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抵抗器とは?役割、種類、カラーコード表示を解説

様々な電子部品の中でも、コンデンサやコイルなどと並んで基本となる抵抗器。使用される物質固有の、電気を通しにくくする「抵抗」の性質を利用しており、回路の正常な働きのためには欠かせません。抵抗器は組成や形状によって種類があり、用途によってどれを選ぶかが非常に重要です。
この記事では、抵抗器とはどのようなものか。そして抵抗器の役割や種類、抵抗器に表示されるコードでの抵抗値などの見分け方を解説いたします。抵抗製品を探す

抵抗とは?

抵抗とは、電気を通しにくくする性質です。
単位はΩ(オーム)で、1V(ボルト)の電圧をかけた時、1A(アンペア)の電流が流れるような電子部品の抵抗は1Ωとなります。

抵抗器を直列接続した場合、全体抵抗はそれぞれの抵抗器の抵抗値(抵抗がどれくらい強いか表したもの)の和です。
抵抗器を並列接続した場合、それぞれの抵抗器の抵抗値の逆数の和が全体抵抗の逆数となります。

なお、抵抗は英語でResistanceといい、回路内ではRやrと表記されます。

抵抗器の役割とは?

電圧は、高いほど電荷を移動させる(電気を流す)力が強く、多量となります。
これを妨げるものがないと膨大な量の電流が流れることとなり、回路はショートしてしまうでしょう。
そこで、電気を通しにくくする抵抗器を挟むことによって回路に合わせた電流に調整することが可能となります。

抵抗値は、オームの法則に基づいて電圧や電流を分割します。
必要に応じて電圧を下げたり分圧したりすることも可能です。

仕組みとしては、抵抗器に電流が通ると電子は抵抗体(抵抗器で使用されている物質)の原子とぶつかります。
そうすることで電子の移動速度を弱まらせ、抵抗の役割を果たすのです。
この電子と原子がぶつかる際、電子のエネルギーが摩擦によって熱に変換され発熱することとなります。
この熱をジュール熱と呼び、ドライヤーやアイロンなどの電気製品に利用されています。

つまり抵抗器の回路内での代表的な役割は

  • 電流や電圧の調整
  • 必要に応じた分圧
  • ジュール熱の利用

と、なります。

抵抗器に使用される素材とは?

抵抗器に使用される、抵抗を持つ素材を抵抗体と言います。

鉄であろうと銅であろうと、あらゆる物質は抵抗が少なからずありますが、抵抗器には抵抗の強い素材を使用します。
しかしながら全く電気を通さない絶縁体は回路にスムーズに電流を送ることができなくなるため不向きです。

プラスチックやゴムなどの電気を通さない素材を絶縁体と呼びます。
一方で電気を通す物質を導体と呼びます。
カーボン(炭素)など電気を通すものの、抵抗が強い導体が抵抗体に使用されることが一般的です。

抵抗器の種類とは?

抵抗器は形状、組成、機能によって種類が分けられます。

まず形状の分類について解説いたします。
大まかに言うと、リード線が付いたタイプと付かないタイプの分類です。
前者はリード線抵抗、後者はチップ抵抗や巻線抵抗などが存在します。
かつてはリード線抵抗が主流でしたが、現在の小型抵抗器はチップ抵抗タイプがほとんどとなってきました。

次に、組成について解説します。
組成とは、抵抗体がどんな素材・素子で、どのように成り立っているかということ。
物質によって結晶構造(原子の配置構造)やその密度が異なるため、抵抗値は同一とはなりません。
例を挙げると、セラミックなどの表面をカーボンコーティングした炭素皮膜抵抗、金属でコーティングした金属皮膜抵抗などとなります。

最後に解説する機能とは、抵抗値が一定なのか、変更することができるのか、という分類です。
抵抗値が固定されているものを固定抵抗、変化させられるものを可変抵抗と言います。

なお、抵抗器が同じ物質でできている時、断面積が小さく、長いほど抵抗値は高くなります。
つまり、断面積が2倍になると抵抗値は1/2に、長さが2倍になると抵抗値も2倍ということです。

抵抗器の種類~リード線抵抗器~

前述の通り、抵抗器は形状や組成などによって分類することができます。
種類別に、代表的な抵抗器をご紹介いたします。
まず、最初にご紹介するのは、リード線抵抗器です。

リード線抵抗器は昔ながらの抵抗器で、オーソドックスなタイプです。
リード線抵抗器は、組成によってさらに細かに分類することができます。

①炭素皮膜抵抗器

セラミックなどの抵抗体の表面を炭素コーティングした抵抗器で、カーボン抵抗器とも呼ばれます。
このコーティングを剥がすと内側にらせん状の溝があり、この溝によって抵抗値を調整します。
非常に安価ではんだ付けなど、一般的な電子回路を組む際によく使用される抵抗器です。
一方で誤差(許容差。実際の使用における精度のこと)が大きく、抵抗値に対し5%ほどとなります。
雑音や周波数などのノイズに対しての特性は高くありません。

②金属皮膜抵抗器

金・皮をとってキンピと呼ばれることもあります。
セラミックなどの表面を金属コーティングした抵抗器で、金属のペーストを加熱焼成した厚膜型と、金属を蒸着させた薄膜型とに分類されます。
誤差が小さく、厚膜型は誤差1%程度。ノイズに対する特性も高くなります。
薄膜型はさらに高精度で、誤差が0.05%ほどのものも存在します。
誤差の低さから、通信・計測機器やコンピューター、オーディオ回路などに使用されてきました。

③酸化金属皮膜抵抗

セラミックなどの表面を酸化金属コーティングした抵抗器で、サンキンと略されます。
熱に強く、比較的大きな電力にも対応することが可能なため、電源回路などに用いられます。

