Mg系 アルミと亜鉛とマグネシウム

■主な用途
航空機器、陸上構造物、車両、スポーツ用品、ネジ類
■特性
A7000系には銅を含んだ高強度アルミニウム合金と、銅を含有しない中強度アルミニウム合金の二種類に分類されます。
前者は種類で言うと7075アルミニウム合金に当たりますが、超々ジェラルミンとも呼ばれ、各種アルミニウム合金の中で最大の強度を有しており、航空機器やスポーツ用品でよく用いられます。
一方中強度の方も比較的強さ・耐食性はもちろん優れた溶接性を誇るため、車両用材などに用いられています。
熱処理合金に分類されます。

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