※2025年7月17日 500nA以下の超低電流品におけるローム調べ

<要旨>

ローム株式会社(本社:京都市)は、超小型で動作時の回路電流を業界最小に抑えたCMOSオペアンプ「TLR1901GXZ」を開発しました。
電池や充電式バッテリーで駆動する、ハンディ計測器やウェアラブル端末、屋内検知器などの小型アプリケーションにおける計測センスアンプ用に最適です。
本製品は、ボールピッチを0.35mmまで狭小化したWLCSP*1を採用することで、1mm角以下の超小型化を実現するとともに、動作時の回路電流を業界最小の160nA(Typ.)に抑える超低消費電流化を両立しています。
これにより、限られたスペースへの高密度実装が可能となるだけでなく、バッテリーの長寿命化や長時間稼働にも大きく貢献します。
さらに、入力オフセット電圧*2は低消費電流オペアンプでは群を抜く最大0.55mVと非常に低く、一般品に比べ約45%の低減を実現しています。
入力オフセット電圧温度ドリフト*3についても最大7µV/℃を保証しており、外部温度の影響を受けやすい機器においても高精度な動作が可能です。
また、ロームの汎用抵抗器で超小型のMCR004(0402サイズ)やMCR006(0603サイズ)をオペアンプのゲイン調整など周辺部品として同時に使用することで、さらなる設計自由度の向上にも貢献できます。
0402サイズには環境負荷を低減した完全PbフリータイプのMCR004Eもラインアップしています。
今後もロームは、小型化はもちろん独自の超低消費電流技術を用いてオペアンプのさらなる省電力化を追求します。
また、低ノイズ、低オフセット、電源電圧範囲の拡張といった高性能化にも継続的に取り組み、アプリケーション制御の高精度化を通じて社会課題の解決に貢献していきます。

<新製品プレゼン”Featured Products”>
<背景>
近年、ハンディ計測器やウェアラブル端末など電池やバッテリーで駆動するアプリケーションにおいてより高度な制御が求められることから、温度、湿度や振動、圧力、流量などを数値化するためのセンサおよび、センサ信号を増幅するオペアンプの役割は重要度を増しています。
一方で、持続可能な社会の実現などを背景としたアプリケーションの小型化、省エネ化は喫緊の課題であり、個別のデバイスにも同様の要求があります。
こうした背景から、ロームは、これまで培ってきた独自の「プロセス技術」「パッケージ技術」「
<製品主要特性>
<アプリケーション例>
- 民生機器:ウェアラブル端末、スマートデバイス、人感センサなど
- 産業機器:ガス検知器、火災報知器、ハンディ計測器、各種IoT機器向け環境センサなど
<Nano Energy™(ナノエナジー)について>
Nano Energy™は、ロームの垂直統合型生産体制における「回路設計」「レイアウト」「プロセス」、3つの先端アナログ技術を融合することで、ナノアンペア(nA)オーダーの消費電流を実現する超低消費電流技術を指します。
電池で動作するIoT機器やモバイル機器の駆動時間延伸だけでなく、消費電力を増やしたくない産業機器などの効率的な動作にも貢献します。

・Nano Energy™は、ローム株式会社の商標または登録商標です。
<用語説明>
- *1) WLCSP(Wafer Level Chip Scale Package)
- ウエハの状態で端子の形成や配線などを行い、その後チップ化した超小型パッケージ。ウエハをチップ化してから樹脂でモールドして端子などを形成する一般的なパッケージと異なり、パッケージを内部の半導体チップと同じ大きさにできるため、パッケージの小型化が可能となる。
- *2) 入力オフセット電圧
- オペアンプの入力端子間に生じる誤差電圧のこと。
- *3) 入力オフセット電圧温度ドリフト
- 温度の上昇、下降により入力オフセット電圧が変動すること。この変動量が小さいほど高精度なオペアンプといえる。