④メタルグレーズ皮膜抵抗器

金属・酸化金属・ガラスの混合体で、厚膜のため安定しており、環境変化に対応できます。
耐蝕性の高さも嬉しいところ。
リード線抵抗器だけでなく、チップ抵抗器など幅広く使用されています。

抵抗器の種類~チップ抵抗器~

リード線が付属していないチップ抵抗器は角板状で、表面実装で用います。
基板の表面に実装できるこの取り付け方法ははんだ付けする部分と部品が同じ側にあります。そのためはんだ付けする部分と部品が基板を挟んで逆側にとなるリード線抵抗器に比べて回路のスペースをとりません。
実際に製造されている小型抵抗器のほとんどがチップ型です。

チップ抵抗からさらに形状で分類することができ、角形チップ抵抗器と円筒形チップ抵抗器の2種類となります。

角形チップ抵抗器は角チップとも呼ばれ、金属で組成されたものが主流となります。
また、円筒形チップ抵抗器はMELF(メルフ)とも呼ばれます。炭素、金属それぞれで構成された抵抗器が存在します。

使い勝手の良さから、現在の主流は角形チップ抵抗器となります。

抵抗器の種類~巻線抵抗器~

抵抗体となる芯に対し、金属線をらせん状に巻いたものを巻線抵抗器と言います。
巻線を巻くことで高精度を実現するうえに、大きな電力容量を持つ、温度変化による抵抗値の上下が低くなるといった特性を持ちます。

さらに、巻線を巻くため交流電流に対してはコイルの性質を獲得。コイルは交流電圧の周波数が高いほど電流を妨げる働きをします。
そのため、巻線抵抗器はさらに強い抵抗となるのです。
このコイルの性質は精密な電子回路では低減する必要があるので、これを防ぐ無誘導巻きと呼ばれる巻線もあります。
無誘導巻きは、2本の金属線を方向が逆になるような巻き方です。

なお、巻線抵抗器もいくつかの分類があります。
以下で解説いたします。

①メタルクラッド抵抗器

Metal(金属)をClad(覆う)した抵抗器、という意味で、巻線抵抗に金属製外装を取り付けたものです。
大電力に使用することを想定しているため、その際の熱に対応できるよう、放熱板や放熱フィンといった熱対策が施されているものもあります。

②ホーロー抵抗器

セラミックなどの芯に抵抗体となる金属を巻き、それを保護する目的でホーローの外装を取り付けたものです。
ホーローとは七宝焼きにも用いられる外装仕様で、鉄やアルミニウム、ステンレスといった金属材料表面にガラス質の釉薬(ゆうやく、うわぐすり)を高温で焼き付けたものとなります。
非常に熱に強いため、大電力の電子回路で使用されてきました。

③セメント抵抗器

巻線抵抗器をセラミックなどのケースに収め、セメントで固めた抵抗器です。
巻線抵抗器だけでなく、酸化被膜抵抗などでも使用されます。
セメントが防御になり熱や振動への影響に対して非常に強くなります。
そのためセメント抵抗器も大電力で用いられてきました。

機能による抵抗器の種類~可変抵抗器~

リード線抵抗器やチップ抵抗器など、ここまで紹介したものは抵抗値が一定で変わることがない固定抵抗器でした。
これに対して、用途に合わせて抵抗値を変更することができるものを可変抵抗器と言います。
回転角や移動量を電圧に変換する電子機器に可変抵抗が用いられていることから、ポテンショメータ(potentiometer)と呼ばれることがあります。

可変抵抗器はオーディオ機器などの音量調節回路やラジオなどの電波の周波数を調整するダイヤルなどに用いられてきました。

①可変抵抗器の構造

リード線抵抗器などは2本の足が出ていることを見てとれるでしょう。
しかしながら、可変抵抗器からは3本の足が出ています。
可変抵抗器の2本分は固定抵抗器と同様に抵抗値が一定となります。一方で1本はスライダと言われる可動端子で、動かすことで簡単に抵抗値を変化させることができるのです。
スライダを直線上に移動させるタイプと円周上を移動させるタイプとがあります。

半固定抵抗器

可変抵抗器の一種ですが、初期設定時などに一度抵抗値を決めたらその値でずっと使い続けるものを半固定抵抗器と言います。
溝をドライバなどで調整操作することが可能です。
コンデンサやトランジスタなど様々な電子部品で回路を組み立てることになるので、それらのバラつきに合わせて微調整を目的とした抵抗器となります。

抵抗器のカラーコードを読み解く

実装の際は用途によって、抵抗値や誤差の大きさを判別しなくてはなりません。
そのため、抵抗器に直接表示されているカラーコードを覚えましょう。

抵抗器には4本または5本の色の帯が引かれており、このカラーコードで抵抗値と誤差それぞれが対応付けされています。

まず、抵抗値についてご説明いたします。

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9

上の表のように、0~9までの数字に10色が割り当てられます。
抵抗器の左端が先頭として第一・第二カラーコードが数値(実数部)を、第三カラーコードで10のべき乗数が示されています。
カラーコードが5本の時は、第一~第三までが数値で、第四カラーコードが10のべき乗数となります。
この時の単位はオームとなります。

さらに、誤差は以下の表のような対応付けです。

カラー 無色
誤差 ±1% ±2% ±5% ±10% ±20%
文字表記 F G K J M

抵抗器に表示された最後尾の色帯が誤差を示しています。
なお、誤差はアルファベット表記が用いられることもあります。

抵抗器に示されたカラーコードが「茶・黒・赤・金」だった場合、抵抗値は10×10の2乗=1,000Ω。誤差は±5%となります。